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2023/03/15 採集記録


2023/03/15 
23時頃。
帰宅時にふと寄り道をしようと思い立って、以前から目星をつけていた地元県ポイントへ向かった。
気温は8℃程だったので、とある絶滅危惧種を探す目的においてあまり成果に期待は出来なかったが、今後のための下見のつもりで行く事を決めた。

現地に着いてまず目に入ったのはマルクビツチハンミョウ?の轢死体だった。
あまり意識してツチハンミョウを見た事は無かったが、マルクビは初見かもしれない。

次に見つけたのは糞。
恐らくはノウサギのもの。

ミミズは緩慢ながらもあちこちで這い出ていた。
この時期に雑木林等でドバミミズを探そうとするとあまり見つからない印象だが、草地ではこうして這い出ている個体をよく見かける。
ミミズ食かつ春繁殖の肉食甲虫を飼う際は意識しておいた方がいいかもしれない。

ゴミムシも少しだけ確認できた。
ほとんどが植物食の種類だった。



途中で倒木を見つけたのでひっくり返してみる。
すると、集団越冬中のアオゴミムシが見つかった。今季初観測だ。


というか冬季は生物趣味をほぼ休んでいるので、オサ掘りとは無縁の冬だった。
今回もオサ掘りや材割りをするつもりは一切無かったので、スコップもブロックハンマーも持ち合わせていない。
とりあえずゴム手袋1枚で柔らかい朽木を少しだけ崩してみる。

アオゴミムシが続々と出てくる。河川におけるオサ掘りの風物詩とされるほど大量に見られると聞く虫だ。

自分はオサ掘りや材割りの経験もほとんど無く、この虫が好むようなタイプの湿地に出向く事がかなり少なかったので、あまり出会った事が無い。
里山等に多産するコキベリアオゴミムシの目撃数の方が遥かに多いし、なんなら絶滅危惧IA類のアオヘリアオゴミムシの目撃数の方が僅差で多い。
オサ掘りやアオゴミムシのような通過儀礼を通る事もないままに、師から教わったアオヘリアオの魅力に注力して追い続けてしまった証拠だろう。
本当にアオゴミムシに会う事が少なかった。




朽木からはヨツボシゴミムシまで獲れてしまった。
出会えるとちょっと嬉しい部類の昆虫だ。集団越冬をする虫とはいえ、狙おうとしてもあまり多くは出会えない。
目星をつけていたこのポイントがそれなりに良い環境である事を証明してくれている気がする。


コクワガタの幼虫が作る坑道にはアオゴミムシが何匹も入っていた。
クワガタが朽木を食べるからこそ、このような越冬形態が成立しやすいのだと思う。
材割りはこうしてクワガタ幼虫を含む越冬昆虫を無数に掘り出してしまう採集法なので避けていたし、時には傷付けてしまう事もある。
ただし、それを行わなければ解明されない生態もある事は承知だし、自分はそうした理由で個人的に差し控えているというだけだ。
他人にその倫理を勧めたい訳では無い。


クワガタ幼虫は特に傷付いていなかったが、現在はコガネムシ類の幼虫を餌とするとされるアオヘリアオゴミムシを飼育しているので、この幼虫は持ち帰って餌として利用させてもらう事にした。


アオゴミムシを含む多くの昆虫が越冬中だった以上、自分が探している絶滅危惧種もまだ本格的に活動を始めている訳ではなさそうだ。特にこのポイントは他地域に比べて平均気温が低い傾向にある。
しかし、下見のつもりで来たはずがあまりにも収穫が多すぎた…というのが正直な感想で、ポイント自体も航空写真で見るよりも遥かに面白そうな地形と植生だった。
今後も通う事になるだろう。



また、今回は撮影こそしていないが、途中でタヌキの溜め糞をいくつか目撃したので、そのポイントを全てGoogleマップで記録した。
徘徊性昆虫を探す際は現地の野生動物がライバルとなるが、甲虫のように外殻が未消化で排泄される生物の生息を確認するためには、毎日そのポイントで餌を探している動物の糞を確認すれば多数の昆虫の生息証拠が得られる。
特にタヌキのように同じ場所で糞をし続ける習性を持つ動物ならば、数十日分を越える証拠がそこに詰まっている。
自分はなるべくタヌキの溜め糞ポイントを記録するようにしている。


今回は時期が早かったために甲虫の鞘翅を含む糞は少なかったが、この場所を定期的に訪れれば自分が探している絶滅危惧種が生息している証拠は見つけやすいと思われる。




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