〇〇化というサラリーマン文学を捨てよう

システム化。情シスのお仕事そのものですが、「業務をシステム化」するというように、〇〇化がつく表現にはくれぐれも注意が必要です。中身が何もなくてもそれなりに何か言ってるような気になってしまいます。

「グローバル化にいち早く対応するには業務の効率化と最適化が必要で、プロセスの標準化、データの一元化と見える化、更にインフラの統合化を目指したシステム化の取り組みをプロジェクト化する必要がある」ー 9つの「化」を盛ってみました(笑)。まあ、これは極端な例ですが、〇〇化は情シスの企画書を格調高く装飾するための常套句です。

例えば「標準化」。この言葉が使われる際には現状は反対語の「バラバラ」な状態だとされます。バラバラはネガティブワード、標準化はポジティブワードですので、これを聞くと誰もが「そりゃ標準化が良いに決まっている」となるわけです。でも、そこで立ち止まって考える必要があります。現状がバラバラであるのは何故なのか。何か理由があるのではないか。それはそもそも悪い事なのか。多様性があって自主独立運営されていて素晴らしいことかもしれないぞ。標準化は本当に必要なのか。そもそもの取り組みの目的は何なのか。

企画書の文面だけ撫でると高度に抽象化された表現が格式が高く感じられますが、これは面白みにかける「サラリーマン文学」です。抽象度を下げて、個別具体的な事象に対して何が問題で何を変えるのか、その変える理由は何で、変えないことのデメリットは何か、変える上での障害は何かを深く考えて言葉にしましょう。

何よりも〇〇化と言葉にした時点で思考が停止し、深く考える事をやめてしまう事が最大の問題です。受験の「傾向と対策」のように、「こういうお題にはこういうフレーズ!」とパターン化された常套句を引き出しから取り出して企画書に並べるだけの単純作業をして仕事をした気にならない事です。

更に言えば、〇〇化が並ぶ取り組みは、経験的にワクワクしない退屈なものが多い。そのほとんどがアイデアに新規性がない改善案件です。ビジョンドリブンでない。ミッションドリブンでない。顧客の顔が見えない。そして何よりお金儲け(事業)の匂いがしない。

イノベイティブな‘0’→‘1’の取り組みは、決して〇〇化が並ぶ取り組みではありません。〇〇化が並ぶサラリーマン文学からはパッションの「パ」の字も感じられません。戦略にストーリーがないのです。面白い、楽しい物語りにこそ人々の心を踊らせる力が宿るのです。

サラリーマン文学を捨て、ワクワクするようなビジョンを、世界にたった一つしかない物語りを自分の言葉で紡ぎましょう。


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