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専業主婦から社会復帰した「社会」というところ

 49歳の時、20年ぶりに今の会社に就職した。

専業主婦歴20年、履歴書の空白は一目瞭然。
 ワードはできますか?
 エクセルはできますか?
 パワーポイントできますか?

Word、パワポはともかくExcelどのレベルを聞いているのか全くわからなかったが(そもそもある程度のことはGoogle先生に聞けばなんとかなる)
少しなら・・・と私は答えた。
わからないことは今から勉強して補います。と答えた時の、どうにも心配げな社長の顔を今でも覚えている。

 20年も働いていなければ確かに心配にもなるよね。すいません・・・
だが私は無事に正社員として社会復帰を果たした。理由は簡単だ、私が復帰した社会では「女性」が求められていた。誤解を恐れずにいえば性別女ならとりあえずOKにも見えた。不足した人手を補うため、社会が求める「女性進出」のノルマを達成するために容易に受け入れてくれたのだ。ちなみに復帰した社会にまともにエクセルできる人がいない事に戸惑いを隠せなかったが、だからこそ需要にあったのかもしれない。どんなに能力が高くても職場のレベルが高かったら評価レベルもうんと高いに違いない。

 AIに取って代わられてもいない現場の事務職員はすでに最少人数で構成され、常に人手不足。労務も人事採用も、何もかにもが宙に浮いた状況。どれも手の空いた誰かが片手間に、または業者呼んでやらせるか最悪の場合、やらない。当然だけど払った分の効果が得られるはずもない。制作会社にまんまと作らされたサイトが更新されずに放置されていたので、手始めにサイトのリニューアルを開始した。そして無法地帯となった共有ファイルにとっ散らかるエクセルをせっせと作り直し、整理した。中小企業恐るべし。

 これを仕事と呼んでいいのかわからなかったが、盛りだくさんあることは間違いない。20年ぶりに戻った社会の生産性は、つぎはぎだらけのところに新たなつぎはぎをするような、今でも時々一旦全部ぶっ壊して一からやり直した方がええんちゃうん?と思うこともある。私の人件費削ムダじゃね?と思わないでもない。けれど定年はさらに引き上がりそうだし、私たちおいぼれが働き続けられてしまう土壌が整っている。大丈夫か日本。まあ、しがない中小企業のお話だけど。

 それでも仕事は楽しい。すっかり社会から取り残されたような気持ちになった数十年のブランクがあるからこそ、働いて報酬を得ることの喜びを感じられるのだろう。今の目標は、若い人材の確保。ちなみに5年間で若年者の雇用を20倍にした功績は認めてもらえたと思う。
 まさかの係長に昇格した。特に望んだわけでもないけれど。週休二日で総支給33万(手取り24万・役職手当と資格手当込)。社会保険料と税金で8万て、なかなかエグい社会ですね。

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