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自販機裏の罠


何かの用事で遠出して立ち寄った2018年のジョ◯フル本田。◯谷店。
その中のペット専門館。
店の前には2つの自販機が並ぶ。

2018/10/15撮影

自販機の裏には鳥の糞からの散布種子に由来すると思われるエノキ(榎)が生えており、そこには何種類かの昆虫が見られた。
現在は残念ながら(当然ながら)この木は伐採されている。あっという間に大きく育つ樹種なので仕方ないだろう。

自販機裏のエノキ


ハラビロカマキリ

樹上性のカマキリであるハラビロカマキリを発見。
当時は「こんな小さな木にもいるんだな」と感じた程度でよく観察しなかったが、今思えば生息地が拡大中の外来種であるムネアカハラビロカマキリかどうかを確認すべきだった。
自分は未だムネアカに出会った事がないためこの画像だけでは分からないが、在来ハラビロよりも大型で、名前の通りに胸部が赤い事が特徴だ。
こちらの島田氏のブログの比較画像が分かりやすいだろう。




そして蝶の幼虫も10匹ほど確認できた。
大きな角を持ち、街中のエノキに棲む蝶といえば種類はかなり限られる。

アカボシゴマダラ幼虫
アカボシゴマダラ幼虫

これは外来種アカボシゴマダラの幼虫だ。
幼虫は在来種のゴマダラチョウやオオムラサキに形状がよく似ている。
アカボシゴマダラはそれらの種よりも市街地への適応能力が圧倒的に高く、つくば市やその周辺では駅前やショッピングモールの敷地内でも普通に見られるようになった。都内でもよく見られる。

植え込み内のかなり小規模なエノキに発生する場合も多く、庭に生えていた高さ40cmほどのエノキ幼木ですら数匹が確認できた事もある。

アカボシゴマダラ・夏型成虫
イオンモールつくば産

幼虫の見分け方は以下のサイトの解説図が分かりやすい。




アカボシゴマダラはゴマダラチョウやオオムラサキのように非常に飼いやすいものと思われるが、特定外来生物であるため捕獲して持ち帰った時点で違法となる。

むしろ飼いやすさ(丈夫さ)故にマニアの放蝶由来の個体がここまで拡散してしまった部分もあるかもしれない。
本種は中国大陸由来の個体群と考えられている。

奄美群島在来の亜種との交雑や、ゴマダラチョウ、オオムラサキとの競合が懸念されており、実際にオオムラサキと交尾を行うアカボシゴマダラも観察されているため、繁殖機会に干渉が発生してしまっているという事になる。

特に外来個体群が奄美群島に入ってしまえば、交雑によって将来的に奄美亜種の絶滅は必至となるため、特定外来生物となった事は妥当だと感じる。


そして今回の生息ポイントは偶然にも目の前の店で虫カゴが売られているという状況なので、イモムシが平気で好奇心旺盛、将来有望な昆虫少年は知らずに法を犯す罠へとハマってしまいかねない。

そんな状況はそうそう発生しないだろうが…そう考えると冒頭のエノキがすでに伐採されている事はかえって良かったのかもしれない。

仮に何らかの在来種の棲家となっていたとしても、周辺にガーデンコーナーや林は豊富にあるため、そちらへと移動しているだろう。

ちなみに、今回のポイントでは広大な駐車場の真ん中に『恐らくは用地買収の話が破談となり、立ち退きを拒否したであろう一軒家』がポツンと存在する。
(そこに続く敷地通路は私道や道路という扱いになっているのか、夜間も閉鎖されておらず、Googleストリートビューでも家の真正面を撮影車が通っている)

この家も緑が豊富であるため、昆虫達のオアシスとなっている可能性が高い。

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