ジャルガオン、忘れられないチャイの味
インドと言えばチャイだ。濃厚な紅茶にたっぷりのミルクとスパイス。
温かくて甘くてスパイシーなチャイという飲み物は、飲む人を幸せな気持ちにする。
この旅で何度もチャイを飲む機会があった。屋台で、家庭で、レストランで。みんなそれぞれ味が違ったけど、どこで飲んでもとても美味しかった。
中でも印象に残っているのは、ジャルガオンで飲んだチャイだ。
朝4時半。寝台列車から降りると外は真っ暗で、少し寒くて、まだ眠くてふらふらする。でも、駅の外に出ると一気に目が覚めた。
なんてたくさんの人たちが朝から屋台を囲んでいるの!すっごい勢いでしゃべってるよ。笑ってるよ。大人も子供もいるよ。朝から信じられないくらいテンション高くて元気な人たち。
早朝とは思えぬ活気ある街の様子に圧倒されていると、アルティさんのお姉さんの旦那さんが、屋台でチャイを買ってみんなにふるまってくれた。
「はいはい、みんなチャイ飲んで!チャイ飲んで!」
ウエルカム・チャイ。
インドの屋台でチャイを飲むのは初めて。口の中にふわーっと広がるスパイスの香り。(極寒エアコン車両で)すっかり冷えた体が徐々に温まってきた。みんなのおもてなしの心が嬉しかった。
インドの町中にはたくさんのチャイ屋がある。ジャルガオンで見かけた多くは、ポハというお米の軽食と一緒に売られていた。
これはチャイとポハを売っている屋台。山のように盛り付けられている黄色い食べ物が「ポハ」。西インドの定番ストリートフードで、朝ごはんとしてよく食べられているらしい。お米を平たくつぶして乾燥させた「ポハ」を水で戻し、マスタードシード、ターメリックなどスパイスで炒める。カレーピラフのようなもの。お米のフレークを使用しているからか、とても軽くていくら食べても胃もたれしない。全然辛くないし、あっさり食べられる。トッピングのコリアンダーがまたさわやか。ジャルガオン滞在中は毎朝ポハを食べていたが、全然飽きなかった。
温かいチャイとポハ。最高の組み合わせだ。
アルティさんのお姉さんのお家でもチャイをふるまっていただいた。お姉さんはアーユルヴェーダを学んでいる方で、生姜たっぷりの体に優しいチャイを作ってくださった。チャイにはいくつか種類があって、日本のインド料理屋でもよくでてくるスパイシーなチャイは実は「マサラ・チャイ」という。スパイスが入っていない甘いミルクティーが一般的な「チャイ」。お姉さんのチャイは生姜と砂糖のみのチャイだが、その配分が絶妙で、今まで飲んだどのチャイよりもおいしかった。
帰国してからこの味を再現しようと何度も挑戦したのだが、現地で飲んだのとは何か違う。あの街の、あの空気の中で、みんなの笑顔とともに飲んだチャイはやっぱり特別だったんだなと思う。
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