こだわりが強いクリエイターの評価は難しい?
「こだわりが強いデザイナーの評価が難しい」という相談を受けて、説明のために整理して書き残しておこうと思います。
「こだわりが強い」という言葉をポジティブにとらえるかネガティブに捉えるかは別として、
まず、「こだわり」について考えてみたいと思います。
こだわりが強いとは
「こだわり」の意味を調べると、以下です。
クリエイターがこだわりが強い、というと「妥協なく徹底して追求する」という意味で使われることが多いかと思います。
「妥協なく徹底して追求する」クリエイター
めちゃプロフェッショナルに思えるこの言葉ですが、「こだわりが強い」=「質が高いものを作る」というわけではないのがポイントかなと思います。
なので、「こだわりが強いけど質が低い」「こだわりが強くて良いものを作る」というポジにもネガにもなりうる現象が起こっているんだと思います。
こだわりの強いデザイナーを評価する
言葉の定義はさておき、ではなぜ、妥協なく徹底して追求するクリエイターの評価が難しいのかを考えます。
相談ケースの内容としては、
「こだわりが強いから品質は高い。だがその分時間がかかってるし、ハレーションが起こっている」でした。
文章にすると良い点と悪い点が混ざってしまうので、ポイントを箇条書きにすると以下となります。
「品質が高い」
「時間がかかる」
「ハレーションを起こしている」
ここで気になる部分は、「品質が高い」の部分です。
どう品質が高いのか、本当に品質が高いのかを深掘りします。
「どう品質が高いのか」深掘りヒアリング内容
「デザインツールを使いこなしていて、作り方として見本になるレベル」
「開発からとてもわかりやすいデザインデータだと言われた」
「対応してもらった部分は使いやすいUIになっているとユーザーにも好評」
「サービスのブランドを理解した配色になっていなかった。だがこだわった結果なので色の違いは許容した」
「UIのデザインルールを独自に作成してしまったが、今後はルールの方を修正する」
「こだわりすぎていたため、当初決めた納期を過ぎていた」
評価基準を確認する
では続いて、評価基準を確認します。
会社によって評価基準が違うので、ここはそのクリエイターが属する企業の評価基準を適応します。一般的には結果を求められると思いますので、結果を評価するプロセスで考えます。
結果を評価するので、結果どうだったか。という話をぶらさないようにします。
過程を排除して結果でまとめると
良かった点
・見本となるデザインデータを作成した
・ユーザーから評価されるUIを作成した(ここは定量評価で裏付けてから評価する)
悪かった点
・納期を過ぎた
・デザインルールを厳守しなかった
・ハレーションが起きた
議論ポイント
・デザインルールを厳守しなかったが、ルール側を修正すると判断した
ということになり、議論ポイントであるデザインルールを守らなかった点についての評価はどうするかというと、ここで「過程」が出てきます。
・ルールを厳守しないことを前もって上長に相談したか
上長判断があったとすれば、これは「良かった点」に入ります。
勝手に行って事後報告であれば「悪かった」となります。
私が評価する場合は納期が遅れている点や、ハレーションを起こしている点から、デザインルールを守らずにデザインすることを許可しないだろうなと思いますので、ここは上長の許可がなかったと仮定すると、「良かれと思って勝手にルールを守らなかった。だが、結果的に既存のルールよりも良い提案をし、それが受け入れられた」という状況と仮定します。
すると、その後に「デザインルールを更新する」という作業が発生しており、そこまでは対応していないということになるので、悪かった点に「デザインルールを厳守しなかった」「ルール変更に伴う共有、相談をしなかった」が追加されます。
ちなみにルールや指示を無視してデザインにこだわった結果、めちゃくちゃ利益が上がった!など、定量的に証明できるのであれば、それはすばらしい結果だと思います。マイナス面がプラスを上回れば、こだわりの強さでジョブズにだってなれるかもしれない。
ですが、Web系のクリエイターが個人のこだわりでそこまで利益に関われるのはエンタメ系コンテンツに限られるのではないかなと思います。
まとめ
「こだわる」ことは過程。こだわりが強いかは評価に関係しない。
こだわった結果どうなったのかを評価するべき&されるべき
「こだわった結果」を評価する例を書いてみました。
評価基準によってはまったく違う結果になると思いますが、こだわりの強いクリエイターの評価に悩む場合はこんな感じに結果がどうなったかで考えてみると良いかと思います。
デザインの良し悪し判断
また、よく聞くのが「デザインの良し悪し」の評価がブレるケースです。
作った本人は「良い」と思っている
評価者は「質が低い」と思っている。
これは主観で殴りあっても答えは出ないので、何が「良い」のか共通認識を作る必要があります。
共通認識例
・既存のデザインルールに準拠している
・一般的なデザインルールに準拠している
・制作目的に沿っている
・制作にかけた時間が目的に見合っている
・更新や変更を考慮している
・実装を考慮している
共通認識さえできれば、「良い」か「悪い」かの評価もそれに沿ってできるので、まずは共通の「良い」を作ることをおすすめします。
評価が前提であれば、達成基準を前もって作っておくことが重要です。
人事評価って本当に難しいですね。
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