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プロライフ(生命尊重派)が「中絶全面禁止論者」であるというデマ

 名指しは避けるが、先日Twitterである相互フォローの方から「プロチョイスは生命軽視派ではなく女性の権利を守る思想」「プロライフは中絶全面禁止を求めている」等と言う旨のリプを戴いた。
 可哀想に、見事にプロチョイス(生命軽視派)のプロパガンダに騙されてしまっている方である。
 仮にこういう主張があれば、反対派によるプロパガンダであることは誰でも判るであろう。
「社会主義者は北朝鮮を支持している!」
「保守主義者は自民党を支持している!」

 ・・・もしかして、この二つを本気で信じしている人もいるかもしれないが、そういう方は取り敢えず①『産経新聞』②『朝日新聞』③ネトウヨ系まとめサイト④左翼系ツイッタラーの4種類の情報源を排除して、冷静に物事を考える癖をつけてほしい。
 少しでもリテラシーがあれば、日本共産党が北朝鮮に否定的であること誰がどう見ても右翼な祖国再生同盟や維新政党新風が反自民であることを知っているはずである。まぁ、今の日本には日本維新の会と維新政党新風の区別がつかない人がいるという、怖ろしい噂を聞いたことがあるが。
 なお、日本維新の会よりも維新政党新風の方が何十年も古い党であり、「維新」の名称は日本維新の会の方が後から使っているのである。日本維新の会と維新政党新風の政策は全く違うが、どちらの維新がホンモノかといえば言うまでも無く古くから「維新」を名乗っている維新政党新風のほうである。
 それはともかく、なぜこんな話をしているのかと言うと、イデオロギーによってデマや印象操作を行っている人が多いからである。
 その典型的なものが「プロライフ(=生命尊重派)は『中絶全面禁止』を目指している」と言うデマである。
 私に対してもそのようなデマを流している者が存在する。

 確かに、アメリカのキリスト教右派の一部には「中絶全面禁止」を唱えている者が存在するが、少なくとも日本の政治家やプロライフ活動家で「中絶全面禁止」を唱えている者が1人でもいたら、教えてほしいものである。
 無論、仮に一人や二人、そういう変わり者がいたとしてもそれがプロライフの総意と言うことにはならない。
 そもそも、中絶全面禁止論はアメリカ共和党(=プロライフ)でさえ反対論が根強い主張であり、それがプロライフの総意と言うことはできない。
 誤解されているようだが、そもそも「共和党=キリスト教右派」「プロライフ=キリスト教右派」と言う訳では、無い。キリスト教右派勢力は民主党の中にも存在しており、バラク・オバマ元大統領も一時期「同性婚反対」を言っていたことがあるが、それは民主党内のキリスト教右派に配慮しての発言であった。
 また、プロライフは生命尊重を求めているだけであるから、宗教は関係無いのである。むしろ生命尊重を否定する宗教があれば、その方が問題であろう。
 確かに一部の州の共和党ではキリスト教右派勢力が強いが、ドナルド・トランプ前大統領からして中絶全面禁止論には反対であった。

トランプ米大統領は18日遅く、 アラバマ州で成立したほぼ全ての人工妊娠中絶を禁止する法律は行き過ぎだと示唆するコメントをツイッターに投稿した。

  大統領は一連のツイートで、中絶反対を「強く支持するが、3つの例外がある。性的暴行、近親相姦(そうかん)、母親の命を守る場合だ」と記した。

Bloomberg2019年
「トランプ大統領が行き過ぎと示唆-アラバマ州の人工中絶禁止法」
太字は引用者

 「暴言王」のトランプ前大統領ですら、中絶全面禁止論には賛同していない。アメリカ共和党やプロライフが総意として中絶全面禁止論を唱えているというのは、デマに過ぎないのである。
 もっとも、こういうと「トランプは元々プロチョイスだったから特殊だ!」と言う反論もあるかもしれない。
 確かに、私もトランプ前大統領の本音はプロチョイスであると疑っている一人である。
 だが、アメリカ共和党の保守派(無論、生命尊重派)を代表するマイク・ペンス前副大統領の主張はどうか。
 ペンス副大統領は一貫して保守派(プロライフ)であり、トランプ前大統領とは現在対立関係にある政治家である。彼が堕胎についてどのような発言をしているのか、見てみよう。

