#24 岩下智子フルート塾 「言語と音楽は繋がっている」
こんにちは!フルーティストの岩下智子です。
さて今回は、私が音と繋がりがあると考えている言語に焦点をあてて、「言語と音楽は繋がっている」というテーマで書きます。クラシック音楽を演奏する上で、語学はできたほうがよく、外国語の習得がいかに重要かということをお話したいと思います。この記事が皆様のフルートの愉しみ、上達に、何かヒントになれば幸いです。
▮ 世界を知るにはまず言葉から
私たちが、なぜ外国語を勉強するかというと、それにより広い世界を知ることができるからです。つまり、言葉を学ぶことによって、自分とは別の国を知ることができ、歴史、政治、文化、芸術、人々の生活、物の考えなどを知ることができるからです。現代はグローバルな時代になり、ビジネス上でも英語は不可欠になってきました。さらに情報ネット社会においては、外国語ができれば、海外のニュース記事を簡単に読むことができますし、ましてや、現代においては海外の本や論文がネットで読めて、そして、世界各国の人々と会話ができ、お互いを知ることが容易になりました。世界はますます狭くなっています。それでも、争いは絶えません。
音楽の分野も同じです。かつて、ルソーがその著書『言語起源論』に、「言語の本質とは、信念の表現にあり、言語と音楽の起源は同一であった」と書いているように、私も言語と音楽の関係は密接だと考えています。
では、身近な話からしましょう。我々現代人は海外の演奏家と情報交換することも多くなりました。一般論として、「音楽は世界共通の言葉なので、言葉がなくても通じ合える。」と昔から言われていました。もちろん、音楽は言葉なしで感情に訴えることができ、人々を感動させることができます。しかし、クラシック音楽は西洋から生まれたものという原点があるので、我々演奏家がクラシック音楽をやる上で、まずは、その楽曲が生まれた背景を知り、作曲家の意図を汲み取らなくてはいけません。外国語を学ぶことにより、様々な角度で多様に楽曲を理解することができ、その表現は作曲家の意図に限りなく近づくのです。
▮ ドイツ音楽は教会から始まった
最初に、教会ミサ曲や賛美歌を思い浮かべてください。歌詞と旋律は連動しています。音楽史を遡ってみますと、ルネッサンス期の1517年、ドイツのルターによる宗教改革により、これまでのローマ・カトリックの支配下、ラテン語で歌われた賛美歌を、ドイツ語で歌えるようになりました。これは画期的な出来事でした。それまで賛美歌はラテン語で歌われていたのですが、教会に来ていた人々は、ラテン語の内容がわからずに歌っていたといわれています。ルターの改革により、ドイツ語で賛美歌が歌われ、その言葉と旋律が融合するようになりました。これがのちに発展して、ドイツ歌曲へと繋がっていきます。要するに、ルターの宗教改革は、音楽史にとっても大変重要な出来事だったのです。
▮ フランス音楽と言葉の密接な関係
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