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生成AI時代だからこそのNFT活用法

ChatGPTに代表されるAIによる文章生成が話題になる中、最近は画像や動画までもAI生成が一般化しており、AIの学習元となる作品の著作権などの扱いが問題視されるようになってきました。

そんな中、以下のような記事を見かけたのですが、僕はいよいよ「AIに仕事が奪われる」が現実になると戦慄しました。

記事では、「自社の素材ストックサービスを学習元としているため、権利問題がクリアされている」としていますが、要は絵師や写真家がAIの素材を作る下請みたいな立ち位置になるということなので、厳密には仕事を奪われていないないものの、著作者の権利を行使できないという意味では、価値は下がるという印象でした。


▼NFTに対する疑問

本稿は、この問題に対してNFTの技術で解決できないかという提案なのですが、自分は今一つまだこの”NFT”を理解できていないので、「自分の理解している範囲では~」のエクスキューズが付いた内容となります(もし、より詳しい人で自分の認識が完全に誤っているようでしたらコメントで指摘いただけると幸いです)。

まず、デジタルデータに「唯一無二な資産的価値を持たせる」というNFTが話題になったとき、自分には2つ疑問がありました。

一つは、NFTにより自分の所有するデータが「他のコピーとは違うオリジナルデータ」であることが証明できたとしても、実質的に同じデータならコピーで問題ないのでは?というもの。

もう一つは、オリジナルの著作者が例えばデジタルアートだったら1ピクセルだけ変えて別の作品として発表(販売)していけばオリジナルの価値が失われてしまうのでは?というものでした。

▼NFTに対する理解

この疑問に対して関連する記事を読んでいく中で自分なりに理解したのは、NFTで管理されるのはデータそのものではなく、その資産を持っているという権利であるということ。

話題になったのがデジタルアートだったりしたので混乱したのですが、リアルで考えずにデジタルの”プラットフォームやコンテンツを跨いで活用できる所有物”として考えると分かりやすい。

例えば、”五条悟”というキャラクターを購入したとして、Aというゲームでは2Dのドット絵で登場するが、Bというゲームでは3Dのモデルでアクションを楽しめるみたいな活用法です。

これならコンテンツのデータとしてのコピーを手に入れたとしても、それを使う権利は持っていないのでサービス(ここではゲーム)は楽しめないので、価値を生み出せます(もちろん、取り扱うサービス側の対応が必要にはなりますが)。

また同様に、著作者が類似のコンテンツを販売しても、取り扱うサービス側が対応しなければ意味がないので、価値を抑制できるでしょう(単体のデジタルアートの場合はできそうですが、自身の価値を落とすことになるのでやはりやらないでしょう)。

▼生成AIにおける活用法

ここで冒頭の生成AIの話に戻りますが、「見た目が変わっても権利は行使できる」というNFTの特性を利用して、発表するコンテンツに対して、

・AIによる学習を許可する
・AIによる学習を許可しない
・NFTによる権利付きで許可する

みたいな選択肢を付けられるようにして、生成AI側からはタグのような形でオリジナルの学習割合の開示や学習元作品(または著作者のSNS等)へのリンクをたどれるようにすることで、権利者に還元できるようにしたらどうかと考えてみました。

また、NFTでは2次流通時の著作者への手数料などの仕組みもあるとのことなので、生成画像で利益を得るようにすることもできそうです(ただ、学習割合に応じてということだと特定の作家が手数料を高くするとかは難しそうなので、そこは別途業界標準などを定める必要がありそう)。

正直、こうした仕組みを整備したとしても、学習の範囲が広すぎてAI生成画像からの収益は微々たるものになると思いますが、それでも学習元の作家が明らかになることで、生成時のスクリプトに「○○さん成分多めで」とか人気作家が生まれてくればオリジナルの作品に注目が集まったり、直接指名で発注があったりと可能性は広がると思うので、商用サービスの下請けに甘んじて権利を手放すよりは良いのではないかと思いました。

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