オオトックリゴミムシ羽化後記録
繁殖させたオオトックリゴミムシの羽化完了から半日が経過した。
体色は見違えるほどの黒に変わった。
一見して野外で活動を行う通常の成虫(旧成虫、親個体)と変わらないように見えるが、未硬化の特徴である僅かな赤みがあり、色も薄い。また、鞘翅から後翅が透けて見える。
前回の記事にてモリチャバネゴキブリを捕食した際にその大半を捕食したと記録したが、厳密にはモリチャバネ腹部の3割ほどが食べ残されていた。
羽化を終えたばかりにも関わらず自身の蛹殻を食べ始めたり、3時間以上に亘ってモリチャバネの捕食を続けていたが、腹部が著しく膨張するほどには捕食を行わなかった。
ゴミムシ類やオサムシ類は飢餓状態で昆虫ゼリーや水分を伴う動物性タンパク質を与えたり、専食する餌生物を捕食すると腹部が著しく膨張する様子がよく観察されるが、今回与えたモリチャバネは本来好む物とは異なる種類の餌である事、もしくは羽化直後においては栄養の大量摂取が消化不良に繋がる事の対策によるものと考えられる。
野外においては羽化後1日も経たずに地上へと現れて捕食を行う事もあるのかもしれない。
春繁殖のゴミムシが羽化直後に代掻きや増水等で蛹室から抜け出さざるを得ない状況となると琥珀色の新成虫が地上で確認できるが、梅雨時期のオオトックリもそうしたものに近い状況は起こり得るだろう。
成虫の採集後、かつてヒメタイコウチの繁殖を行っていたケース(砂利)にそのまま水を注いで一時的に管理した。
2日後には他ゴミムシと同じように私有休耕田の土を敷いた飼育環境へと移動させたが、本種は水際での目撃例が多いため、水場を設けつつ全体的に『水際の泥』となるような水分量を保つように心掛けた。
産卵はプラケース壁面やケース内に入れたペットボトルキャップにマッドセルを付着させる形で行われた。床材である泥の表面に薄らと水が浮くほどに水分量を保った状況を狙って産卵が行われるようで、大粒の砂利上では産卵は観察できず。
砂利飼育の際、飼育下のミイデラゴミムシ等のように地上に卵を産み捨てた場合があった事も考えられるが、本種は他ゴミムシ比べて食卵傾向が強く、マッドセル内の卵でさえもすぐに発見して捕食してしまう場合が多かったようにも感じる。
ただしこれはケース内に比較的広い水場を設けた事によって活動範囲及び産卵に適したポイントの範囲が狭められて発生した可能性も視野に入れなければならない。
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