見出し画像

パックに入った卵を冷蔵庫の卵トレーに移動しようとしたら指で割ってしまったことがあるか

ある。余裕である。人間、生きていたら何回かはある、と私は思っている。

それは決して私が怪力なわけでも、ゴリラなわけでもない。昔、テレビ番組で、ロボットは卵を割らずに持ち上げることができるか、という実験を見たことがある。今はもっと科学技術が発達しているから簡単なことなのかもしれないが、当時の実験では何度も失敗していた。

何が言いたいのかというと、我々が日々簡単そうにやってのけている「力加減」というのは、実はとても繊細で難しいことなのだ。まず、その物体を視覚で認識し、触れた瞬間に硬さと重さを察知し、持ち上げるにはどのくらいの力を要するかを判断しているのだ。

ちょっと話は逸れるけれど、私は以前、ぎっくり腰になりかけて、整体のセラピストさんに相談したことがある。彼女がくれたアドバイスによれば、「ぎっくり腰にならないためには、何か地面に置いてあるものを取ろうとする場合、手を伸ばす前に必ずその物体を目で見て下さい」というものだった。まず視界に入れ、目標を定めることで、脳が「これから身体をかがめて物を取るんだぞ」と認識する。そのことにより、無理なく屈む準備ができ、身体がビックリすることもないから、ぎっくり腰にならないのだという。

もとの話に戻ろう。我々が、卵を持ち上げようとしただけなのに割ってしまった時、おそらく脳は「これはナマタマゴだぞ!」という認識をしていないのではないだろうか。例え卵が視界に入っていても、今夜のドラマのことを考えていたり、鼻歌に熱中していたりして、身体が「ナマタマゴを持つ」準備ができていないのだ。

卵の話で言うなら、私は卵を割ってボウルに入れるべきところを、誤って三角コーナーの中に卵を割り入れ、殻をボウルに入れたことがある。この方がよっぽど重症な気もするが、そんな日もある。

良い夢を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?