ペンス氏が設立したのは「前進するアメリカの自由」(Advancing American Freedom:AAF)と呼ばれる団体。7日の発表(英語)では、団体の目的について「伝統的な保守派の価値観を促進することで成功した過去4年間を礎とし、トランプ政権下で成功した政策を推進する」ことだとしている。またその上で、「急進的な左派と新政権が破壊的な政策により、世界で最も偉大な国家としての米国の地位を脅かそうとしているのを、保守派が黙って見過ごすことはありません」としている。

AAFは、保守的な政策提言をすることで、州および連邦政府レベルでの政策議論や問題提起を行っていくという。その中でも「国内と海外における妊娠中絶に税金が使われないようにする」「医師、看護師、教師、宗教慈善団体の良心の権利を含む信教の自由を守る」ことを目標とするとしている。

(中略)

一方のトランプ氏本人は最近、フロリダ州で行われた資金調達イベントでペンス氏を批判した。

10日に自身が所有するフロリダ州のリゾート「マールアラーゴ」で開催した招待制イベントで、トランプ氏は共和党の支持者らに対し、ペンス氏に「失望した」と発言。また、共和党のミッチ・マコーネル上院少数党院内総務を批判したと伝えられている。

「ペンス前米副大統領が保守派団体設立 プロライフ政策、信教の自由など推進へ」
太字は引用者

 このように、マイク・ペンス副大統領はあくまでも「堕胎に公費を使うこと」への反対を表明しているのであって、どこにも「中絶全面禁止論」など語っていない。
 日本ではあまり報道されていないが、今月のペンス副大統領の発言を見ても、彼が生命尊重派であることが判る。

「私は1973年以来堕胎によって葬られてきた6千2百万人の少年少女と、一生涯に及ぶ喪失と永続的な悲痛を受けている何世代もの母親たちに向き合って問います、『副大統領閣下、一体何をしているのですか?』」

「'Madame Vice President, how dare you?': Mike Pence fires back at his successor as VP Kamala Harris and uses her own words against her in anti-abortion rights speech」
和訳:引用者

 今アメリカ共和党ではトランプ派とペンス派とが全面対立しており、ペンス氏は公然とトランプ氏を非難している状況だ。

ペンス氏は4日、南部フロリダ州で開いた保守派団体のイベントで演説し「合衆国憲法のもとで私に選挙結果を変える権限はなかった」と指摘。「一人の人間が米国の大統領を選べるという発想ほど非アメリカ的な考えは他にない」と強調し、トランプ氏に苦言を呈した。

日本経済新聞2022年
「ペンス前米副大統領、トランプ氏に反論「選挙覆せない」」

 そういう状況にあって、ペンス氏は生命尊重派の票を固めようとはしているが、言うまでも無く「中絶全面禁止論」を言っている訳では、無い。
 プロライフ(生命尊重派)がロー対ウェード判決に反対しているのは、それが胎児を人として認めないという、トンデモナイ生命軽視の判決であったからである。
 そしてこの判決を擁護するプロチョイス(生命軽視派)は表向きは女性の権利を掲げているが、その多くはTRAやセックスワーク肯定派を兼任している。
 売買春を「セックスワーク」と言い換えて容認するような人権侵害肯定派が本気で女性の権利を守ろうとしていると思う人たちには、正常な判断能力が無いと言わざるを得ない。
 況してや日本においてはロー対ウェード判決のようなトンデモ判決は存在せず、プロライフは純粋に生命尊重を訴えているだけである。それを非難しているのが、プロチョイス(生命軽視派)だ。
 日本においても少なくないプロチョイスがプロライフ(生命尊重派)の女性(マザーテレサ等)は攻撃する一方、TRAや風俗擁護派の男性を「フェミニスト」として称賛している訳で、彼らの目的が「女性の権利」などでは決してなく、生命軽視そのものであることは明白なのである。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。