Tmopiiaユーザーインタビュー『振り返り』(全3回)
Tomopiiaチームがモニターユーザーさんにインタビューしました!テーマは「振り返り」3回連載の第1弾 今回は花木祐介さんのお話です。
一般社団法人 がんチャレンジャー 代表:花木裕介氏
(画像はがんチャレンジャーホームページより引用:https://www.gan-challenger.org/profile-1/)
Q. まずは自己紹介をお願いします。
A. 一般社団法人がんチャレンジャーの代表です。3年前に中咽頭がんに罹患、標準治療と約4~5か月の抗がん剤・放射線治療を受け、2~3か月の療養期間を経て、なんとか画像から病巣が消えて9か月経過しました。
その後復職し、丸2年経ちました。今のところは回復傾向にあるという形で、経過観察中です。その中でちょうど一年前に法人を立ち上げ、今はWワークのような形で、メインの仕事とは別にライフワーク的な形ですが”、自分が罹ったがんという病気で大変な思いをされている方を少しでもサポートしたいということで活動を始めました。
(内容はインタビュー当時2020年10月のものです。)
Tomopiiaチーム:治療が終わっても、大きな不安を抱えたまま退院することになったとき、そこから次の一歩を踏み出すまでには色んな思いや体験があったと思います。
Q. 振り返ってみて、その当時どんな心境で過ごされていましたか?
A. 抗がん剤と放射線治療が終わり、無事に復職したのですが、当時はやはり体のことが一番不安でした。一旦は病巣が消えたと言っても、常に再発転移の不安がありますから、ちょっとした異変や痛み・違和感があるとすぐに、再発したんじゃないかとか、転移してるんじゃないかと思いました。
あとは、そういう風に思ってる自分は神経質すぎるんじゃないかという思いが頭から離れませんでした。常に体のことが気になり、そこからの不安や恐怖、何とも言えない違和感みたいなものを自分の中で無理やり消化しようとしていたような気がします。
Q. その頃に受けたサポートや、相談する相手はありましたか。
A. 同じがん種の方がそんなに周りに多いわけでもなく、なかなかそういう繋がりもなかったのですが、自分なりにやっていたことが二つありました。
一つは会社の福利厚生でメンタルヘルスのカウンセリングを受けることでした。病気になる前から受けていたのですが、復職した後も3か月に1度くらい続けていました。同じカウンセラーさんに自分の話を聞いてもらい、翌3か月後には、前回何て言ってましたか?という所から、実際今どうなっているかということまで、自分の当時思っていたことと、それに対して今思っていることの「振り返り」をしていました。現状把握の様なことを、私なりにその会社の制度を使いながらやっていたところは良かったかなと思います。
3か月に1回カウンセリングを受けることで現状も吐き出せますし、あの時はこう言ってたけど、それに比べれば今は少し成長したかなとか、ちょっと不安が減ってきたかな、というようなことを定期的に客観視することができました。
あともうひとつですが、罹患前から書いていたブログを、治療中も復職後もずっと書き続けていました。3ケ月間の中で湧きおこる日々の悩みをなんとなく綴って、あとはそれを見直してみて、あの時こういう風に思ってたみたいなことを、ブログというツールを使って自分なりに振り返る場を持つことができました。ブログに自分の現状を吐き出せたということで、そんなにメンタルダウンや鬱になることもなく、こうやって代表をやるような法人を立ち上げられた一つのきっかけになったと思っています。それがよかったかどうかわからないですが、個人的にはチャレンジしたいなという風に思いました。
Tomopiiaチーム:お話を伺って、ブログなんかもそうですが、能動的にアクションをとったり、「振り返り」に自ら動くってところに大事さを感じました。ですが、なかなかそういう風に動ける人ばかりではありませんし、会社の制度でカウンセリングが受けられる人も多くありませんよね。今は病気の治療だけでなく、そういった受け皿が必要とされているんでしょうね。
Tomopiiaナース:私がすごいなと思ったのは、カウンセラーの方と今の吐き出しだけでなく、その3ヶ月後に前の時こうだったなというものを、もう一度前の自分と比べられるものがあったことです。そして、それが良かったのかなという風に感じました。
