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黒澤友貴の日報

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マーケティングの仕事をしたり、NPOの仕事をしたり、北欧に視察へ行ったり…領域を越境しながら生きている中での学び・発見を書いたことのまとめマガジン
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#デザイン

そのデザインは本当に必要なのか?ヨーロッパで感じたデザインへの向き合い方の変化

ドイツ、デンマーク、スウェーデンと、ヨーロッパを回る中で、デザインに対する捉え方が変わってきていることを強く感じました。 ヨーロッパは、中国・アメリカ型の企業方針や考え方に対して、「本当にそれで良いのか?」「未来にとって良いデザインなのか?」を牽制する動きが強くなっていると感じました。 具体的に聞いてきた話と学びをまとめていきます。 倫理的な問題に対して向き合うフレームワークデンマークでは、AIやデジタルの体験設計には、倫理的な観点で考えることが大切にされているとのこと

コペンハーゲンの観光戦略から日本の地域が学べること

半年に1回ペースで訪れていて、今回で4回目のデンマーク訪問。 今回の視察では、コペンハーゲンの都市開発・地域ブランディングに関わっている方々と意見交換をすることができました。 話を聞かせてもらったのは、建築家たちが都市ツアーを企画するScaledenmarkの代表、Bo Christiansenさん。 観光都市として評価が高いコペンハーゲン世界的に有名な旅行ガイドブックLonely Planetの調査では、2019年の訪問すべき都市ランキングで、コペンハーゲンが1位を獲

デンマークの強さの裏側を探る

最近よくフィールドワークで訪れている国デンマーク。 2022年11月、2023年6月、2024年1月と3回訪れました。 デンマーク🇩🇰フィールドワークの学びを文章にまとめておきたいと思います。 デンマークはどんな国?・16時にみんな帰宅する ・幸福度が高い ・産業競争力ランキングでも1位 など、すごい国だと日本でも紹介されることが増えてきています。 最近、こちらの書籍「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」が話題になっていますね。 デンマークの何がすご

真鶴町から学ぶ、小さくても強いブランドをつくるヒント

神奈川県の真鶴町という町をご存じですか? 先日に建築家の方と話をしていて、神奈川県真鶴町の魅力を教えてもらいました。 条例に「美の基準」を定めて、まちづくり・景観づくりをしているとのことです。 真鶴町は、この数年は移住者が増えており、その理由も「美の基準」をもとに守り続けてきた風景と文化にあるとのこと。 たしかに、町の条例に「美」という定性的で捉えどころが難しい判断軸を持ち込んでいる取り組みが興味深く、ずっと気になっていたので、足を運んでみました。 訪れてみて、この

岩手県紫波町「オガール地区」から学ぶ、地域ブランディング

国の補助金に頼らない公民連携の成功事例として紹介されることが多い紫波町。 仕事のプロジェクトで公民連携を調査していて知ったのですが… 裏側をトレースしていくと、地域のマーケティング・ブランディングに取り組むヒントに溢れていました。 街を活性化するために、 ・とりあえず人気のテナントを集める ・有名な建築家に依頼をする などではなく、 マーケティング思考をもって地域が持続的に成長する仕組みをつくるとは、こういうことか… と考えさせられました。 マーケティング思考をもっ

ロゴデザインの意味を考え直してみての気づき

ブランディングの仕事に「ロゴを作成する」という行為があります。 時々、ロゴなんてこだわり過ぎても意味がない と言われたりもします。 最近では、TwitterがXとなり、ロゴ変更に関して様々な意見がSNS上にも飛び交いました。 X(ロゴや名前)が良い悪いなんて、みんなが慣れてしまえば関係ないとの意見も出ていました。 自分も、ロゴのデザインは最低限が整っていればOK 誰に何を届けるかの具体を設計するマーケティング戦略・戦術が大切でしょと考えていた時期もありました。 ロ

良いコンセプトづくりを学ぶための「コンセプトトレース」を作ってみました。

コンセプトをつくろう マーケティングに関わる仕事をしていれば、一度は使ったことある言葉だと思います。 コンセプトの大切さは多くの人が理解していると思いますが… ・そもそも良いコンセプトって何? ・どうやってコンセプトをつくるの? などは曖昧になっていることが多いと感じています。 そして、コンセプト=軸や芯がないプロダクトやコミュニケーションが多くないでしょうか? コンセプトが弱いブランドだと、マーケティングの打ち手も広告やSEOなどの手段が先行してしまいがちです…

