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がん発覚時、誰にどう伝える?何が正しいの?

がんを罹患された方が病気が発覚してから、治療・退院・療養を経て新しいライフスタイルを見つけるまでの変遷をイメージすると以下のようになると思います。(必ずこのような形になるとは言えませんが)

がん罹患者の変遷1

ここでは、それぞれの状態で起こることや、罹患された方が感じていることについて、ご紹介して参ります。

(文:訪問看護経験者 ガーベラナース)


前項で、がん発覚時に誰に伝えるかについては3つのパターンがあるとお伝えしました。では実際の所、どのパターンがいちばんいいのでしょうか?
結論から言うと、どれが正解でどれが間違いということはありません。伝えること、伝えないこと、それぞれにメリット・デメリットがあります。それらを比較して、あなたが大切にしたいことを軸に、どうするかを決めることが望ましいと思います。
ただでさえ、がんが発覚してショックや混乱がある時に、冷静に判断するのは難しいかもしれません。それぞれのタイプでのメリット・デメリットを整理してみましょう。

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1.誰にも打ち明けない

まず1つ目の「誰にも打ち明けない」についてです。これは、がんの発覚に直面した自分の心がある程度整理できるまで、周りの声に惑わされたくない、1人でゆっくり考えたいという方にはおすすめかもしれません。今まで通りの生活、周りの方との関係を続けながら、自分の中でゆっくりと情報収集したり整理したりすることで、誰にどこまで伝えるべきか?ということについて、落ち着いて考えることができます。
一方で、特にいつも一緒にいる同居家族などは、あなたの様子がいつもと違うことに気づく場合もあるでしょう。すでにあなたに何らかの症状がある場合には、出来るだけ早めに打ち明けた方がいいかもしれません。ご家族にも受け止める時間や、仕事の調整などの準備期間が必要です。時間的な余裕を確保し、
サポートしてもらえる体制を一緒に作っていけることが望ましいです。

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2.近しい人だけに打ち明ける

2つ目の「近しい人にだけ打ち明ける」についてです。これは「誰に」「どこまで」伝えるか、あなたの考えや思いをまとめる必要があります。メリットとしては、近しい人に打ち明けることで、これから闘病生活に入るサポートをしてもらう体制作りを一緒に考えて貰える事だと思います。もしあなたが「どういった関係の人に打ち明けるべきか判断に迷う」場合があった時には、是非一度に報告するのではなく、段階を追って伝えることを考えてみてください。まずは、あなたが最も頼りにでき、信頼できる方ひとりに打ち明けてみてください。そこで、あなた自身が「誰にどう伝えるべきか迷っている」という思いを率直に共有し、一緒に考えてもらうことが出来ると良いですね。
サポートしてもらいたい方に伝えるにあたっては、ただ報告するだけでなく「こういう所をサポートしてもらえると嬉しい」というように、具体的にどうして貰いたいかまで伝えることが出来ると相手にも伝わりやすいと思います。あなたのことを親身になって考えてくれるひとなら、他にもいい知恵を貸してくれるかもしれません。

無題の図形描画

3.公表する

3つ目の「公表する」についてです。これは何と言っても、自分自身の覚悟を決めることに繋がるのではないでしょうか?2つ目の様に、こまごまと考える必要はありませんし、「Aさんには伝えてBさんには伝えていなかったので、後でBさんから『なぜ私には言ってくれなかったの』と責められた」などのトラブルやしこりを残すことも回避できます。ただし、受け取り手も様々なため、あまりにも細かすぎる情報や自身の混乱している感情を赤裸々に語ってしまうことで、混乱を招いてしまったり、思いもよらないことが起こってしまうこともあるので注意が必要です。


どの選択肢も、覚悟と勇気が必要かもしれません。大切なことは、どの選択肢を選んだかという結果だけではなく、そこにどんなあなたの「思い」が込められているかということだと思います。病気の発覚を機に家族や友人、職場との絆が深まったというお話しをよく聞きます。今まさにこの状況に直面しているあなたとあなたを支える方々が、少しでも心を穏やかに治療や療養に向かえることを望んでいます。


Tomopiiaではこういった方々をサポートしていきたいと考えています!
1人で抱え込まずにいて下さればと思います。

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筆者ご紹介 ガーベラナースさん
合計臨床経験12年。ER・集中治療室経験などを経て訪問看護の道へ。訪問看護は管理者を含め6年のベテランナース。在宅看護領域で修士課程修了、ケアマネジャーの資格も持つ。
ガーベラの花言葉「希望」「常に前進」通り、じっとしていられない猪突猛進タイプ。山登りやスノーボードなどアウトドア好き。子どもが成長し一緒に山登りを楽しむのが夢です。

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