がんが発覚したことを打ち明けられた家族はどう対応すれば良いの?
がんを罹患された方が病気が発覚してから、治療・退院・療養を経て新しいライフスタイルを見つけるまで、上図のように移り変わります。ここでは、それぞれの状態で起こることや、罹患された方が感じていることについて、ご紹介して参ります。
(文:訪問看護経験者 ガーベラナース)
大切な家族から、ある日突然がんになったことを打ち明けられた時、どう対応すれば良いのか、またその後、どうご家族をを支えれば良いのか、家族として心に留めておくと良いポイントを2つお伝えしようと思います。
罹患者本人の思いを受け止めましょう
まず1つ目は、罹患者本人の思いを受け止めることです。これは最も大切なことであり、同時に最も難しいことでもあります。罹患者本人もショックを受けますが、報告を聞いた家族もショックや怒り、否定したい気持ちでいっぱいになるでしょう。それらは人間としての正常な反応であり、無理に打ち消そうとしたり、感じないようにしようとする事は良い解決策ではありません。
報告を受けた家族としては、自分の気持ちを大切にしながらも、まずは罹患者本人の思いを受け止めてみましょう。それだけで、罹患者本人もホッとできると思います。がんになったことを家族に打ち明ける事はとても勇気のいることです。そのうえで具体的に行動するとしたら……?その答えはあなたと罹患者本人の関係性の中から自然と出てくると思います。言葉で「打ち明けてくれてありがとう。ショックだったよね?力になりたい」と伝えること、言葉はなくともただ手を握ること、ご本人の思いをただ聴いてうなずくこと、一緒に涙を流すこと。
これらを「傾聴」と「共感」と言います。相手の思いに一緒に浸り、思いに耳を傾けることで相手はとても救われた気持ちになります。
特別な言葉や態度でなくても、あなたが相手を思って取った行動に込められた気持ちは、ちゃんと相手にも届いていると思います。
ここで少しだけ気を付けていただきたいのは、湧き上がってくる怒りや否定したい気持ちを、罹患者本人にぶつけない様にぐっと堪えることです。怒りや否定の気持ちは、ご家族ではなく病気にぶつけるものかもしれません。「何でもっと早く検査受けなかったのよ!!」と言うのではなく、「あなたにこんなつらい思いをさせる病気が憎い」と伝えるのが良いかもしれません。
※傾聴・・・耳を傾けてきくこと。熱心にきくこと。
※共感・・・他人の体験する感情や心的状態、あるいは人の主張などを、自分も全く同じように感じたり理解したりすること。
~広辞苑より~
あなた自身の心のケアをしましょう
2つ目に大切な事として、あなた自身の心のケアをすることです。目の前のご家族の事で頭も心もいっぱいになっていることに加え、前述したように罹患者本人の気持ちを受け止めるため、自分の気持ちを少し横に置かないといけないこともあり、あなた自身にも相当ストレスがかかる状態になりがちです。がんになったことでショックを受けているのは、ご本人だけでなくあなたも同じです。あなた自身が、自分にも心のケアが必要だということを念頭に置いてくださいね。
そんなとき、自分の心を癒す引き出しがいくつかあれば良いと思います。例えば、少し気持ちを変えるために自分が楽しい、心地よいと感じる行動を敢えて取るのも一つだと思います。「家族の一大事の時に自分だけ楽しむ事は出来ない」とうしろめたく感じるかもしれません。でもそれがあなた自身の心の平静を取り戻す、保つことに繋がるのであれば必要なプロセスなんだと思いましょう。大きなことでなくても、例えば普段は買わない少し高めのスイーツを買ってみる、少し時間を取って散歩したり、音楽を聴いたり、好きな景色を見に行くなど、日常の中で自分のための時間を工夫しながら取り入れることが出来るとより良いですね。大切なことは、「この時間は私が私の心を癒すための時間」ということを意識することではないでしょうか?あなた自身が気持ちや身体をいたわり、日々の生活を大切にすることが、ご本人の支えにもつながります。また、家族同士で気持ちをシェアして話すことも大切です。家族だからこそ本音でできる話は、今後がんと闘う上で重要な過程になるでしょう。
もちろん、これらのことをしても心が塞ぎ込んでしまうこともあると思います。そんな時は罹患者本人がかかる病院で思いを打ち明けてみるのもひとつです。大きな病院であれば、相談センターなどの窓口もあると思います。
こちらのサイトも参考になさってください。
※国立がん研究センターがん情報サービス 家族ががんになった時
https://ganjoho.jp/public/support/family/fam/index.html
全国のがん相談センター
https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/xpConsultantSearchTop.xsp
がんを打ち明けられた家族として、罹患者本人への対応、ご自身へのケアのヒントになればと思います。
次項では、家族としてがん発覚の報告を受けたあるナースの体験をシェアします。ここに書いてあることと一緒に見て貰えればと思います。
Tomopiiaではこういった方々をサポートしていきたいと考えています!
1人で抱え込まずにいてくださればと思います。
(サービスの対象となるのは、がん罹患者本人様に限ります)
筆者ご紹介
ガーベラナース
合計臨床経験12年。ER・集中治療室経験などを経て訪問看護の道へ。訪問看護は管理者を含め6年のベテランナース。在宅看護領域で修士課程修了、ケアマネジャーの資格も持つ。
ガーベラの花言葉「希望」「常に前進」通り、じっとしていられない猪突猛進タイプ。山登りやスノーボードなどアウトドア好き。子どもが成長し一緒に山登りを楽しむのが夢です。
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