キンヘリアトバゴミムシ 代用餌メモ
樹上性ゴミムシの一種、キンヘリアトバゴミムシにコナラシギゾウムシの幼虫を与えた所、体液を漏出させていない状態であるにも関わらず積極的に捕食を行っていた。
警戒心が強く、人の気配を感じるとすぐに餌から離れてしまうためにその様子を撮影する事はできなかったが、這い回る幼虫を追いかけて捕食する様子を複数回にわたって観察する事ができた。
大小様々なサイズのゾウムシ幼虫を試したが、キンヘリアトバは自身の頭部ほどのサイズの幼虫を好んで捕食する傾向が見られた。
アカムシを餌として飼育できる種類の湿地棲ゴミムシは、湿らせた肉食魚用人工飼料ミニキャットに強い興味を示す。
しかし、キンヘリアトバは全くと言っていいほどそれを齧らず、1週間近く餌を抜いたとしても口を付けている所を見た事がない。
体液を漏出させたミルワームやハイイロゴキブリ等に対しては最低限の嗜好性がある事を確認したが、そうした処理を行っていない無傷の生体に対して上記のような捕食を行った様子を見た際は少し驚いた。
キンヘリアトバは生息地にてミツギリゾウムシが発生するような木でよく見られると聞いたが、実際に何を食べているのかは不明。
甲虫類幼虫を捕食する可能性が高いと見て、代用餌候補として上げた種類は以下の通り。
・ミルワーム
・コクヌストモドキ
・アズキマメゾウムシ
・クリシギゾウムシ
・ツバキシギゾウムシ
・コナラシギゾウムシ
・サビヒョウタンゾウムシ
・ハイイロチョッキリ
・コメツキムシ幼虫
実際にこれらが有効な代用餌となり得るかは不明だが、キンヘリアトバのゾウムシ幼虫に対する嗜好性を見ると少しばかり可能性を感じられる。
ただし、朽木食の生物と果実食の生物とでは栄養の組成がかなり異なるであろう事も予想されるため、実際に適した餌であるか否かは要確認となるだろう。
ガットローディング等も視野に入る。
コメツキムシ幼虫は肉食性が強いため、予め頭部を潰してから与える等の補助が必須となるだろう。
アズキマメゾウムシは厳密にはゾウムシ科ではなくハムシ科に近いが、累代飼育の容易さと成長速度、世代交代の速さを考えると優先的に使用しても良さそうだ。
完全人工繁殖にて管理できる。
ゾウムシ類の外皮は厚く頑丈であるため、大きな種類になってくると傷を付けてから与えなければ捕食を行えない可能性もある。
特にキンヘリアトバ幼虫は成虫よりもそれを危惧しなければならない。
ツバキシギゾウムシは7月下旬頃にツバキ果実から脱出した後、ツバキ樹下の地中に潜り幼虫のまま越冬。主に深さ10〜20cmの場所で確認されたという。
キンヘリアトバ幼虫が夏季に発生するものと仮定するなら、秋に果実から幼虫が脱出するクリシギゾウムシ、コナラシギゾウムシ等よりも餌として適しているかもしれない。
また、オサムシ、ゴミムシ類の一部には、土中に生息する生物の糞の匂いで捕食対象を探していると考えられる行動が見られた。
今後の給餌の際には、キンヘリアトバにもその傾向があるかどうかを念頭に置いて観察したい。
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