私的ベスト・ミュージック10枚(2020年7月編) by 高橋アフィ

Wu Hen / Kamaal Williams

「UKエレクトロと現代ジャズ」とも言えるんですが、むしろ直球でクラブ・ジャズの伝統かつ最新系なのかもしれないと思う最近です。ハードに踊る時間からチークタイムまで対応するフロアのための音楽。エレクトロで表現されていたリズムの緩急の振れ幅をプレイヤビリティでドープに更新していくさまが素晴らしいですね。ハウスのタフさとレアグルーヴ的なメロウさを欲張り実現した名作!

Tesuto / Mansur Brown

UKジャズ・シーンで活躍するギタリストMansur Brownによるアンビエント/R&B/ビートミュージック作。タグにジャズの記載が無いことは多分意識的で、紛れもなく(ジャズ)ギターが中心の作品でありながら、全体的な質感はエレクトリックでチルアウトな印象です。「ギターの音色をひたすら追求したらアンビエントになった」というような、演奏が軸にありながら匿名性すら感じさせるクールな音が面白かったです。

East Network / Kwiish SA

新しい!Amapianoなんですかね…?低音の扱い方が独特で、音量小さめかつ和音の支えというより積極的にメロディ・パートになっています。それに対しウワモノはひたすらシンプルでミニマル。隙間の多さがクールで素晴らしいです。リズムパートも音色シンプルだしフレーズが多様というわけではないんですが、むしろずっと聴いていたい良さになっています。いわゆるダンスミュージック的なごりっと感は無いもののしっかり踊れる音楽で、繊細でアッパーで楽しく優しい。
ちなみに一曲の時間が短くても6分半以上の長尺!長いと9分を基本一つのネタでたっぷり聞かせます。薄味出汁系をしっかり食べるみたいなことだと思って聴いていました。

夢太郎 / NENE

「地獄絵図」の音があまりにカッコ良過ぎて笑いました。音が悪いことが最大限に魅力的な叫びっぱなしrawヒップホップ。全編歌詞から音まで「良さ」の一歩、二歩先を行くところを狙っている印象でさすが。

Black Liquid Electronics / Ase Manual

アメリカのプロデューサーによるハウス/テクノ/ブロークンハウス/アフロビート。ビートの快楽一直線なハードなダンスミュージックです。ギリギリ攻撃的にならない、しかし強烈ではあるさじ加減がカッコ良く、踊るしかない気持ちよさ!
数曲あるラップ曲がどれも不健康そうで不穏なのも個人的には高評価です。

Quality Time Sound System / Gavsborg

EquiknoxxのGavsborgによるハウス?レゲエ?ハウシーなビートなんですが、わかりやすい音色の快楽は無くひたすらミニマルでタイト、素材そのままぶつけてくるカッコ良さ!初期衝動をそのまま拾い上げてくるスピード感というか、音が鳴っているカッコ良さそのものというか、達人の技をみているようでした。

Occasionally Tapes Presents: Upcoming Vapors Volume 1

夏だ !Vaporだ!うだるような暑さに対し、ショッピングモール(あるいは家)(あるいはブックオフ)の涼しさこそVaporwaveなのではないでしょうか。適当なスピーカーによって天井から流れてくる、あの再生環境を想起させる音像が素晴らしい!

Bumpy / 凸凹 / OKBOY & Dogwoods

サイケでハッピーなことが歌詞にも音にも出ていて最高!

Continentes Perdidos / DNGDNGDN

Dengue Dengue Dengueの別名義DNGDNGDNによるEP。ミニマル・トライバル・エレクトロ。打楽器でポリリズミックに強化されたテクノという感じで、ビートの硬さと柔らかさが共存しつつも一貫してクールな質感でまとまるところが面白いです。
この作品含め最近よく「afrofuturism」付いている気がするんですが、いわゆるディアスポラ文化的な要素というよりもフューチャリズム中心、雑に言えばなんとなく「サイケなダンスミュージック」「トライバルでスペーシー」というような理由で使われている気が…?どこかで調べて置きたいところ。

Split with MindSpring Memories / MindSpring Memories / Tyler G. Holst

共にvaporwaveかつハードなアンビエントの作風のMindSpring MemoriesとTyler G. Holstによるスプリットアルバム。空間を包み込むような力強い(?)アンビエントっぷりが素晴らしく、これを流しながら全力で踊るとTUBEのブライアン・イーノの世界に入れたような気持ちになれます。
チルアウトになるというより強制的に筋力を弛緩させるアンビエントという感じで、音が大きければ大きい方が良いと思います。vaporでたまにある「悪意」は全然なさそうで、純粋に気持ち良い空間を追求している(しかも結果変な音像になっている)ところも良かったです。

https://open.spotify.com/playlist/63n3UCmvoiMAYZsx7lLnMx?si=Pb-6zBoaT0auW-RpTsBwhw

最後に近況です。

①解説書きました!

②TAMTAMで9月13日に配信ライブあります!






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