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手放せないもの

すぐに新しい靴や服を買ってしまうくせに、いつまでも捨てられずに使い続けているものがある。かつて同僚に誕生日プレゼントとしてもらった白いタオルハンカチだ。

数えてみると、かれこれ20年近く使っている。すごく思い入れがあるとか、特に気に入っているということもないのだが、ずっと現役で使い続けている。角についた刺繍が、ちょっと子どもっぽいけれど、捨ててしまう理由にはならない。

1年たらずでリサイクルに出したり、捨ててしまう持ち物がある一方で、こんなふうにずっと持っているものがあるのは何故だろう。何度か手放す機会だってあったような気もする。このハンカチだけではない。いとこのお下がりのカーディガンは中学生のころから持っている。ほつれたところを繰り返し直し、使い続けて来た。

ゴミ箱に半分入りそうになって、それでも結局手放さなかった品々に宿っているのは、果たして愛着だけなのだろうか。お別れの危機を幾度となく乗り越えてここにあることを思うと、なにか特別な「まじない」でもかけられているような気がしてくる。

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