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【後編】COVID-19ワクチン がんの私は優先接種??

(文:ナース経験12年 ガーベラナースさん)

前回の記事で、COVID-19ワクチンの基本的な仕組みや国全体としての接種開始時期の見通し、費用について説明しました。

特に、がんに罹患された方々にとってワクチンについてのニュースは、不安や期待など様々な思いで映ることと思います。

国は新型コロナワクチン接種について、接種順位にも指針を示しています。

ここでは、基本的なワクチン予防接種の流れに加え、国が示している接種順位の考え方や、がんに罹患されているあなたがどうすれば良いか、などについて解説していきたいと思います。

ワクチン優先順位_自治体

基本的なワクチン予防接種の流れ

 新型コロナウイルスワクチンの予防接種は、国の指示のもと、都道府県の協力により、市町村において予防接種を実施するとされています。

 全国的に行われるであろう予防接種ですが、具体的な実施については、市町村が進めることになっています。つまり、基本的には、皆さんがお住まいの市町村での接種となりますので、市や町の広報誌などを定期的に確認しておくことが必要かもしれません。

 がんに罹患されている方で、かかりつけの病院が住んでいる市町村と別なので心配という方もいらっしゃるかもしれません。

 そんな方でも大丈夫です。現在厚生労働省が自治体に説明するために作成している資料によると、住所地外での接種対象者として、基礎疾患を持つ者が主治医の下で接種する場合は、例外として居住地外で接種することになっています。

 原則は居住地内での接種ということになっていますが、自分がどちらに該当するのか、慌てずに自治体の広報誌や案内、病院や主治医の指示に従ってください。

ワクチン優先順位_厚労省接種場所の原則と例外について

新型コロナウイルスワクチンの 接種体制確保について 自治体説明会①

ワクチン優先順位_表題

国の示す接種順位の考え方

 また、ニュースでも話題になっていると思いますが、限られたワクチンを効率的に、かつ有効に国民へ届けるために、国は接種順位についての考え方を示しています。

 下の表によると、基礎疾患を有する方への接種も、第3段階での優先接種対象とされています。

ワクチン優先順位_接種順位の考え方

2020年12月25日 第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会資料

ワクチン優先順位_疾患

基礎疾患を有する者とは・・?

 高齢者以外で基礎疾患を有する方について(案)は以下の方々が想定されているようです。

1. 以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
 ① 慢性の呼吸器の病気
 ② 慢性の心臓病(高血圧を含む)
 ③ 慢性の腎臓病
 ④ 慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く)
 ⑤ インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又はは他の病気を併発している糖尿病
 ⑥ 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く)
 ⑦ 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む)
 ⑧ ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
 ⑨ 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
 ⑩ 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸器等)
 ⑪ 染色体異常
 ⑫ 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
 ⑬ 睡眠時無呼吸症候群
2. 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
2020年12月25日 第43回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会資料

 現時点での案によると、がんの方は優先接種の対象になる「基礎疾患」に含まれています。

 ただ、基礎疾患をお持ちの方は、ワクチンを接種しても良い体の状態かどうかについての心配も大きいと思います。
特に免疫が低下している状態にある場合など、ワクチンを受けることが可能かどうかは、ご自身の主治医の判断を仰ぐ必要があります。

 しかし、ここまで説明した通り、COVID-19ワクチンの予防接種については、まだ日本で始まっておらず、準備を進めている段階にあります。自分がワクチンを接種できるかどうか、心配な気持ちも大きいかもしれませんが、現時点では主治医に相談する時期ではないかもしれません。

 ワクチン接種が本格的に始まらないと、医師も判断することが出来ません。定期的に情報を更新しながらも、引き続き感染予防に努めていきましょう。

ワクチン優先順位_Factcheck

正しい情報のチェックを!

 最近では、ニュースや情報番組だけでなく、様々な媒体で色々な情報が流れています。その中には、時として真実でない情報があたかも真実かのように記載されている場合もあります。情報を入手する際には、厚生労働省や自治体のホームページ、広報誌などを基準にしておくと良いかもしれませんね。

 そして新型コロナ感染予防の面でも、がんと闘う面でも、免疫力を高めておくことは、今のあなたにもできる大切な対処法の一つだと思います。
免疫力は、食事、睡眠や疲労、ストレスなどとも関連があります。
生活の中で免疫力を上げていけるように、心と体を整えて過ごすことができると良いですね。

筆者ご紹介 ガーベラナースさん
合計臨床経験12年。ER・集中治療室経験などを経て訪問看護の道へ。訪問看護は管理者を含め6年のベテランナース。在宅看護領域で修士課程修了、ケアマネジャーの資格も持つ。
ガーベラの花言葉「希望」「常に前進」通り、じっとしていられない猪突猛進タイプ。山登りやスノーボードなどアウトドア好き。子どもが成長し一緒に山登りを楽しむのが夢です。


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