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黒澤友貴の日報

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マーケティングの仕事をしたり、NPOの仕事をしたり、北欧に視察へ行ったり…領域を越境しながら生きている中での学び・発見を書いたことのまとめマガジン
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#ビジネス

ドーミインの何が顧客を幸福にしているのか?ウェルビーイング因子と顧客体験の関係性

日経クロストレンドの連載:新指標「顧客幸福度」ランキング2024 この中で、ドーミインがビジネスホテル業界トップのスコアになっているとありました。 ドーミインのサービスレベルが、ビジネスホテルの一般基準より高いな… とは、宿泊したことがある人であれば実感されている人が多いのではないでしょうか。 自分も出張時は、8割以上ドーミインに宿泊します。 ドーミインの体験エピソードを読むと、改めて凄さがわかります。 これらの体験のどこにウェルビーイングとの関係性があるのかを考え

新しい市場・文化をつくる4つの視点

これらは、多くのマーケティングに関わる人が向き合っている問いではないでしょうか? 自分自身も、マーケティングの仕事を通じて新しい文化をつくることをテーマとして働いています。 文化づくりとは何のことなのか?しかし、文化づくりという表現を使うと、数字でとらえることも難しく曖昧さが残ってしまいます・ 具体的にどんなプロセスで考えると良いのかを教えてくれる愛読書があり、改めて読み返しています。 「新しい市場のつくりかた」です。 新しいアイデアを社会・市場に定着させる4視点「

話題の経営ゲーム「Coffee Inc 2」から学ぶ、自分の欲しい・理想を追求するからこそ生まれる優位性

濃すぎる経営ゲームと話題の「Coffee Inc 2」の裏側が面白く、学びに溢れていました。 自分も遊んでみたのですが、本当にこのゲームひとりで開発したのですが… と驚くレベルです。 逆に考えると、ひとりでこだわり抜いて開発したからこそ生まれた体験なのかもしれないとも考えています。 自分がやりたいゲームを追求したからこそよくマーケットイン発想が大切だと言われます。市場や顧客のニーズから逆算をして戦略をつくることは、もちろん大切です。 しかし、中途半端な市場調査が、一見

欧州の「修理する権利」から考えるブランド体験づくりの変化

EUの「修理する権利」の法改正は、ブランド体験設計に大きく関わってくる変化だと考えています。 前提のルールが変わっている先月に欧州を回ってみて、ブランド体験をつくる前提ルールが変わってきているので、生活者の行動も変わってきていると感じました。 そのわかりやすい例が「修理体験」です。 EUの法改正にある「独立した修理業者が修理しやすい環境をつくる」が義務付けられると、 ・消費の素材選び ・保証期間やアフターサポートの仕組み などを根底から見直す必要が出てきます。 修理の

マーケティング発想で公共トイレを捉え直す

日本が世界に誇れるものは何か? 最近に海外に行く機会が増えてきて、考えることが増えてきた問いです。 日本の公共トイレは世界一では?日本には多くの誇れるものがありますが、これは間違いないと感じているのが「公共トイレ」です。 無料で、綺麗で、しかも建築までこだわっている公共トイレがあるなんて、おそらく日本だけではないでしょうか。 パリを訪れた時は、とにかくトイレの数が少なくて、やっとたどり着いた百貨店のトイレは有料で…とどれだけ日本が恵まれているかを身体で理解してきました

欧州で感じたブランドコミュニケーションの変化

欧州(アムステルダム、コペンハーゲン、パリ、ブリュッセル)を回りながらヨーロッパのブランドコミュニケーションについて調査をしてきました。 その中で、確実に変わってきているトレンドがあると感じることがありました。 ブランドコミュニケーションは 1. 「機能性だけではなく、地球・社会にとっての意味」を伝える 2. 「課題解決だけではなく、問題提起」を伝える が重要になってきていることです。 以前から何となく重要だなと感じていた視点なのですが、日本で考えられているレベルと全く

地域を持続可能にするブランドコミュニケーションとは?(アムステルダム篇)

欧州(オランダ・コペンハーゲン)を訪れると、観光戦略や都市のブランドコミュニケーションが大きく変わってきていると感じています。 BBCが「アムステルダム 悪質な観光客と戦う欧州の首都」と題した記事を2023年8月に出しています。 悪質な観光客来ないで、をストレートに打ち出すアムステルダム市の観光戦略のテーマが変わってきているとのこと。 何が変わってきているのか? ・観光客と地元住民の双方に利益をもたらすこと ・クリエイティブで持続可能なアクティビティーを増やすこと

