![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40412976/rectangle_large_type_2_3aa217d9b32407fb7495e3da68286a4e.jpg?width=1200)
【100均ガジェット分解】(16)ダイソーの「人感センサーライト」
※本記事は月刊I/Oに掲載された記事にページの都合で省略した部分を追加したものです
ダイソーで人が近づくと自動で点灯する「センサーライト」を300円(税別)で発見しました。早速購入して分解してみます。
■パッケージと製品の外観
「センサーライト」はLEDライトのコーナーで見つけました。パッケージは最近ダイソーでよく見かける茶色い台紙のブリスターパックです。中央には人感センサのようなものがあります。
![01_LEDライトのコーナーで発見](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40413303/picture_pc_05b1341f783e82d4b7d3833a372639ee.jpg?width=1200)
LEDライトのコーナーで発見
台紙の表面には簡単な仕様、裏面には取説が記載されています。裏面下段には低価格ガジェットの企画製造卸会社である「株式会社グリーンオーナメント」(https://www.green-ornament.com/)の記載があります。前回のリモコンライトも同様のパッケージでしたので、ダイソー向けのグリーンオーナメント製品の共通カラーのようです。
![02_パッケージ台紙の表示](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40413324/picture_pc_54ac661ca0f6c0489f5e84fcb0c1282f.jpg?width=1200)
パッケージ台紙の表示
■本体の分解
パッケージの内容
パッケージの内容は「本体」と取り付け用の「差し込みフック」「両面シール」です。本体の正面にはLEDと人感センサ・明るさセンサが配置されています。
背面には単4電池3本用の電池ボックスと動作モード切替スイッチがあります。動作モードはOFF・AUTO(自動で30秒点灯し消灯)・ON(常時点灯)の3モードです。
![スクリーンショット 2020-12-09 21.27.54](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40529518/picture_pc_db632bbb1858a1e7fabf73779621f12b.png?width=1200)
センサーライト本体
本体の分解
本体は背面の四隅の固定用のビスを外すことで開封できます。
![スクリーンショット 2020-12-09 21.30.15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40529648/picture_pc_fd701659b360d00c50968e297101e058.png?width=1200)
開封した本体
メインボードは背面の成形品にビスで固定され、電池ボックスとリード線で接続されています。
本体正面に配置されたLEDはアルミ基板上にCOB(Chip on Board)実装されたモジュールで、アキシャルリードタイプの抵抗(6.8Ω)を経由してリード線でメインボードと接続されています。
メインボードの固定ビスを外すとスイッチボードがあり、メインボードとはリード線で接続されています。
![スクリーンショット 2020-12-09 21.34.02](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40529930/picture_pc_7a522d9480fee4cdefe4f747527db4ea.png?width=1200)
メインボードを外した状態
■回路構成
メインボード
メインボードはガラスコンポジット(CEM-3)の片面基板です。表面(パターン面)には基板の型番(HZFDZ-JC001A)がシルクで表示されています。
表面に実装されている部品は全て面実装、主な部品(半導体)は電源安定用のLDOとコントローラ、LEDドライブ用のFETです。
基板上にはリード線をハンダ付けするためのパッドが設けられています。
![スクリーンショット 2020-12-09 21.37.10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530152/picture_pc_d02a1c3f4915dfd3592129e05d0cf3da.png?width=1200)
メインボード(表面)
人感センサ及び明るさセンサは裏面から足を挿入してハンダ付けされています。
![スクリーンショット 2020-12-09 21.38.27](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530230/picture_pc_6e400c76400c20b34719996180534c63.png?width=1200)
メインボード(裏面)
回路構成
基板パターンからメインボードの回路図を書き起こしたものが以下になります。
![08_回路図](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530318/picture_pc_8c9a9f3e5ea32ab3fa6d535c013022e0.png?width=1200)
回路図
乾電池(単4乾電池電池x3本の直列接続=約4.5V)からU2のLDO(Low-dropout regulator)でコントローラ・センサー系の電源の2.8Vを生成しています。
COB LEDのアノードは乾電池の+側につながっています。動作モード切替スイッチは、以下のようになっています。
●「ON」:乾電池の-側が6.8Ωの抵抗を介してLEDの両端に接続されて常時点灯
●「AUTO」:乾電池の-側が基板のGNDパターンに接続されて、コントローラ・各センサーが動作をしてLEDドライブ用のFET Q1を経由してLEDの点灯を制御
基板上のR4には6.8Ωのチップ抵抗が実装されていますがその先に何も接続されていません。これは消費電力の関係で基板完成後にアキシャルリードの抵抗に変更されたようです。
■主要部品の仕様
次に本製品の主要部品について調べていきます。
PIRセンサ D203S
![09_PIRセンサ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530637/picture_pc_07baf67d9b7a33ef5fc20c2b5936057f.jpg)
PIRセンサ
写真はメインボード(裏面)の「人感センサ」の樹脂キャップを外したものです。形状よりPIR(Passive Infrared Ray)センサーであることがわかります。
本機で使用している3端子のタイプは「D203S」という型番で複数の会社で作られている「中国での汎用品」でAliexpressでは10個350円で販売されています。
