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世界をじわじわとひろげる

最近つくづく思うのは、自分の中の「言い換え言葉のストック」がとても少ない、ということだ。

文章を書いているとき、直近で出てきた言葉との重複を避けようと別の言い回しを考えるのだが、すぐには浮かばない。結局根を上げて、スマートフォンで「〇〇 言い換え」と検索してしまう。

検索結果を見ると、「なんだ、こんな表現でいいのか」と思うものがゴロゴロしている。どれもすごく見慣れた言葉なのに、文章を書いているときはぜんぜん思いつかない。お馴染みの言葉ばかりを使ってしまう。

決まった言葉ばかりを使うということは、その言葉の範囲でしか生きていないということなのだと思う。同じ言い回しに固執せず、意識的に表現のバリエーションを増やさなければ世界は広がらないのだ。

そういえば今年の転職直後に、私は同僚からある言い換え表現を教えてもらった。以前から、「〜が多いです」というような表現が与える稚拙な印象に、気持ち悪さを感じていたのだが、この、「形容詞+です」の代替案として同僚が提示したのが、「逆の形容詞+否定です」である。

「〜が多いです」であれば、「〜が少なくありません」とすることで、だいぶもとの表現のすわりの悪さがなくなる。それを知った途端、私の世界が5センチくらい、外側に広がった気がした。

語彙を広げることが、具体的に何の役に立つかは分からないけれど、それはそれで面白いじゃないか、と思う。言い換え言葉をすぐに思いつくようになって、自分の世界がじわじわと広がるのは、何だか面白いのだ。

何か大きな成果を上げることも、誰かのためになることもできないけれど、そういった面白さを感じながら毎日をすごせれば、それだけでいいような気もしている。

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