デンマークの独自性のつくり方から学ぶ-わかりやすい方法論やトレンドに飛びつくな-

今回は、デンマークから学んだ「独自の戦略づくり」をテーマに書いていきたいと思います。 小さいけど強いデンマークデンマークは、人口585.7万人(2021年)、国土は日本の約1/9、と小さいけど、世界で存在感を出している国です。 存在感は、下記のような世界評価に現れています。 国際経営開発研究所 (IMD)による世界競争力ランキングで2年連続で首位(2022年、2023年) 「持続可能性ソリューションネットワーク(SDSN)」が、SDGs達成率に基づいて作成した「持続可

デンマークの対話を通じたミッションづくり

先週から1週間ほどデンマークに滞在しています。 この文章は、デンマークの王立図書館で現地の人に紛れながら書いています。 ブラックダイヤモンドと呼ばれる、とても有名な図書館です。 今回で2度目のデンマーク訪問です。 前回は11月~12月だったので寒かったし、空は暗かったです… 今回は天気に恵まれて非常に快適に過ごしています。 今回は、いくつか教育やデザイン関係のプロジェクトを動かしていただいる方をつないでもらい、話をしてきました。 なぜデンマーク?自分がデンマークに

NISSAN USAの4時間YouTubeコンテンツから学ぶ、これからのブランド広告

情報収集用にTwitter英語アカウントをつくっていて、タイムラインに流れてきた投稿がこちらです。 Nissanの4時間の広告が素晴らしいと。 YouTubeを見て納得しました。この発想、表現は素晴らしい… ブランディングに関わる人は、ぜひ見ていただきたい内容です。 YouTubeコメントも絶賛の嵐、1800万人超えの視聴者数、3,683 件のコメントがついています… 自分たちのことを語るのではなく、車の長時間移動(4時間)のストレスに寄り添う広告コンテンツとなってい

3.11大切なことを伝えるためのコピー

3月11日は、毎年たくさんのニュース報道があります。 たくさんの情報より、シンプルな言葉が人の心に残ることが多くあると思っています。 3月11日をテーマにした広告やキャンペーンには、 大切なことを語り継ぐ表現とは? 広告やマーケティングは社会に何ができるのか? を考えるヒントがあると考えています。 忘れてはいけないことを確認するためにも、自分の心に響いたコピーをまとめました。 今日は2011年3月10日かもしれない。 ちょうどこの高さ 検索は、チカラになる。

戦略と表現をつなぐためのデザインシステムを理解しておきたい

本日は「戦略と表現をつなぐ共通言語をつくる」ことをテーマに書いていきます。具体的には、デザインシステムの考え方についてです。 組織内でマーケター、デザイナー、エンジニアなど多様な職種が協業して、理想の顧客体験を追求するためには共通言語が必要です。 また、経営層と実行を担っているマーケター・デザイナーが協業するためにも共通言語は必要になります。 この共通言語づくりに役立つツールがデザインシステムです。 最近はマーケティング関係のプロジェクトでもつくるようにしていて、戦略

コペンハーゲンから学ぶ都市のマーケティング思考について

先週から1週間、コペンハーゲンに滞在中です。 コペンハーゲンは街並みの美しさだけではなく、「人のことをよく考えられた仕組みになっている」と感じています。 都市として評価が高いコペンハーゲンコペンハーゲンは、2022年版世界の住みやすい都市ランキングでは2位にランクインしています。 コペンハーゲンの戦略は何が優れているのか?滞在してみても、コペンハーゲンの素晴らしさはたくさん感じられたのですが… 裏側の戦略は何が優れているのかが気になってきました。 マーケティングの視

デンマーク代表のW杯ユニフォームから考えるブランドに求められる社会価値とは?

サッカーW杯にて、デンマーク代表のユニフォームデザインが注目を集めていることをご存知でしょうか? ユニフォームを手掛けているのはデンマークの代表的なスポーツメーカー「ヒュンメル」です。 ヒュンメルの社会へ問題提起をするデザイン公式サイトには、ユニフォームデザインの意図が下記のように書かれています。 ハフィントンポストには下記の通りデザイン背景が書かれています。 公式Twitterでも、正式にカタールを批判しています。 ちなみに、デンマークのシュミット元首相は、LGB