見出し画像

「保険料の負担増を賃上げで相殺するというなら、負担増の分の賃上げはなかったことに」立憲民主党が子ども・子育て「支援金」に反対する理由

 令和6年(西暦2024年、皇暦2684年)4月18日、立憲民主党は衆議院の地域活性化・子ども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会で「支援金」という名で事実上の負担増を規定する政府提出「子ども・子育て支援法改正案」に対する修正案を提出しましたが、残念ながら否決されました。
 今回はこの法案についての立憲民主党の主張をまとめました。立憲民主党がなぜ反対するのか、理解していただけますと幸いです。


1. 支援金の負担性についての検証

 政府は、「支援金」が導入されても負担が増えないと主張していますが、その実態は複雑です。
 最初は「実質的な追加負担は生じさせない」と言われていましたが、実際には被用者保険の場合、年収600万円で月1,000円の負担が発生します。
 また、賃上げで負担を相殺するという主張もありますが、賃上げの程度や実現性についての具体的な情報は提供されていません。
 岸田政権は賃上げが出来ていることを強調していますが、賃上げ率にも大企業と中小企業で格差がありますし、税金や社会保険料を上げると賃上げしても手取りの給料が減ることにもなりかねません。子育てを担う「現役世代の手取りの減少」を招くことは大きな問題です。
 立憲民主党は「仮に、保険料の負担増を賃上げで相殺するというなら、逆に言えば、負担増の分の賃上げはなかったことになる」として反対しています。

2. 医療保険への上乗せとその問題点

 支援金は医療保険料に上乗せして徴収されるため、その合理性に疑問があります。
 医療保険は病気やケガに備えるためのものであり、子育て費用を医療保険の枠組みで徴収するのは本来の趣旨とは異なります。
 医療保険料を財源とした出産一時金のような例外はあるものの、出産は多くの場合病院で行われるのに対して、今回の「支援金」は医療とは全く関係がありません。
 このような不自然な負担増について、国民の理解が得られるかどうかも懸念されます。
 立憲民主党政務調査会長補佐藤岡隆雄先生は医療保険料を保険給付でない事業に拠出するのは「これまでの(政府の)説明を聞いても一線を越えていると評価せざるを得ない」と断じました。

3. 負担の不公平性の検証

 支援金制度では負担が現役世代に偏り、地域や医療保険制度によっても負担額に差が生じます。
 特に子育て世帯や低所得者にとっては負担が増え、制度全体が不公平であるとの指摘があります。
 さらに、負担に対する給付やサービスの差異も考慮すべきです。

4. 雇用への悪影響の懸念

 支援金制度は事業主にも負担を求めるため、安定雇用に影響を及ぼす可能性があります。
 現行の制度の問題を解消せずに負担を増やすことは、雇用環境に悪影響を及ぼす恐れがあります。
 事業主の負担が増えることで雇用の安定性が損なわれる可能性が指摘されています。
 例えば「正社員の雇用控え」や「賃上げへのブレーキ」といった影響が考えられるのです。
 特に中小企業への負担増は問題となり得ます。

5. 日本銀行のETF分配金の活用提案の詳細

 立憲民主党は子ども・子育て支援金制度を廃止し、日本銀行が保有するETFから得られる分配金を代替財源として活用する修正案を提出しています。
 日本銀行のETFから得られる分配金は膨大な額に上り、政府が確保しようとしている支援金額とほぼ同等です。
 この分配金を活用すれば、財源の確保が可能であり、社会的な負担を軽減することが期待されます。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。