マーケティングに求められる、複雑さと矛盾を乗り越えて考える力

マーケティングは、売上・利益をつくり、組織の成長"のみ"を考えれば良いわけではなくなってきています。 2023年はサステナビリティ情報の開示義務化も進みました。 ブランドの活動が、 1. 地球への良い影響 2. 社会への良い影響 3. 生活への良い影響 この3つのバランスを保てることが重要になってきています。 ESGはSDGsといった言葉の理解を深めることは、 Want to(できると良い) ではなく、 Must(必須であり前提) となってきていると感じています。 で

任天堂が独自なゲームをつくることができる裏側をトレース

2023年に最も影響を受け、尊敬したブランドはどこか? 自分にとっては… 任天堂です。 自分は、社会人になってから全くと言っていいほどゲームをやらない人間になってしまっていました。 学生の頃は、ポケモンをゲームボーイでプレイし、家族で任天堂DSで脳トレをみんなで遊んでいました。 仲良くしている友人が、任天堂Switchに激ハマりしていたことをきっかけに 今年の夏にNintendo Switchを購入しました。 任天堂らしい体験Switchの体験は、ゲームに苦手意識を

いきなり!ステーキの肉マイレージ施策から学ぶ、持続的な優位性と向き合うことの大切さ

いきなり!ステーキは、自分たちの優位性の柱となっていた「肉マイレージ」が仇(あだ)となったとのことが書かれている記事を読みました。 自分たちの優位性が、「持続的な成長」をもたらすのか? を考えることの重要性を理解するのに役立つ記事でした。 いきなり!ステーキの失敗分析いきなり!ステーキの失敗を整理してみます。 1. 短期的に、競合対策として顧客の囲い込みとして「肉マイレージ」を導入 2. しかし、肉マイレージの過剰インセンティブが粗利を下げる 3. 急激な店舗数の拡大も

ジャーナリストの思考から学ぶ、情報を正しく見極める力

良い戦略をつくるためには、正しい情報に当たり、正しく解釈することが基本だと思っています。 しかし、できていないことが多い… SNSであの人が言っていたから… あのニュースのタイトルと結論に書かれていたから… といった表面的な理由で、判断してしまっていることは、意外と多くあるのではないでしょうか。 SNSで出回る情報、ニュース情報に接したときに、 ・その報道は本当か? ・その裏側に何があるのか? を読み解くことができないと、表面的な情報から戦略の意思決定することにつながっ

岩手県紫波町「オガール地区」から学ぶ、地域ブランディング

国の補助金に頼らない公民連携の成功事例として紹介されることが多い紫波町。 仕事のプロジェクトで公民連携を調査していて知ったのですが… 裏側をトレースしていくと、地域のマーケティング・ブランディングに取り組むヒントに溢れていました。 街を活性化するために、 ・とりあえず人気のテナントを集める ・有名な建築家に依頼をする などではなく、 マーケティング思考をもって地域が持続的に成長する仕組みをつくるとは、こういうことか… と考えさせられました。 マーケティング思考をもっ

本は、3冊まとめて読むことのススメ/情報は組み合わせて意味をもつ

本を3冊まとめて購入する習慣があります。 本屋に行っても、Amazonでも、 テーマを決めて3冊まとめて購入します。 3冊まとめて関連付けて読書をするイメージ自分なりに掘り下げたいテーマを決めて、3冊セットで束ねてまとめて読むようにしています。 なので、自分の本棚は、基本は3冊セットで置いてあります。 例:「人の創造性を引き出す商品アイデア」を考える3冊。 例:「文化開発とマーケティング」を考える3冊。 この習慣は、10年ほど前に、編集術で有名な松岡正剛さんの三冊

僕ビール君ビールの「どっち推し?」から考える、親しみやすさをつくるブランドコミュニケーション

人は「どっち派?」論争が大好きです。 イヌ派・ネコ派? 夏派?冬派? ごはん派?パン派? AとBどっちが好き? は誰でも答えられる問いであり、コミュニケーションの定番の型です。 僕ビール君ビールのどっち推し?コミュニケーション家の近くにローソンがあり、疲れたからビールでも買おうかな…と考えたときに「面白いどっち派?」の問いかけを見つけました。 ヤッホーブルーイングの僕ビール君ビールです。 新しいパッケージで青色の「ジョーカーくん」を登場させて、以前からある「かえるく