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これまでとこれから

これまでの美容師人生を振り返ると共に
これから実現していきたい事を綴ろうと思います。

現在テナントを借りてhairsalon tomorrowを運営しているのですが、その他にもう一つどうしても作りたかった基盤があります。

それは“訪問美容”の分野。

8人家族に生まれた私は物心ついた頃から最年長の曽祖母との関わりが多く、長い時間を共に過ごしました。

農家の実家ではご飯を済ませるとそれぞれの部屋に分かれて過ごすのですが、私はなぜか自分の部屋へは行かず
曽祖母の部屋に毎日のように行っていたのです。
小学生の頃はゲートボールにもついて行っていましたし、曽祖母のお友達とのお茶飲みにも参加していました。

これは自分自身でも不思議です。

大正生まれで、兄弟が多いことが珍しくない時代に一人っ子で育った曽祖母は、それはそれは気が強く物事のハッキリした人でした。それでいて情が厚く、一緒にいて楽しかったことが大きな理由だと思います。

年月が経ち私が学生になる頃には
腰が痛い肩が痛いと言うことが増え、ベッドで横になる曽祖母の隣で体を揉んだり湿布を貼ったりある時は耳かきをしたり、いつの間にかマネージャーのように過ごすようになっていきました。

私自身、高校2年生で美容師になりたいと思い始めるまでは福祉施設での就職を目指していたのですが今振り返るとこの様な日常が影響していたのだと思います。

高校の時に一度実家を出て下宿したり
美容学校に行くのに福岡に出た時も
実家に帰る度それまでと同じように過ごしました。


当時週に3回利用していたデイサービスの出発の準備で、鏡台の前に座り震える手でシワがたくさんの頬のうぶ毛を真剣に剃る曽祖母の姿を見て『女性はいつまでもキレイでいたいし、そういう気持ちっていいな』と感じていました。

その後、福岡から東京に就職し
結婚して宮城県に行くと決め

だんだん離れていってしまった訳ですが

帰省して会う度に私と会えれば髪の毛を切れると楽しみにしてくれていたそうです。

その時曽祖母は90代半ば

自分ができることの何かで喜んでもらえる事の尊さ、

いつまでもキレイでいたい気持ちを教えてくれました。


最後の曽祖母のカットが出来たのは他界する4日前。

9月の始まりの頃、熊本から宮城に帰る時
じゃあ次はお正月に来れたらその時切ろうねと約束して別れたのですがまさかその時が最後とは思いもせず。

訃報の電話を父からもらった時は頭が真っ白になりました。

でも「ひいばあちゃんに似合う様に!」と意気込んで毎回切っていたのでもっとこうすれば良かったという後悔は少なかった様に思います。

その後も美容師という仕事を続けて来れて
お店を持つことが出来て、たくさんの方と出会い今に至ります。

壁にぶつかったり、何も上手くいかなかったり
逃げたい、やめたい、そんな時もたくさんありました。

そんな時、当時の思い出や喜んでくれた姿がいつも励ましてくれるのです。

たくさんのことを気付かせてくれて
自分の進むべき道筋を照らしてくれた曽祖母の名前は
ミヤ子。

今回、訪問美容を立ち上げる上で名前を連ねたいなと思っていました。


“杜の都”
仙台のことを別名そう呼ぶのです。
ここに住んでいると良く耳にする響きですが
是非つけたいと思いました。

そして決めた名前は
【杜の都 訪問美容室tomorrow】


とは言え、利用して頂きたい方は必ずしもご年配の方に限った訳ではありません。

・年齢に限らず、お店に行きたいけど行けない
・美容室のクオリティで提供してほしい
・引き続きtomorrowを利用したい

そんな方に知って頂けたら幸いです。


そして美容師としての根底の部分のお話をもう一つ。

ちょうど美容学校に通っていた頃
ローカルの夕方の番組内での特集で、当時70代の訪問美容をされているオーナーさんがインタビューでこう答えられてました。

『通ってくれてたお客様が、私に切ってもらいたいけど足を悪くして残念だけどもう通えないんだと聞いた時、そう思ってもらえる人が1人でもいるなら私が行くから!と移動美容室車を作ったんです』と。


私は当時まだ美容師免許を取る前でこの業界に片足入れた位の頃でしたが、こんなモチベーションの方がいるんだと衝撃的でいつか自分もそうなりたいと思ったんです。

そして2021年12月、私のお店に1ヶ月半に一度来てくださる70代のお客様がいらっしゃった際

『最近体があちこち痛くてtomorrowに通いたいけどシャンプー台に寝れないかもしれない。ずっと切ってもらいたいけど、どうすればいいか悩んでる。』とおっしゃったのです。

18年前にテレビで見た美容師さんと同じ言葉をお客様に頂けたことにすごく胸が熱くなって、
お客様に『そういう事でしたらすぐ体制を整える準備を始めますね』と伝えました。
その時のホッとされたお顔を見て、やれる事は全うしようと心に決め今に至ります。


これまでの色々な経験と自分ならではの在り方、
実現したかったこととお客様の出会い、
そして様々なタイミング。

全てが合致した瞬間でした。

明日の事も分からない現状ではありますが、自分の出来る範囲で実現に向けて動いていこうと思います。

訪問美容の正確な開始は追ってお知らせ致します。


コロナ禍の中少なからずの不安と隣り合わせではありますが、私にとってずっと思い描いていたスタートは今では無いかと信じ進んでみようと思っています。


拙い文章な上、2,100字にも及ぶ長い話になってしまいましたが読んでくださりありがとうございました。

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