パン屋の仕事

パン屋の仕事は朝が早い、6時には出勤。
パン厨房は狭いがパン窯は大きく、作業場も熱気がこもって、とても暑い。
独特なパン生地の匂いと、焼き上がりのパンの香りが充満する。
はじめて任された仕事は、とにかくパンを焼く事だった。仕事を教えてくれた先輩はパートの近藤さん。とても真面目な人だった。
窯の温度やタイマー設定方法、焼く前のパンの仕上げ方を教わり、何十種類、何百個のパンを焼いた。ただ、これが簡単じゃない、
だから失敗すればパンを焦がす。
一回焦がしたと思えば、窯には30個から60個のパンが入っていて、全てお店に出せなくなり廃棄する。
パン屋で働く人なら、この時の心境はみんな体験するだろう。
皆が手をかけて作ったパンを、最後の最後で窯で焦がし、黒くなったパンを見た時の、まわりのスタッフの冷たい目は今だに忘れられない。

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