「人は変われる」と信じること ~児童労撤廃の裏にある想い~
児童労働の撤廃に取り組んでいるNPO法人ACEさんに取材をしたときに、驚いたことがあります。
貧しさを理由に親が子供に労働に行かせる。
そんなふうに強制的に働かされている子どもや、その家族を救うのって、
なにかこちら側が強く働きかけていくイメージなのかな? と思いきや…
副代表の白木さんはこう、はっきりと言いました。
「『もう自分たちでやれるよ』と笑顔に変わっていく姿をたくさん見てきました。
こちらが本気で関われば、人間は必ず変われるんです。」
ガーナでは、私たちが普段食べているチョコレートの原料、カカオ産業が盛んです。
しかし、それを支えているのは、実は大人だけではなく、子どもたちも。
ACEは、現地で実態調査を行い、現地のNGOと協業する形で活動を進めてきました。
児童労働を発見するための見回り活動や、家庭訪問による親の説得、子どもの教育に関する意識啓発、学校の施設や教育の質の改善、家族の収入向上支援、職業訓練、学用品支援など…
多岐にわたる活動を行うなかで、もっとも重視したのは「住民のエンパワーメント」だったそうです。
「住民が自分たちで活動を継続できるよう、ひとつの地域の支援を3年に限定するなど、住民に引き継ぐ前提で進めました。
彼らは、貧困などの影響で、無気力になっているだけで、本来はすごい力をもっているんです。
それを信じて関わっていけば、生きる気力を取り戻し、自分たちで生計をたてられるよう前向きに行動をするようになっていくんです」
白木さんは逆に、その家族や子どもたちからパワーをもらった、とも言ってました。
私は、「社会を変えたいと人を応援したい」と思ってライターをやっていますが、社会を変えることの中には、「"この人は変われる"と信じること」も含まれるんだな、と。
眼からうろこの取材でした。
ACEさんの活動により、児童労働から解放された子どもたちは2,500人以上、約13,600人が無償で質の高い教育を受けられるようになりました。
その活動の中でいつも、「この家族や子どもたちは、いつかきっと変われる」という信念を持ち続けていたとのことでした。
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児童労働撤廃に向けて取り組んできた方の中に、ノーベル平和賞受賞者、カイラシュ・サティヤルティ氏がいます。
彼が、子どもたちを児童労働から救出し、グローバルなムーブメントを起こした軌跡を追ったドキュメンタリー映画があります。(2018年サンダンス映画祭において「ドキュメンタリー部門グランプリ」を受賞しています)
児童労働の現場と、カイラシュさんが命がけでそれを阻止しようとする姿が、鮮烈に描かれています。
私も全部見ましたが、いかに貧困が人の心を変えてしまうか、いかに私が恵まれて生きて来られたのか、考えさせられました。少し長いですが、社会や、自分の普段の消費活動などを見直すために、一見に値する映画です。
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また、ACEでは現在クラウドファンディングを実施中です。
ぜひ多くの方々にこの問題にご興味をもっていただけたら、と願っています。ご興味がある方は、読んでみてくださいね。
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