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な なにーっ!!
昨日の記事の続き。
前回は開拓したポイントにセアカオサムシの観察をしに行った。
地面に刺さったコガネムシを引き抜いたと思ったら、毒を持つツチハンミョウだった。そして毒を浴びた。
それだけの話。
出張帰りに、以前セアカオサムシを採集したポイントへ向かう。
初めてセアカオサムシの自力開拓をする事ができた思い出のポイントだ。未だに喜びを噛み締めている。
一般的にセアカオサムシが好むとされている環境とは少し異なる立地だが、絶対にいるはずと目論んだ末の発見だった。
それ以降は確実に航空写真の見方が変わった。
到着した頃には気温が10度を下回っていて、地面は湿り気を帯びていない。
歩いているゴミムシの種類も少なく、他のスカベンジャーもほとんど見かけない。いるのはオカダンゴムシくらいか。
正直、セアカオサムシを観察するためのルッキングにはあまり向いていない条件だったが、出張帰りがてらにポイントの見回りができるだけでも御の字だと思いながら草地を眺めて歩く。
すると、地面に頭を突き刺しているコガネムシを発見した。
昨日の記事にも書いた通り、自分はコガネムシの繁殖にも興味を持っているので拾ってみる事にした。
迂闊(ウカツ)!!
コガネムシだと思って引き抜いた黒い影はツチハンミョウだった。
刺激を受けたツチハンミョウは関節から松脂まつやに色の体液を出して防衛を行う。
この体液にはカンタリジンという毒が含まれており、かつては暗殺に使われていたとされている。
ゴム手袋に毒を浴びた後だが、ルッキングは続行した。
というより、無事で済んでいるので観察を中断する理由にはならない。
普段は虫を触る右手のみにゴム手袋を装着しているが、風が冷たかったので左手にも装着した。薄いゴム手袋一枚でもそれなりの防寒効果がある事を再認識する。
前回の採集では、狭い範囲にも関わらずたった一晩で5匹のセアカオサムシを発見できた。
そのため、このポイントは環境や立地の特殊さ故に有名産地よりも生態や新たな傾向について調査しやすいように思えた…が、元々ウジャウジャ居るというわけではないので、そこまで甘くはなかった。
しかも前述の通り、4月にしては気温が低すぎた。
ゴミムシ類の影もほとんどない。アカガネアオゴミムシやコガネムシ類すらも見当たらない。
しかし逆に、セアカオサムシを含むそれらしき虫の影が見えたら見逃す事はない自信があった。目が冴えているような感覚があった。(直前にコガネムシと間違えてツチハンミョウを握って毒を浴びているので錯覚だと言っていい)
そしてその後、30分ほど歩き回ってようやく見つけた、3メートル先の草地の中に光る赤い金属光沢に近づいたものがコレだ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102257813/picture_pc_62042b5297c0b2d42ea5017d95121d17.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102257815/picture_pc_04dff7d0f3b7e4ead38c8120d2986430.jpg?width=800)
第一声は
「な、なにーっ!!」
だった。
実生活で出した事のない言葉。
死んどるやんけ!
俺が見つけたセアカオサムシは?
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102260342/picture_pc_cb592f03a2aa5ec437e2faea3b5afa1b.png?width=800)
人や車が立ち入らないような場所なので、踏み殺された訳ではないように思うが、いかにして亡くなったのだろう。
初めてこのポイントに訪れた時、「セアカオサムシの亡骸だけでも見つけたい」「生息の確固たる証拠を見つけたい」と願っていたのはつい最近のはずだが、遠い昔のようにも感じる。
生息の証拠を、その特徴的な鞘翅を、どうしても見つけたくてタヌキの糞も細かく調べた。
今度は15分ほど歩いた所で、4メートルほど先の草の裏に、数ミリほど赤く光る何かを確認した。
虫そのものが少ないので、光を反射する金属光沢にいつも以上に敏感になってしまう。
そして、草を掻き分けた先に現れたのはセアカオサムシの生体だった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102261112/picture_pc_60dc8cddba30e9670207d07d79bc18fb.jpg?width=800)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/102261111/picture_pc_df71f2aea607f0547ef2a6e01c35edd6.jpg?width=800)
嬉しかった。
すでに生息を確認しているのに、亡骸も合わせれば合計で7匹も発見できているのに、この遭遇にはなぜか新鮮さがあった。
他の虫がほとんど見られないような低気温の中での発見だからだろうか。
開拓したポイント、狭いポイントだからこそ、1匹1匹の発見が「生息密度」としての情報が加算されるからだろうか。
この地に住む動物の餌となっている生物でもあるはずなので、当ポイントでの今年度セアカオサムシ採集はこの個体を以て最後にする事を決めた。
以降も度々訪れることになるとは思うが、観察に留まるだろう。
その後は何も見つかる事なく、そのまま帰路についた。
気温が低い日だが、一応は活動しているようだ。
今回の発見個体2例共に、そこそこ離れた場所から数ミリの光の反射でセアカオサムシの気配を感じる事ができた不思議な体験をした。普段はそこまで過敏に反応できないし、まず見逃しているはずだ。
前述の通り、そもそも虫が少ないために一つ一つの虫の影や気配に過敏になったのだろうか。
セアカオサムシを見続けて目が養われた…と語るにはまだ経験が浅いため、考えにくい。
やはり過敏になっていたのだろう。いつも以上に目が疲れた気はする。
今回はトンネルビジョンの発生までには至らなかったが、採集中に起きた事が何度かあるため、それに関する解説と対策が描かれたツイートを掲載しておく。
銃撃戦で起きる視野狭窄現象「トンネルビジョン」
— mssn65 (@jpg2t785) August 22, 2021
トンネルビジョンを壊す「スキャン&アセス」 pic.twitter.com/ou3DSPNbtf
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