写真3_製品の外観

【100均分解】(5)ダイソーの「USBタッチセンサーライト」

※本記事は月刊I/Oに掲載された記事にページの都合で省略した部分を追加したものです。

はじめに

ダイソーでは様々な種類のLEDライトが108円で販売されています。その中で自動車のシガーソケット用USBアダプタと組み合わせて使用する事を想定した「USBタッチセンサーライト」がありました。
108円で販売されるデバイスに組み込まれた「タッチセンサー」はどのように構成されているのかに興味があり早速購入して分解してみました。

パッケージ

パッケージは一般的なブリスターパックです。LEDの発光色はダイソーのSMD LEDによくある「イエロー」となっています。
パッケージ裏面には主な仕様と簡単な使用方法・注意事項の表示があります。言語は日本語・英語・ポルトガル語の3か国語表記です。

写真1_パッケージの写真

写真2_パッケージの裏面

製品の外観

以下の写真はパッケージから出した状態です。曲げられるようになっている「アーム」の部分は柔らかいゴム状の樹脂になっています。また「発光部(LED)」は半透明の樹脂で覆われています。

写真3_製品の外観

発光部の裏面の「タッチセンサ」の部分は電極等ではなく通常のプラスチックで覆われています。

写真4_タッチセンサ部

外装の分解

外装を分解して制御基板を取り出します。制御基板部分の外装の樹脂はプラスチックのはめ込みになっています。カッター等を隙間に差し込んで樹脂を外していきます。樹脂を分離した状態が以下です。

写真5_外装分解

基板の裏面はタッチセンサ用のパターンのみで、タッチ部分に丸くシルクの表示があります。

写真6_基板裏面

プリント基板上の実装部品

プリント基板の表面に実装されている主要部品は以下です。
- 面発光LED 3個
- タッチコントロール用IC
- LEDドライブ用FET

写真7_基板表面

回路図

プリント基板より回路図を起こしました。非常にシンプルな回路構成となっています。

写真8_回路図

主な部品

面発光LED

回路図のLED1~3は面発光タイプの2835サイズLED(2.8mm x 3.5mm)でWarm Whiteのものが3個搭載されています。
33Ωの電流制限抵抗を経由してFET 1個で3個まとめてドライブされています。

写真9_面発光LED

抵抗33Ω経由でUSBのVBUS(5V)に接続して使用していますので、Ailexpressで販売されているVF=3V/0.2W(https://ja.aliexpress.com/item/32997830871.html)に相当するものだと推定されます。

同等品のデータシートは以下から入手できます。
https://www.bridgelux.com/sites/default/files/resource_media/DS55%20SMD%202835%200.2W%203V%20Data%20sheet%20Rev%20B.pdf

ドライブ電流は (5V-3V)/33Ω≒60.6mA で消費電力は約0.18W とほぼ定格で使用しています。

タッチコントロール用IC

回路図のU1はタッチコントロール用ICです。パッケージの表面には「JL223B」の表示があります。

写真10_タッチコントロール用IC

これは中国深圳市の「集领电子有限公司」の「JL223B单键触摸开关(1KEY TOUCH PAD DETECTOR IC)」(http://jldz168.com/?c=msg&id=58)です。

データシートは以下から入手できます。
http://jldz168.com/?c=download&id=97

本機ではデータシートの応用回路をほぼそのまま使用しています。

写真11_JL223B_応用回路

OLH端子は「出力モード選択」でタッチ検出時のOUT端子の出力の極性を選択します。L(デフォルト)で「High出力」、Hで「Low出力」となります。
HLD端子は「ホールド/同期モード選択」です。L(デフォルト)で「同期モード(タッチ検出期間だけOUT出力」、Hで「ホールドモード(タッチ検出のたびにOUTをトグル」となります。
回路図の設定では「起動時はLow出力=LED OFFでタッチするたびにLEDのON<->OFFを切替」という動作になります。

LEDドライブ用FET

回路図のQ1はLEDドライブ用FETです。パッケージの表面には「A2SHB」の表示があります。

写真12_LEDドライブ用FET

これはNチャネルMOSFET「SI2302」でAilexpressでは複数のメーカより同等品が販売されています。
日本の秋葉原にあるパーツショップのaitendoでも扱いがあり(http://www.aitendo.com/product/10781)かなり一般的に使われています。

データシートは以下から入手できます。
http://aitendo3.sakura.ne.jp/aitendo_data/product_img/transisitor/jcst/SI2302.pdf

今回の使用条件(Vgs≒5V, Ids≒180mA)に対して最大電流2.3A、ON抵抗70mΩ(typ.)と十分が余裕がある設計となっています。

写真13_SI2302のSPEC_抜粋

まとめ

108円という販売価格でタッチセンサ機能を実現する設計はどのようなものかと分解したのですが、結果は必要最低限の構成で専用ICを使用するという「正当な設計」となっていて、今回も「良い意味で期待を裏切って」くれました。
基板上のタッチコントロールICを使用してFETのベース抵抗を外してマイコンボードへ接続すれば簡単にタッチ検出ができます。HLD端子はHレベルになっていますが、ピンを浮かせるだけでタッチ検出時のモード変更も簡単にできるので、電子工作の素材としても非常に使いやすい構成になっています。

このレベルの製品が中国の現地で調達できる部品を使用することによりこの価格(108円)で販売できるということは筆者のようなモノ作りをする人間としては純粋にうらやましい環境だと強く感じています。


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やったー!
80
同人ハードウエアを作りながら分解しています (twitter: @tomorrow56) 月刊I/Oの連載「100円ガジェット分解」が単行本になりました。 https://amzn.to/38lpvTP