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起業したい→「まず、あなたの強みは何ですか?」に違和感


2年間くらい、起業を意識して関係ありそうな講座を複数受けた。
約1年前から”講師”として活動を始め、半年前から、一人起業でHPを作成したりメルマガを開始したりSNSで発信をやり始めた。

その間、マーケティングの知識や文章の書き方、思い通りに生きるための講座など、あらゆる分野の知識やノウハウを、受講あるいは書籍、SNSなどを通して学び続けている。

また、私自身がアートを扱う講座を開催している関係で、アートの意義を伝えるために、哲学や心理学、表現すること(芸術に限らず広告やデザインも含む)などについても勉強している。

そんな自分なりの学びと、私が起業してから試行錯誤する中で、最近違和感を覚えたことがある。

「起業したい」という人たちに向けて、まず最初に、「強みは何か?」を書き出す作業だ。

強み=差別化?

ちょうど昨日、縁あって「自宅でオンライン起業を始めませんか」というテーマの無料イベントに参加した。

集まった人たちは、”なんとなく何かやってみたいな”という漠然とした気持ちで参加した方もいて、何から始めればいいのかがわからないという人もいる。

講座のワークでは、自分の好きなことや得意なこと、強みなどを書き出すワークをした。

私も過去、”強み=差別化”と教わった。

過去2年間で、同じワークをしてきたし、異なる複数の講座で似たようなワークもした。


参加者の中には、”自分の強み”を考えたこともない人もいて、そういう人は全然思いつかないという風だった。

私も同じ苦しみを味わったので、それがちょっと苦しい作業ということも、簡単には出てくるものではないことも、痛いほどわかった。

ただ、2年間の学びと、1年間の講師の経験、半年の一人起業生活を経て思うのは、”強み”という言葉でリードすることの違和感だ。

子育てをしていて痛感するのは、人間には生まれながらにして個性があり、強みと弱みは裏表であるということだ。

そもそも、状況に応じて、強みは弱みにもなり、弱みは強みにもなるので、自分の個性や特徴を、強みとか弱みという風に捉えるのにも違和感を覚える。

では、”強み”と言われて書き出すのは何か?

昔、受講した、ある講座のワークシートの記載例では、
・誰とでも仲良くなれる
・細かいことに気が付く
・木登りがうまい

などとある。

”木登りがうまい”という例は、小さい頃の記憶を辿って書き出すことの例示だが、子ども時代を思い出して、何かに秀でていたと思える程の強みを書き出せる人はどのくらいいるだろうか。
特に日本の教育では、出来ない所を人並みにできるようにする教育と言われてきた。学校の勉強、スポーツ、習い事、友達と遊ぶ時間の中で、子ども自身が強みを意識できるなどよっぽどな気がする。

一方で、記憶を辿った時、こういうことなら書き出しやすい。
文化祭では ”アイデアを出すタイプだった”、”細かい作業で手を動かすタイプだった””全体を取りまとめるタイプだった”。そういう役割が嫌ではなかったり、そつなくこなしていたり、率先してやったり..。そんなことであれば、書き出しやすいし、悩まない。

どうも、”強み”を書くワークは苦しい、というのは多数派のように思う。

絞り出した並べた強み。

結局、それが本当に差別化になるかというとそうは思わない。

どちらかと言えば、”強み”として自覚できるようなことは、自分が自然とやりたいことに繋がっていたり、実際に仕事をし始めたとき、スルスルとスムーズにできることだ。
強みとして自覚する、意識する・しないは関係ないように思う。

例えば社交的な人は、講座をやっても、サロンを開いても、人と接する時間を楽しむだろう。だけど、社交的ではなくても、講師業であれば、初対面の人を相手にするし、仕事をやる限り、人間を相手にしないで済むことはほぼない。研究職などのように企業であれば、部署や職種によって役割が異なり、極端に人と接しないということもあるかもしれないが、一人起業においてそれは中々難しい。


”強みで差別化”と言われると、まず、”強みって言う程のことではない”とか、”そんなに褒められた経験もない”などと落ち込んだり、やはり差別化できる程のものは持っていないな、なんて諦めそうになる。

でも、それでくじけてはいけない。

個人で勝負する限り、それが唯一のサービス

そもそも本当は、”世界中一人しか存在しないあなた”が、”自分”という人間で勝負すると決めたときから、すでにユニークな、特別な存在で、人との差別化はできている。

あなたという人間が、これまでどういう経験を積んで、それをどう今の職業に活かしているのか、どういう言葉を好み、どういう世界観が好きなのか。どんな人の役に立ちたくて、どんな志でその仕事をするのか。

そのどれ一つを取っても、全く同じ人など存在はしない。

明るいとか、前向きとか、繊細とか、慎重なタイプとか、そういった性格的なことも、仕事をする上で強みにもなり弱みになるが、全部、その人の仕事に現れる。文章を書けば、読み手は書き手をイメージするし、会って話せば、雰囲気も含めて、自分と合う合わないも判断する。
時には(自分が思っている)弱みが、人を惹きつける。


”強み”を自覚することは悪いことではないし、強みを書き出す作業も、やるにこしたことはないかもしれない。

だけど、起業する上で、強みと自覚できるものがなくても勝負はできる。

それにやってみれば、わかってくる。
この作業は楽しい、これは何の苦痛もなくできるが面倒、これは本当にやりたくない、など自分の強みもよくわかる。
サラリーマンの時は、役割があるから、得意も苦手も、強みも弱みを活かせるとは限らなかったかもしれないが、やりたいようにできる起業は、すべて自分次第だ。

やってみて、そこから強みを自覚するのだって遅くなない。

私が思う、起業に大事なこと

起業を始めるのに大事なのは、誰にどう役に立つことをするのかを決める。
そして、それを実現するために、今の自分が持ち合わせている過去からの経験値、知識、ノウハウ、人脈、場所、雰囲気など、自分の全てを使って、どう提供するかを決めることだと思う。

もちろん、仕事をするにあたり、自分を理解していることはとても重要になる。
自分の性格や言動などの傾向を客観的に理解できていない人は危なっかしいし、人生で大事なことが言葉にできていたり、倫理観や道徳観、信念がある人は信頼が置ける。

大事なことは、”強み”を押し出すことではない。
自分の全てを活用し、それで勝負することだ。


1年間やってみて、そう思うようになった。

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