教訓は活かされたか

10月7日の夜遅く、千葉県北西部を震源とするM5.9の地震が発生し、東京23区でも震度5強を記録しました。東京で震度5強が観測されたのは10年前の東日本大震災の時以来です。

私もちょうど眠りについたくらいの時間で大きな揺れとスマホのけたたましい緊急地震速報のアラームに飛び起きました。幸い、物が落ちたり、倒れたりする被害はありませんでしたが、あの日を思い出して揺れが収まってからも震えが止まりませんでした。

水道管の弁がズレてしまい、マンホールから水が溢れるところがあったり、エレベーターが緊急停止して閉じ込められてしまう人が出たり、都会の地震への脆弱さが見られました。

そして、今回も鉄道の運転見合わせによる帰宅困難者が発生しました。東日本大震災のときは首都圏を中心に約10万人の帰宅困難者が出て、徒歩で帰宅する人たちが道路に溢れる事態となりました。これを教訓に企業では従業員をむやみに帰宅させないようにしたり、主要駅近くの集客施設や事業所を帰宅困難者の一時滞在施設として借りる協定を結ぶ自治体もありました。今回、これらの対策は活かされたのでしょうか。

港区や足立区など一部の区で一時滞在施設を設けたところもありましたが、ほとんどのところで開設されませんでした。東日本大震災の時と違い、地下鉄や私鉄が順次運転を再開していたことや、震度5以上での設置を定めていた自治体が、今回の震度が4だったため要請をかけなかったという事例もあったようですが、地震が発生した時間が夜遅くだったため、提携している施設と連絡が取れなかったところが多くあったようです。実際に品川駅での帰宅困難者のために港区が区の福祉会館を開場したのは午前3時をまわってから、地震の発生から5時間近くが経っていました。利用した人はわずか7名でした。地震の発生は早朝や深夜など時間を問わずに起こります。一時滞在施設の営業時間外にどう連携をとるのかが課題となりました。

一方で都心で自治体や事業者が運営しているシェアサイクルを利用して帰宅することができたという人も多くいました。シェアサイクルが貸出エリアとしている都心から5㎞圏内の距離に住んでいる人にとっては緊急時の帰宅手段として使えるサービスと言えそうです。

気象庁によると今後一週間は同程度の地震への警戒が必要とのことです。また、首都直下の地震への警戒も呼びかけられています。今回の地震での経験を更なる備えに結びつけていきたいです。

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