Q. 花木さんがされた二つの方法に違いはありましたか?
過去のブログを見直すということや、カウンセラーの方と「前のカウンセリングの時はこうだったね」と振り返ることで、花木さんの中で感じた違いがあれば教えて頂きたいです。
A. そうですね。カウンセラーの方は、私の話を聞いてメモをとっておられるので、私が「3か月前、何を言ってましたか?」と言っても、ちゃんと答えてくれました。当時、自分では成長実感みたいなのを得たいというのがあったんですが、体も気持ちも、仕事の面でも明らかに出来ないことが増えて、体をケアしようと思っても思うように動かせない中で、自己肯定感も下がっていくようでした。気持ちの部分で何か少しでも、一歩でも罹患前の状態に近づければいいんですけど、目の前の今の自分に納得してないというか、やっぱり罹患前が100だったとしたら、全然なんですけどね…30とか50とか…これでいいのかな?という、考え出すとマイナスのことばかり考えてしまうので、そういう自分が辛かったです。でも、そういうところから少し戻そうというか、せめて3ヶ月前より少しでも、という自分の歩みを自分の中で受け止めたいと思って、そういう意味では昨日よりはよくなったとか、今の自分と明日の自分をカウンセリングを通して比較して感じていくようにはしていました。
Tomopiiaナース:すばらしいですね。積み重ねって大事ですよね。
Q. 花木さんの今のゴールは何ですか?
A. 罹患前に山があったとしたら、そこに登っている途中に病気になってしまって、同じ山登りに行くというよりは、別の山・別の目標を見つけたと思います。法人を作ったのもそうですし、それを世の中に役立てていくという、そういう新たな山を自分の中で作れたと思っているので、そちらに歩みを進めて、その活動を自分の中で中心において、社会貢献し続けていければいいなというところです。
Tomopiiaナース:素敵ですね。様々な葛藤や苦しみがある中でそこに至るには、伴走してくれる人の存在は大きな力になるのではないかと感じました。
お話を伺っての感想(リーダーナース 上田樹里)
今回お話を伺った花木さんは、フルタイムの仕事に加えて団体の代表、お子さんのパパなど沢山の役割をパワフルにこなされている方でした。
そんな花木さんも、当時のことを伺うと、罹患前に描いていた目標や人生の再構築が必要だった思いや、常に再発転移の不安と向き合ってこられた経験がおありだったということがとても印象的でした。
そういった過去の苦しい時間をカウンセリングやブログによって支えられていたという振り返りがあったからこそ、今、その経験も含めて全て、同じように苦しんでいる方に役立てたいという彼の原動力になっておられるのだな…と感じました。
【一般社団法人がんチャレンジャー様のご紹介】
がんという病気に挑戦する方や、がんに罹患しながらも人生の挑戦を諦めない方を後押しするため、「人が人に寄り添う社会づくり」に貢献していくために立ち上げられました。
ホームページ: https://www.gan-challenger.org/
『がん罹患者にかかわる方必携「寄り添い方」ハンドブック』 https://www.gan-challenger.org/handbook/
代表者自身ががん罹患した経験から、復職後、多くの健常者の方より「がん罹患者とどのように関わればいいのか分からない」「どんな言葉をかけたら喜んでもらえるのか知りたい」といった率直な声多数あり、代表者が周囲に支えていただいた際に感じたうれしかったかかわりやもっとこうしてほしかったといったかかわりなどの経験と、産業カウンセラーとしてのノウハウを踏まえて、本ハンドブックを制作・普及されました。
『一般社団法人がんチャレンジャー YouTube 番組「寄り添い方体験談」』
https://www.youtube.com/channel/UCL_t5Zx5JO8apy9EzR2zJEw
がんサバイバーやサバイバーを支える方の寄り添い方体験談を載せておられます。ぜひご覧ください。
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