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グリーンにまつわるプライシング!「見えない部分の価値」ってなんだ!? #0116

今回は、グリーン関連のプライシングの話を書いてみたいと思います。(練習中)

わたくし、庭稼業の傍らで時々植物を販売しております。物販はあくまで庭の広報活動!と思っていたのですが、案外こっちの売り上げが伸びており、今月2件実施、来月1件出店が決まっております。

物売りはいい感じでプライシングの練習になりますよねー。
今回は庭と物販それぞれに絡む値付けについてです!


値付けを原価積み上げにしない!

よく言われる話ですが、これはホントーによく考える必要あります。油断するとすぐに、原価基準トラップにハマってしまいます。(いまだに間違える)

仕入れ原価に輸送費、人件費諸々を積んでも結局在庫が出たり、販売益が出ていなかったり、と言うことは今まで頻繁にやってしまっておりました。
まあ在庫は出てしまうのですが、在庫分を差し引いて、半分売れれば利益が出るくらいの価格まで上げないと、結局持続可能ではないことがようやくわかってきました。(遅いよ!)

利益を出すには、原価を下げることと単価を上げることなんだ!(当たり前だ)

この春施工した庭の一つ(植栽のみ)

・原価を下げる側
原価を下げるには、まず市場など仕入れ値を下げることですかね。植物は自分で増やせるので、リーガルな範囲で増やすことも最近やってみようとしています。
仕入れはやはり市場行くのが一番。最近はネットの卸なんかも結構出てきているので、遠方の不利をカバーするために、この辺を使うこともよくあります。

しかし、実際には市場や卸に潰れられては困るので「ちゃんと支払う」ということはやっていきたいです。そのためにも末端価格をしっかり上げる必要がありますよね、、。

資材なんかは、わたくしはよく「鉄モノ」を使うのですが、リサイクル品とか使われなくなったものをうまく活用する方法をよく考えます。石なんかも、現場からでたものを使ったり、造園屋さんの隅で捨てられたものを使ったりします。
身の回りでも、使えるものはたくさんあるからね。うまく使って無駄を減らしたいものです。

最近はリサイクルの鉄板もよく使います

・単価を上げる側
単価を上げるには色々と方法があるのですが、いまだに試行錯誤しております。

物販の場合、例えば面白い鉢と合わせると付加価値が上がります。要するに「作家性」みたいな部分で付加価値をつける方法です。ここには、植物と鉢をセレクションする「目利き」みたいなものも必要で、これは自分が最も自信あるところですな。色々な鉢との組み合わせなどで無限に可能性がある楽しみがあります。

鉢との組み合わせで色々楽しめます

庭の方も同様で、目利きによる付加価値を考えます。
庭木の価格というのはあって無いようなものなので、行くところに行くと面白い木を安く仕入れられます。もはやこの秋は自分で掘り出して気に入った木をゲットしてきたいと思うてます。(大変だけどな)

付加価値という意味では物販と同様で、他ではあまり使わない素材との組み合わせによる面白さや、動線や使い方を考えた設計、みたいなストーリー部分での解釈をつけることを考えます。とはいえ、まだこの辺は提案レベルを上げていく必要のある部分かなーと理解しとります。

どちらに言えるのも顧客側に合わせた付加価値を提供することだと思うのですが、しかし付加価値ってなんなんだろう?って思いますな。

人件費とはなんぞや?

よく自分もやってしまうことで気をつけなくてはならないのは「人件費」だと思っています。これ、自分の投入した時間に自分の時間給をかけるようなことをやっていると、ほんと経営大変なことになりますね。(いまだに勉強中)
実際には準備、段取り含めて多大な時間を投入しますしね。技術や知識のインプット時間は含まないのか、とかもあります。

「付加価値」はここにも適用されていて、作庭に関しては技術、デザイン、植物の専門知識、資材を見つけてくる能力、、などなど付加されるものは多くあって、実際には「人件費」なるものは青天井にいくらでも上げられるのが実際のところです。(多分)

