春のような人でした

あの角を曲がったら 〜大人のための歌とものがたり〜
2023/9/10 @神保町サロンA7
player トモ子 水澤真子

真子ちゃんとそのお母様に捧げる歌
『春のような人でした』

春のような人でした 
明るい声で笑ってた
時に気丈な顔も見せてた
忙しい背中追って
スカートにまとわりついて
暮れない愛の庭で走り回ってた

裏返せばどんな夢がその胸焦がしてたのか
幼い手が奪ったものを取り戻すことはできたのか

母さんが春ならば私は花の種
包まれて芽を吹き風を知る
どこまでも伸びていき咲き開いた花が
不安に揺れる夜を乗り越えてく力になったかな

来た道を戻るように
少しずつ少女に返り
今は名前呼んでもくれない
近づくと癪にさわる
離れると心もとない
そんな距離さえもう遠いまぼろし

住んだ家を思い出ごと引き払ったあの朝に
あなたの嫌う嘘をこれからつき通すことに決めたんだ

母さんが春ならば私は小さな鳥
見送られ果てしない空へ
雪解けの丘を越え光る海を渡り
なんにも怖くなかった
帰る場所が心にあったから

時が与えくれたものは時が連れてってしまう
消える夕陽に歌った歌は誰に聞いて欲しかったの?

母でなく花でなくただの女として
幸せはそばにありましたか?
悲しみも苦しみもめぐりめぐった後で
やっぱり春がいいな
不器用でも暖かな春が
どこにいても春のままでいて

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