がんになったとき、受けられる社会保障は?~高額療養費編~
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がんになったとき、受けられる社会保障は?~高額療養費編~

がん罹患者の変遷1

がんを罹患された方が病気が発覚してから、治療・退院・療養を経て新しいライフスタイルを見つけるまで、上図のように移り変わります。ここでは、それぞれの状態で起こることや、罹患された方が感じていることについて、ご紹介して参ります。

(文:訪問看護経験者 カモミールナース)


がんが発覚したときの精神的ショックは、はかり知れないものです。さらに痛みなどの症状や予後についての不安も大きかったのではないでしょうか。同時に、仕事を続けられるかどうか、治療にかかる費用はどれ位になるのか、という現実的な不安が押し寄せたかもしれません。何よりも命が大切であり、生活していくこともとても重要です。お金の不安が少しでも軽減できれば、治療に専念する気持ちにつながることもあると思います。ここでは、治療や入院にかかる費用の負担を軽減する高額療養費制度ついてご紹介いたします。

医療費支払いのイメージ

高額療養費制度とは?

まず、ご自身が入っている医療保険について確認しましょう。「入院や治療にいくらかかるか」は、個人の病状や受ける治療・使う薬・治療を受ける病院により大きく違ってきます。計算も非常に複雑なので、○○がんで手術したらいくら、という計算を前もってすることは現実的ではありません。
日本では、医療費の支払い負担を軽くする「高額療養費制度」が法律で定められています。70歳以下の方の場合、医療費の自己負担額は3割となりますが、これが高額になったときに、一定額(法定自己負担限度額)以上は「高額療養費」として支給されます。つまり、定められた限度額以上の負担はないということです。入院して手術するとなると、何十万円もかかることはめずらしくないのですが、「支払うのは限度額まで」です。ですから、まずはご自身の自己負担限度額を知ることが必要です。

自己負担限度額

高額療養費制度では、請求された医療費の全額を一旦支払い、後で自己負担限度額を超えた分が払い戻しされ、通常は診療月から3ヶ月後に支給されます。とはいうものの、一度は高額な医療費を支払う必要がありますし、戻ってくるのが3ヶ月後というのは厳しいですね。そのような場合「限度額適用認定証」を病院、薬局などの窓口で提示すると、限度額までの支払いで済みます。なお、限度額適用認定証の発行は、前もって申請しておく必要があります。国民健康保険の場合は市町村の窓口、けんぽ組合の場合は各組合のホームページで申請できます。協会けんぽの場合は、以下のホームページとなります。医療費が高額になりそうなときは、ぜひ事前に申請しておきましょう。所得区分は限度額適用認定証に記載されています。
協会けんぽの申請:全国健康保険協会ホームページ


公的医療保険の種類

限度額よりさらに負担が軽くなるケース

①健康保険組合に加入している場合
公的医療保険には、年齢や就労先により、いくつか種類があります。70歳以下の働く世代は、被用者保険・国民健康保険のどちらかに加入しています。会社員の方は被用者保険、自営業の方は国民健康保険となります。被用者保険のうち、勤務先が大企業(あるいは各種業界)の場合は健康保険組合(けんぽ組合)、中小企業の場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)になります。両者のうち、保険料が安く、さらに付加給付などのメリットがある場合が多いのはけんぽ組合です。ご自身の保険証を確認し、加入されているけんぽ組合の高額医療費制度を調べてみてください。

②多数該当になった場合
療養を受けた月以前の1年間に、3ヶ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヶ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます(自己負担限度額表の右側)。

③世帯合算に該当する場合
世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関に受診した場合や、お一人が複数の医療機関に受診したり、ひとつの医療機関で入院と外来で受診した場合は、自己負担額は世帯で合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます(ただし、同じ保険に加入していること)。70歳未満の方の合算できる自己負担額は、21,000円以上のものに限られます。つまり、A病院で21,000円以上、B病院(薬局)で21,000円以上となった場合となります。70歳以上の方は自己負担額をすべて合算できます。

高額療養費についての留意点

①月ごとの計算
診療をうけた月の初日から月末までを1ヶ月として計算します。月末から翌月にかけての入院治療になると、支払総額は同じでも月額としては上限に達せず、適応外になることがあります。1ヶ月未満の入院であれば、同一月内に退院したいものです。

②医療機関ごとの計算
複数の医療機関にかかった場合は、それぞれ別の計算になります。総合病院は診療科ごとに計算しますが、入院時にその病気の関連で同一病院内の他科の診療を受けた場合は合算できます(ただし、歯科は別に計算)。

③処方箋による処方
処方箋により薬局で調剤を受けた場合、その金額は処方箋を発行した診療科の医療費として計算します。

④入院時食事療養費(食事代)や差額ベッド料・個室代金
これらは対象外になります。民間の生命保険に加入していれば、これらの費用が補填できるでしょう。

痛みや苦痛には肉体的なものだけでなく、精神的なもの、社会的なものもあるとされています。病人である前に生活者である以上、金銭的な不安は思っている以上に心身に影響を及ぼします。高額療養費制度を利用し、少しでも負担が軽減できることを願います。引き続き、利用できる社会保障制度についてご紹介していきます。

Tomopiiaではこういった方々をサポートしていきたいと考えています!
1人で抱え込まずにいて下さればと思います。

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筆者ご紹介 カモミールナースさん
合計臨床経験26年 総合病院混合内科で7年、在宅分野は介護予防事業む含め20年目。訪問看護では、慢性疾患ケア全般、終末期ケアをはじめ難病や小児ケアにも携わる。カモミールには炎症を抑えたり、気持ちを安定させるなどの薬効がある、古くから薬草としても利用されています。花言葉は「逆境に耐える」「苦難の中の力」「親交」。逆境や苦難の中でこそ生まれてくる力を発揮できるよう、周りを支えられる存在になれればと日々奮闘中!


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