Tomoki Kobayashi
正月に飾った松飾りや達磨などを燃やす小正月の火祭りのことを松本では「三九郎」という。一般には「どんどやき」という名称が最も一般的なように思われる。松本市内でも「どんどやき」と呼ぶ地域があるようだが、一部の新興住宅地が造成されている地域に限られており、これは市外の呼び方が入ってきたものと見える。松本では元来「三九郎」で通っているのだ。この三九郎という呼び名は人名や人形の名前に由来するといわれるが、定かではない。 東京から松本に来てはじめて見た三九郎はちょっとした衝撃だった。ま
1月5日。三が日も終わったばかり、まだ開いている店も少なく正月気分の抜けきらない街の中、1つの古書店にあかりが灯っていた。 「こんにちは~」 返事はないか、聞こえないくらいの小ささだろうと思って、積み上げられた本に囲まれたドアをあけた。すると、本の壁に負けない声の大きさで「はーい!いらっしゃい!」と店主が迎えてくれた。 店に入って右、山岳書や郷土の本が並ぶ棚が僕の定位置だ。いつも通りそこに向かうと、その奥に店主は座り込んでなにやら作業をしていた。 「年末から本の整理をしてるだ