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イギリス労働党は「小選挙区制だから」勝利できた

 令和6年(西暦2024年、皇暦2684年)7月4日投開票のイギリス総選挙では、周知の通りイギリス労働党が議席を倍増させる圧勝となり、411議席と単独で6割以上の議席を占有する結果となった。
 だが、注意すべきはイギリス労働党の得票率は3割台に留まっている、という事実である。
 これは相対多数で単独過半数を占めることが出来る小選挙区制の特徴であるが、これを小選挙区制の「短所」だという中二病患者がそろそろ出てきそうである、というか、出てきている。
 同じリベラル派でもこのあたりが日本の左翼とイギリス労働党の違いである。イギリス労働党は相対多数で過半数が握れる小選挙区制の特性を利用して政権交代を実現させたのに、我が国の左翼は「絶対多数でないと過半数を握れない制度」である完全比例代表制の導入を求める。
 言うまでもなく、完全比例代表制導入を求める人もバカではない。彼らは「本気で政権交代がしたくない」か「自民党の一部か公明党との連立政権に参加出来ればそれでいい」かのいずれかが本音である。
 政権交代とは、前政権の与党を政権の座から引き摺り下ろすことである。例えば、自社さ連立政権から自自公連立政権になったことを政権交代という人はいない。完全比例代表制では連立組み換えは起きても政権交代は起きなくなる。
 仮にイギリスが完全比例代表制であれば、イギリス労働党は同じく左派のスコットランド国民党やイングランド・ヱールズ緑の党と併せても過半数に届かず、保守党と自民党、改革イギリス(リフォームUK)の3党による連立政権が誕生していただろう。
 或いは、今回も部分的に選挙協力をした労働党と自民党の連立政権も可能性としてはあり得るが、労働党と自民党だけでは過半数に届かない。スコットランド国民党は自民党とは組めないだろう。万が一、これらの政党が連立に参加しても、それはつい最近まで保守党と連立を組んでいた自民党からスコットランド独立派までもが賛同できるような「当たり障りのない政策」しか実現できないということであり、政権交代の意味は半減する。
 得票率だけを見ると、今回の総選挙では改革イギリスが自民党を超える得票率となっており、完全比例代表制であれば改革イギリスが第3党になっていた。しかし、完全小選挙区制のお蔭で自民党が第3党を維持できた。
 そう言えばイギリス自民党も完全比例代表制論者であったが、完全小選挙区制のお蔭で二大政党に次ぐ地位を占めているのであるから、皮肉なものである。
 小選挙区制をうまく活用すると、二大政党制ではなく三大政党制を実現できる。私も日本が三大政党制へ向かってくれることを期待しているが、立憲民主党支持者の中でも完全比例代表制論者がいる現状では、中々難しいものがある。
 完全比例代表制を導入すると、三大政党にまとまるどころか、参政党やれいわ新選組、幸福実現党、NHK党、新社会党が躍進して既存の野党は政権批判票をまとめられず衰退、さらには日本第一党や労働のための労働者党、ごぼうの党、安楽死と言った有象無象が永田町に進出し、極論を語って妥協しないことを誇る一匹狼という名の中二病患者がバッジをつけるようになってしまうのである。
 我々はイギリスの知恵を見倣わなければならない。


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