爪を伸ばしてみてるけど、なんかいずいずする。 スマホを触るたび、液晶と爪があたってコンコン音がするのとか、いろいろと耐えられないところまできてる。

「ラン」の思い出

小学校3年生くらいだったと思う。 鮮やかなブルーに、疾走感のある尖ったフォントで「ラン」「森絵都」と書かれた表紙に惹きつけられた。 表紙買い、という言葉があるけれど、あれは初めて「表紙借り」した日。 貸出カウンターへ行き、分厚いファイルから自分のバーコードを探して、ピッという音とともに、期限つきの占有権を手に入れる。 「とてつもなく面白かった」という記憶だけが残っていた、中学1年生の夏。あの本を象徴する季節だったせいか分からないけれど、無性にまた読みたくなった。 お母さん

食品レジからみた景色

　2023年の年末。私は2週間だけ、百貨店の食品レジでアルバイトをした。貸し出されたエプロンを着て、三角巾をつける。無理やり留めた慣れないお団子は不格好で、「いらっしゃいませ」のお辞儀もきっとぎこちない。 はじめはお札をパシパシ数えるのに精一杯だったけど、数日経つと、だんだんお客さんと目が合うようになってきた。お釣りのトレー、液晶、カードの色、お客さんの顔、という具合に、視野が日に日に広がってくる。 LOUISVUITTONのバッグって人気なんだなぁと思う頃には、レジから