庭は仕事としては剪定の仕事も多いのですが、剪定の方はほぼ技術料がベースなので、正直そんなに付加価値は見込めないのが実情です。
それでも松の剪定にはお金がかかるじゃないか!と言われそうですが、松はとにかく「時間がかかる」という意味で剪定にお金がかかるんです。発注する側は、逆にメンテナンスの費用見合いで庭のレイアウトをどうするか、考えていく必要があると思います。

以前、木下斉さんが言っていたピカソの話で、「技術料というのは一生分。」という話がありました。ピカソが1枚の絵を短時間でサラサラっと描いたものにたいそうな値段をつけた話で、「なんでそんなに高いのだ」という問いに対しての回答がこれだったようです。要するに、一生かけて積み上げてきた技術の結果なのだということです。

これは自分のパートナーを見ていても思います。彼女は、染織りの作家業をしていますが、寝ても覚めても織のことを考えています。スウェーデンで伝統工芸士の職人の認定も得ているほどですが、実際販売するストール1枚の価格は、到底この技術料に見合ったものじゃないよなーと思います。
この辺を是正していかないと、技術に対しての価値は下がる一方になってしまい、ひいては担い手の不足、産業全体の衰退につながってしまうのです。

1時間ではなく、一生。これはあらゆる技術に対しての言葉だと思います。

見えざる価値を見つける

市場経済の中では、見えない価値に値段をつける、というのが原則だと思います。(個人的に、この在り方は変わっていくと思っていますが)
この価値をどうやって見つけていくか、ということが価格を上げることにつながってきますよね(といろんなところで言われていますが)

前の項で書いた技術料なんてまさにこの見えない価値そのものだと思いますし、デザインなんてのも同じことだと思います。ここを正当に(自分で)評価していくことこそが現代でマーケットに出ることなのだと思うのです。

自分の場合、(これは人に指摘されて気づいたのですが)「目利きの力」というものがあることにだいぶ前にきづかされました。
それまでは、単純に原価に対して「何掛けにするか」で値段をつけていたのですが、例えば資材を選ぶ目だったり、その資材を見つけてくる商社的機能(この辺の物流開発などは結構大変)を持つことは、案外難易度高いことなんだなーと気づきました。

物販でも同様で、「ちょっと面白い鉢」とか「変わった植物」はあまり無いので、これを組み合わせて販売すると、価値が大いに付加されて良い感じになることも最近わかり始めました。この辺りは、やりながら「ちょうどいい」ところを見つけていく感じになるのかなーと思っています。

鉢と庭の中間的なやつ

この辺はつまり、人のセレクトコストを請け負ってファンを作っていくという、「セレクトコスト削減+ファンビジネス」的な部分があるのかなーと思っています。
案外知らなかったのですが、人に聞くと「何かをセレクトするコスト」や「時間を省く」という価値もあって(後者は理解できる)、これはまさにセレクトショップがやっていることですよね。
自分で選ぶ手間を省いて、そこに集まるものが好きでファンになる、、みたいな構造だと思うのですが、この辺をこれからもう少し考えていく必要があるのかなーと思っています。

人は値段を見ていない!?

庭にも物販にも共通しているのですが、案外人は「値段を見ていない」ということにも気付かされます。
欲しいものは「コレ」と思う「タイミング」で買っているというのが自分の実感です。そもそもグリーンを扱うプレイヤー自体が少ないし、見た瞬間に買っておかないとなくなるよね、という心理はあると思うわけです。

物販をしていると、苗も鉢もほとんど値段見ないで買っていかれることが多いです。すごいよね。
これもあって、苗と鉢をこちらでセレクトすると面白くなるかも?ということで実際に植え替えたものを販売するようになりました。

庭に関しても、作庭するときはほとんど「見積」なるものを見られないケースもあります。見積もりを見られているケースとしては、「予算枠が決まっているからこの額でやってね」パターンですね。そうでない場合はほぼ請求タイミングで金額出して払ってもらう感じです。(すごい世界だ、、)

今年作庭した庭のうちの1件は、請求書を出したら「こんなに安いの!?」となっていたので、まだまだプライシングが顧客目線でできていないなーとも感じています。
結局プライシングは自分のブランディングでもあるので、適正な価格まで上げていく工夫と勇気(←これが大事!)が必要だなーーと感じる次第です。

ではでは!


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