うたスト小説、イラスト〜曲F

「イーパの村のパオ」

ある国の民族が住むイーパの村。
そこに、その少女がいた。
少女の名はパオ。
朗らかで家族思いの優しい娘だ。

ある日の朝、パオが家の庭で木の実を集めていると、

「パオやちょっとおいで」
村長であり、パオの祖父パジーは少し真剣な顔でパオを呼んだ。

「ん?なぁにお祖父ちゃん」
パオはパジーの元へ駆け寄った。

「パオや。
近々、この村の神を祀るための霊神祭があるというのは知ってるな?」

パジーはパオの目を見つめて言った。

「うん、3年に一度開かれるお祭りだね。
縁日も出て楽しみだよ」
パオは無邪気に微笑んだ。

「それの事なんだが。
パオに頼みがあってな。
神殿の祭壇にある水晶を持ってきてほしいんじゃ。
祭にはそれが欠かせない。
もし、水晶無しで開催すると災いがもたらされるという・・」
パジーは真剣な目で言った。

「それ、私じゃなきゃダメなの?」
パオは怪訝な顔だ。

「ああ、祭の年に15になる娘でないと効果が無いんじゃ。
今年15になるのは、パオしかおらん」
パジーは必死な目でパオを見ている。

「う〜〜ん・・、わかった。
祭壇の水晶をちょっと借りるだけでしょ?
私が行ってくるよ」
パオはあどけない表情のまま、あっけらかんと言った。

「おお、それは助かる。
パオ、そなたはワシの誇れる孫じゃ。
必ずややり遂げられるだろう。
水晶を得る前に試練とやらがあるはずだが・・」
パジーは少し笑顔になった。

「えっ?試練って水晶ただ持ってくるだけじゃないの?」
パオは少し困惑した。

「なあに、お前さんなら心配いらん。
何でも、ちょっとしたイベントをこなすだけらしい」
パジーは笑っている。

パオは何だか腑に落ちない様子だ。
だが、好奇心旺盛なパオ。
早速祭壇へ向かった。

神殿は5分程歩いて森を抜けた所にある。
パオは意を決して、神殿の重い扉を開いた。
扉はギーという音を立てて、神殿の奥へ光を注いだ。
神殿を見渡すと奥に祭壇があり、
そこに水晶が置いてあった。
水晶は開いた扉の外から注がれる光を帯びて、
青空のように澄んで輝いている。

「これかぁ、すごく綺麗。
これを持って帰ればいいのね。
簡単簡単」
パオは鼻歌混じりで水晶を手にとった。

ズシン・・・ズシン・・。

神殿のどこからか地響きのような音がした。

「えっ?何?」
パオは地響きで少し揺れる神殿に驚いた。
音は神殿の奥の廊下から聞こえる。
パオが音の方を見ると、
何か巨大なものがこちらへ向かってるのが見えた。

「えっ?えええ?」
パオは驚いて目を見開いた。

やがて、巨大なそれが神殿に姿を現すと、
外からの光で、はっきりと浮かび上がった。

「巨人・・・」
パオはそれを見上げた。
音の正体は、5m程ある1つ目の巨人だった。

「お前か、水晶を持ち出そうとした奴は」
巨人はクワッとした表情でパオを見下ろした。

「ひぃいい、ごめんなさい!
ちょっと借りようとしてただけです。
お祭りが終わったら返しますから!」
パオは半泣きだ。

「ならば、この俺様と勝負して勝ったら赦してやる」
巨人はジロっとパオを見た。

「しょ・・勝負って何・・・。
まさか、あんたとバトルして勝てとか?」
パオは怯えた瞳で巨人を見た。

「ふん、俺様との勝負は決まっているだろう。
それは・・・」
巨人が1つ目を見開いて言った。

「それは・・?」
パオも巨人から目が離せない。

「俺様との勝負、それは誰もが知っている。
あっち向いてホイだ!」
巨人はガハガハ笑いながらパオを見下ろした。

「えっ?えええええええええ?
それなの?」
パオは呆気にとられる。

「ふふん、そうだ。
1回勝負だ。
負けたら、水晶は返してもらう」
巨人は余裕だという顔をしている。

「それなら、しょうがないね。
私も全力で勝たせてもらうわ」
パオはキッと巨人を睨んだ。

○パオvs巨人 あっち向いてホイバトル○
巨人が現れた。
コマンド?

▷たたかう
にげる
アイテム

最初はグー、ジャンケンポン!
パオ チョキ 巨人 グー

「あっちむいてホイ!」
パオ→ 巨人← セーフ!

最初はグー、ジャンケンポン!
パオ パー 巨人 チョキ

「あっちむいてホイ!」
パオ← 巨人→ セーフ!

最初はグー、ジャンケンポン!
パオ グー 巨人 パー

「あっちむいてホイ!」
パオ→ 巨人← セーフ!

まずい・・これでは負けてしまう・・。
落ち着け私。
何かあるはず・・。
あっ!わかった!

最初はグー、ジャンケンポン!
パオ パー 巨人 グー

よし!後は勝てる!

「あっちむいてホイ!」
パオ→ 巨人→ パオの勝利!

パオは戦いに勝った。

「ぬぉおお!何という不覚。
俺様が負けてしまった」
巨人はがっかりとうなだれた。

「ふふふ、最初に指差す方と反対に少しだけ指を向けてから、
勢いよく指させば誰でもつられるの。
あっちむいてホイ勝ち方の基本よ」
パオは得意げだ。

「むむ・・約束だ。
水晶を持っていくがよい」
そう言うと、巨人は神殿の奥へ引き下がった。
そして、パオは水晶を持って神殿を後にした。

「おお!これじゃ。
何と美しい水晶。
まるで、今日の空のようじゃ」
パジーはパオが持ってきた水晶を見て驚いた。

「これで、お祭りも無事にできるね。
パオはやればできるんだから」
パオは無邪気に笑った。

「皆の者!パオが水晶を持ってきた。
この村のヒロインじゃ。
ワシの最高の孫じゃ」
パジーはパオの肩を抱いてはしゃいだ。
村人からはたくさんの拍手と歓喜の声がこだました。

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