パンの成形

掛け持ちアルバイトして1日10時間以上働けばばある程度の収入はあるが、仕事の責任感はない、だから特にストレスはなく気楽に仕事はしていた、だが将来に対しての不安はあった。

パン屋には製パンチーフという、厨房のリーダーの立場の人がいる。僕が一年ぐらいアルバイトしてから異動してきたおだまチーフは、パン職人の厳しさ、頑張者気質という感じでなく、話しやすく、知識や技術に長けていた。ただ、ものすごくボソボソ話す人で、何を言ってるのかわからなく、空返事で会話を成立させてた事がよくあった。
おだまチーフが異動した頃は、下っ端アルバイトだった自分も、ひたすらパン釜でパンを焼くだけの仕事から、パン生地を手で扱う成形作業の仕事を任される日も増えてきた。パン屋厨房の仕事は、様々なポジションがある。仕込み、成形、釜、仕上げ、あとはパイ生地を扱う機械作業など、
次のポジションの仕事を覚えていくには、自分の任されてるポジションをいかに段取り良くスマートにこなし、自分で作った空いた時間を、他のポジションに使う事が必要だった。別にやる気があった方でもないが、自然と釜作業しながら成形作業するようになった。とは言え、まわりの見えないプレッシャーから、そうしていた。
パン成形は、精度技術スピードが問われ、パンは発酵と熟成のバランスで味が変わるもの、時間管理、生地の見極めの技術がパンの出来を左右する。
成形作業の基本と言われる〝丸め〝これひとつとっても実は奥が深い。生地状態によって丸め方で焼き上げのパンの表情は変わる。何も知らなかった自分は、とにかくチーフの作業を横目で見てマネ、指示があればその通りやっていた。
なんとなーくん、この頃が、パン作りって面白いかも?のはじまりだった…

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