https://bit.ly/2TvCnBR
データシートは複数メーカーで同じものが使いまわされており、代表的なもの(会社名が検索しても存在しない「PIR SENSOR CO., LTD」)が以下より入手できます。
https://bit.ly/3grM1zA
SPEC上は「Supply Voltage: 3-15V」ですが内部等価回路をみる限りでは本製品(VDD=2.8V)でも動作する範囲だと思われます。
フォトトランジスタ HW5P-1
![10_フォトトランジスタ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530824/picture_pc_7d7b516fe9df6cd4bf13061eff963021.jpg)
フォトトランジスタ
「明るさセンサ」にはフォトトランジスタが使用されています。この形状のものはadafruitで1個$0.95で販売されています。
https://bit.ly/36otQpE
これは深圳市海王传感器有限公司(Shenzhen Heiwang Sensor Co.,ltd., http://www.szhaiwang.cn/)
の「HW5P-1」で、データシートは以下から入手できます。
https://bit.ly/2Xnx6xE
こちらもSPEC上は「Supply Voltage: 3-15V」ですが内部等価回路をみる限りでは本製品(VDD=2.8V)でも動作する範囲だと思われます。
COB LEDモジュール LZ4010-9
![11_COB_LEDモジュール](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40530935/picture_pc_6f0fbe2d49d7a76a198f7a5242f4770c.jpg?width=1200)
COB LEDモジュール
アルミ基板上に実装されたCOB LEDのモジュールです。印字されている型番はサイズ(40mm x 10mm)とLEDの数(9個)となっています。
点灯時のLEDの両端電圧(VF)は2.8V(実測)です。
このサイズのものは一般的ではないようでWeb上での検索では見つけられませんでした。
本製品では直列に6.8Ωの抵抗を挿入して使用していますので、動作電流は (4.5V–2.8V)/6.8Ω=0.25A, 消費電力は 2.8Vx0.25A=0.7Wです。Aliexpressでは同等の動作条件でサイズが異なる(60mm x 8mm)ものが1個90円程度で販売されています。
https://bit.ly/2AOcd6X
LDO(Low-dropout Regulator) SC6206B
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40531013/picture_pc_ec6c6b23db18427de1d571886091c8ff.jpg)
LDO
マーキング「54FK」および出力電圧2.8V(実測)から深圳市富满电子集团股份有限公司
(Shenzhen Fuman Electronics Group Co., Ltd., http://www.superchip.cn/)
の「SC6206B」と判明しました。Aliexpressでは100個250円で販売されています。
https://bit.ly/2WUUbbM
データシートは以下から入手できます。
https://bit.ly/3gi71IV
型番からオリジナルは「Torex SemiconductorのXC6206シリーズ」だと推測できます。XC6206シリーズのデータシートは以下から入手できます。
https://bit.ly/3bXeZDX
プロセッサ 詳細不明
![13_プロセッサ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40531154/picture_pc_044e06872743e494c4f2fda89761fe87.jpg)
プロセッサ
表面のマーキング(SW06D)およびVDD・VSSの配置をベースに検索をしたのですが、Web上では発見することができませんでした。
オペアンプの可能性もあるのですが、本機の「30秒点灯」という時間制御からプロセッサーと判断しました。ちなみに、チップを基板から剥がしてみたところ裏面に別のマーキングがありました。
![14_プロセッサ_裏面](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40531188/picture_pc_f44d1318d1107002ee65205fba0a0409.jpg)
プロセッサ(裏面)
N-MOS FET 型番不明
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40531230/picture_pc_4d56fae843874f5899db78f634a3ddb3.jpg)
N-MOS FET
表面のマーキング(A2)だけでは型番を特定することはできませんでした。
コントローラからの信号に直列抵抗(R2)が入っているので当初はNPNトランジスタだと推定したのですが、COB LEDの駆動の為にはパッケージサイズ(SOT-23)に対する電力損失が大きいので、前回の記事でも使用した「Multi Function Tester TC-1」(https://bit.ly/3am2Vv8)で確認した結果「N-MOS FET」であることがわかりました。
![16_マルチファンクションテスターでの確認結果](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/40531354/picture_pc_8f2c9163a75e3428a460c15629e43a08.jpg?width=1200)
マルチファンクションテスターでの確認結果
これに似たマーキングのN-MOS FETとしては「SI2303」(マーキングはA2SHB)があるのですが、各パラメータが実測値と微妙に異なるため、型番の特定には至りませんでした。
SI2303のデータシートは以下から入手できます。
https://bit.ly/2N44bwB
■まとめ
本製品を分解して感心した点は、製品のポイントになる「センサ」及び「LED」はそれなりにきちんとした部品を使用しているところです。
使用電圧がセンサの部品SPECから若干外れているのも内部の回路構成から判断したのであればある意味「日本メーカーの基準ではできない設計」と言えます。
本製品は前回の「リモコンライト」と同じ「株式会社グリーンオーナメント」(https://www.green-ornament.com/)の製品です。
「日本で企画し提携している中国のパートナー設計・生産(ODM)する」というビジネスモデルですが、社内に「ローコストの量産設計を理解したプロ」がきちんといるのではないかと感じます。
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