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ビオトープにてアキアカネの羽化を多数確認


プラ船ビオトープにて、アキアカネの羽化を観察した。

プラ船ビオトープにて羽化をするアキアカネ

連日羽化しているようで、植えたばかりのクワイにはいくつもの脱皮殻が残されていた。

今日は2匹が羽化していたようだ。

アキアカネはシオカラトンボと並んで、毎年のようにこの場所で繁殖をする。
ただしシオカラトンボとは違って、初夏に羽化をしてしばらくすると全ての個体が冷涼な山地へと向かい、秋になると平地に戻ってくる。
そのため、夏場は避暑地とされる場所での目撃例が多い。
以下の画像は8月の中禅寺湖(栃木県日光市)にて撮影したもの。

ベンチに集うアキアカネ

朝方には風邪をひいてしまいそうなほどに冷え込む気候の土地では、夥しい数のアキアカネが飛び交っていたり、路上に止まっていたりする。
動きが鈍い個体も多く、弱ってしまっているようにも見えるが、アキアカネは低温を経験して初めて性成熟に至るという話も聞く。
関東平野では、12月に入って霜が降りても尚生き延びている個体も数多く見られるので、必ずしも『動きが鈍くなっている=弱っている』というわけでもないのかもしれない。
流石に霜が降りれば生命活動の維持に影響は出ると思われるが、夏季に産地で見られる個体は気温に合わせて活動レベルを落としているだけなのだと思われる。



周辺地域では同じアカネ属であるノシメトンボが最も多く見られるが、自宅のビオトープで発生する事はほとんど無い。
陸地との接続部分、エコトーンが限りなく少ないためだろう。

ノシメトンボとナミガタチビタマムシ

関東平野の最普通種とも言える存在のノシメトンボだが、それはこの種の持つ特殊な生態によるものが大きい。
シオカラトンボ等のように水中へ直接卵を産み落とすのではなく、水辺の草原や水を抜いた時期の水田等、陸地に卵をばら撒く形で産卵を行う。
そして翌年にその場所が水没した際に幼虫が孵化をするという、完全に近代以降日本の乾田化に適応した生態を持つ。稲作の伝来以前から元々持っていたであろう生態が偶然にもマッチしたのだと思われる。
乾田化が進む以前は他種が最優先種となっていた可能性すらある。
もしかしたら、自宅ビオトープでもプラ船横の草地に産卵をしている事もあるのかもしれない。

普通種と呼ばれる生物には、『普通』という言葉を使う事が躊躇われるほどに、こうした特殊な生態を持つ場合が多いようにも感じる。(特殊性故に現代日本に適応して数を増した生物という結果を見て『普通種』と呼称しているため当然ではあるのだが)


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