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読後感想(本、映画、美術展など)

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感動した本、映画、美術に出会った時、生活のゴタゴタに紛れる前に、感想を残しておきたくて、書き留めたものです。
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記事一覧

読後感想 多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』

多和田葉子があまりに面白くて、『エクソフォニー』から『地球にちりばめられて』『星に仄めか…

榎田智子
3か月前
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ズレが生む創造性

多和田葉子を勧めてくれたのは写真家のIさんだった。 Iさんの車に乗せていってもらい、仕事で…

榎田智子
5か月前
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横浜の老舗映画館で『福田村事件』を観る

最近思うところがあって、ひとつ生活を変えてみようと色々試みている。 ジワジワと居住いを変…

榎田智子
7か月前
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読後感想 カズオ・イシグロ著「わたしたちが孤児だったころ」

私たちは人生の中で頻繁に、理不尽さや憤りを感じる。 そして、それを心に留めながら、日常生…

榎田智子
11か月前
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読後感想オルハン・パムク著『私の名は赤』

ノーベル賞作家の作品を全て読んだわけではないし、特に興味があるわけでもない。 けれど、小…

榎田智子
1年前
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多様性と科学的アプローチ〜『Dr.STONE』と『ローマ人の物語』より〜

今更なんでしょうが、子どもたちに勧められて観た『Dr. STONE』が面白くてハマってしまい、お…

榎田智子
1年前
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読後感想 北村稔・林思雲著『日中戦争 戦争を望んだ中国 望まなかった日本』

南京大虐殺や百人斬りなど、「日本人が他国に対して行った残虐な侵略戦争」というイメージの強かった日中戦争について、正直これ以上知りたいと思ったことはなかった。 しかし、実は南京大虐殺も百人斬りも、真実ではないというのをどこかで見て、(それってどういうこと?)と色々探して、見つけたのが本書だった。 本書は日本人と中国人著者との共著で、両国の立場から日中戦争について論考している。 日中戦争は侵略戦争ではなかった、というのが両著者の見解で、それについての根拠があらゆる文献、調査

読後感想 鴻上尚史著『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』

たまたま目にしたほぼ日のインタビューシリーズ。 鴻上尚史さんと糸井さんとの対談を読ませて…

榎田智子
2年前
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読後感想 橋迫瑞穂著『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』

妊娠・出産に関して、ここ10数年で風向きが大きく変わってきているように肌で感じていました。…

榎田智子
2年前
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『ハムレット』再読

中央公論社から出版された新修シェークスピヤ全集(昭和8年初版)。 そのうちの1冊『テムペスト…

榎田智子
2年前
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シェイクスピア『テンペスト』あれこれ

何年か前に坪内逍遥訳の『テンペスト』を古本屋で見つけて購入。 この前ふと再読したくなって…

榎田智子
2年前
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料理が楽しめたら、仕事も人生も楽しくなってきた話

土井善晴さんのお話が面白くて、本を読んだ後ずっとハマっています。 「和食アプリ」も早速ダ…

榎田智子
2年前
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読後感想『料理と利他』土井善晴・中島岳志著

いつも楽しく拝読している鳥越さんのnoteで『料理と利他』を見つけました。 長野県佐久で本屋…

榎田智子
2年前
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記録魔の効用〜ユージン・スミス『THE JAZZ LOFT』〜

『MINAMATA』で再び注目を集めているユージン・スミス。 まだ観に行けてないけど、今年(残り少ないが)観にいかなきゃいけない1本だと思っている。 実は、『MINAMATA』よりはかなり控えめだけど、同じくユージン・スミスをテーマとした映画がある。ユージン・スミスが50年代半ばから60年代にかけて住んでいたマンハッタンのロフトに集まる人たちや出来事にフォーカスしたドキュメンタリー映画だ。 今回『MINAMAYA』のヒットにより日本にも上陸し、各地で公開されている。(これ