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企業の生産性とM&A

先日書いた中小企業淘汰の記事ですが、その後、竹中平蔵氏のYouTubeで同じことを言ってるのを発見しました。

補助金ハンターと、それに群がる業者

この竹中氏のYouTubeで完全同意するのは『中小企業は無駄な補助金が多すぎる』ということ。

特に地方に行くと、もしかして四六時中補助金情報をチェックしてんの?と思えるほど、やたら詳しい補助金ハンターが多いんですよ。そして、申請できそうなものは、商工会議所などを通して軒並み申請。なので、行政の担当者とはすでに顔馴染み。そんな会社も多いのが現実です。

私は20年ほど前の創業期に、あるサービスを立ち上げる際、一度補助金を受けましたが、その後は受けたことも、申請したこともありません。ただ、サービス内容によっては、結構お客さんが補助金申請するので、その辺の空気感は把握しています。

中には補助金申請資料(これがまた複雑でややこしい)を人に書いてもらおうとする猛者もいます。補助金コンサルに言うのならわかる。そうではなく、補助金を使って何かを買う、その販売会社に頼むのです。「補助金で買ってあげるから書いてよ」と。

業者側も、これだけ販売できるならと、せっせと夜なべして(知らんけど)作文するわけです。あのややこしい資料を。もちろん、それは一部の人ですが、こういうのがまかり通っているんですよ。特に地方の中小企業は。

補助金コンサルとか、制作会社とかが営業にガンガン使っていて、さほどやりたいとは思わない事業だけど、3分の2出るならやろうかと。3分の1ならやらない。そんな感じが多いですね。

補助金ハンターと、それに群がる業者の共存共栄の構図です。もっと言うと、これまた国からの補助金漬けになっている地方自治体も交えた、もたれ合いトライアングル

それだけでも、ほぼ無駄金になっている空気感はわかりますよね。有効に使われているのは、正直ほぼ見たことがありません。

税金上げるなら補助金減らせ

なんかね、補助金を核にビジネスを作っている士業の人とかの話を聞いていると、「おいしい」って必ず言うんですよ。「この補助金おいしいですよ」と。地方の補助金ハンターにもその表現多いですね。私はこの表現には違和感しかありません。『損か得か』の感覚です。

国はもちろんそれを把握しているでしょうから、ここで竹中氏がこれを言うということは、恐らく今後大幅カットになるのでしょう。それは必然だと思います。増税するくらいなら、補助金カットするべきです。補助金を自分の既得権益くらいに思っている補助金ハンターを見ていると、そうならなきゃおかしいと思えます。

規模と生産性

そして、もう一つ同意するのは『ある程度規模が大きくなるほど生産性は上がる』ということ。従業員20~50人程度の小規模な時は、特に儲からない。ここを突破しようとして、出た利益を次の投資に突っ込むので、内部留保が薄い。

一気に突破できたところは、統計的に生産性も上がる。でも、そこに行くまでに停滞してしまうと、気が付けば儲からない沼に腰の辺りまで浸かって身動きが取れなくなる。成長志向の社員も、モチベーションが下がる。社内では「次のことに投資しすぎなんだよ。もっと足元をさ」と、社員がみんな評論家になる。評論家が若い社員をネガティブ誘導する。離職率も高くなる。

・・・ゾッとしますよね。でも、あるあるだと思いませんか?

一方、会社であっても社員4~5人程度のフリーランス的な立ち位置は、意外と利益が出やすかったりもします。特にWeb制作なんかの業種は、それくらいの規模か、100人以上くらいのどっちかにした方がいいと、私はずっと思っています。その中間にいる会社は儲かりません

そこそこ社員がいる会社がWeb制作をやるなら、クライアントは企業規模やITリテラシーなどで選別した方が絶対にいい。そうしないと、沼に嵌ります。でも、そんなクライアントは、もっと大きな会社の方に行きがち。どっちにしても、中途半端な規模は儲からんのです

「失業者が出ないようにM&A」は本当か

一方で、竹中氏の動画には同意しかねる部分もあって、例えば「失業者が出ないようにM&Aするんだ」ということ。それ、中小企業の現状を、統計上の数値でしか見てないんじゃないかと思います。

利益が出なくて立ち行かなくなった会社を買うのに「社員全員引き受けろ」ともし”国が”言うのであれば、むしろM&Aを阻害します。買い手企業は、当然PMI(買収後の統合作業)を行いますが、その時にシナジー効果を最大化するべく、カットすべきはカットしていくでしょう。どうしても、それに馴染まない人がいれば、退場願うこともあるかもしれない。木を守るために森を殺すことになってはいけないのです。

まあ「合わない」と思う人は自分から辞めるでしょうし、それ以前に、国がそんな強制をするとも思えないので、恐らく失業者はもっと増えます。「失業者出ないようにM&Aなんですよ」なんて、中小企業を馬鹿にしすぎだし、知らなすぎ。

そして、個人保証

そして、私が最大の問題だと思っているのが、ここで竹中氏も言及している『個人保証』。これについては、結論から言うと竹中氏の論に賛成ですが、私はもっと明確に、最初から一切個人保証なしにするべきだと思っています。企業にとっても、国にとっても。

理由は、書き出すと長くなりそうなので、次に引っ張ります(笑)。

※ちなみに、今回のトップ画像は、日本最初の会社と言われる海援隊(亀山社中)の京都での宿泊所だった「酢屋」。

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