陰陽シコウサクゴ
現代の栄養学は、例えば大根だったら、その大根そのものを「物質」として細分化し、顕微鏡で分析し、成分だったり、栄養素だったりを算出して評価する。
ところがマクロビオティックの食物の捉え方は、大根という「物質」は、その物質を取り巻く「空間(時空)」が作り出したもので、物質と空間を切り離すことができないと考える。
だから例えば、冬にできた大根と夏にできた大根は体に与える影響が違うし、北海道でできた大根と沖縄でできた大根は同じではないのである。
それだけでなく、栽培方法や作った人の想いなども、その大根の空間の情報として私たちの体に大きな影響を与えるということになる。
そういった現代の顕微鏡的な科学ではあまり考慮に入れない、空間の成分や栄養素までを考えるツールとなるのが陰陽という「天眼鏡」なのである。
だから陰陽を伝える時は言葉という情報だけでなく、伝える場という空間がとても大切になる。
つまりは、言葉の振動がその空間にどう伝わってどう帰ってくるかで、その様々に変化する空間の特性を直感的に把握し、言葉の振動を変化させ一体感を作っていくわけである。
ところが今年はそんな「伝える場」という空間が180度変わる時代になってしまった。
そもそもその空間を消去したオンラインという場である。
またリアルな場でも、ソーシャルディスタンスという、今までにない距離感である。
昨日、今年最後の陰陽セミナーを日本CI協会で開催した。
会場はソーシャルディスタンス仕様の10名限定、そしてZOOMによるオンライン受講が11名で、合計21名での講義。
まさに今年を象徴する「伝え方」の雛型のような講義となった。
スタッフの方がいろいろ試行錯誤してくれて、サイドにZOOM参加者の顔を映し出してくれたりして、何とか一体感を作り出す工夫をしてくれた。
とはいえまだまだ今までの空間感覚が抜けず、受講生の皆さんとの自然な一体感を作り出すコツがなかなかつかめない。
いやそもそも講座に一体感は必要なのかと問われるかもしれないが、そこはやはりマクロビオティックは「一体全体」を大切にする世界なのである。
特に陰陽という感性は、その一体全体感を感じた時に初めて心が動かされるのである。
今年は本当に試行錯誤の年だった。
来年は自分の空間把握をもっと拡大させる必要があるのかもしれない。
言葉の振動を距離や時間を超えてもっとダイレクトに心に伝えて、また距離や時間を超えてその心の共鳴を感じる。
つまり時空を超えて生きていく感覚が大切になのかもしれないと思う激動の年の講義納めでした。
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