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井田奈穂氏「婚姻制度選択制はニーズ違い」争点は“改氏しない権利”ではなく“同一戸籍同氏の否定”の是非であることが鮮明に!

 昨日、「戸籍婚における選択的夫婦別氏」を求めて活動している井田奈穂「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長が、同一戸籍同氏の原則と夫婦別氏の法律婚実現の両立を図る対案の「婚姻制度選択制」に対して「ニーズ違い」とツイートしました。

 あくまでも、井田氏らが求めるのは「双方改姓せず【戸籍上の結婚を望んでいる】だけです」とし、「戸籍婚における選択的夫婦別氏」を目的にすると強調しています。

 夫婦別氏による法律婚を認める内容の対案を「選択夫婦別姓」推進派が否定するのは異例の事態ですが、これにより彼らの目的が「同一戸籍同氏」の原則否定であることが明確になりました。

井田氏が求めるのは「戸籍婚における選択的夫婦別氏」

 既に別記事でも述べましたが、夫婦別氏の法律婚を認めるには主に3つの方法があります。

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 「戸籍制度自体を廃止する!」という方法もあり、これは一部の左翼が強硬に主張していますが、流石にこれは世論が受け入れないと思ったのか、多くの活動家は表立っては主張していません。

 残りは「同一戸籍同氏」の原則を維持する「婚姻制度選択制」案と、そして「同一戸籍同氏」の原則自体を否定する「戸籍婚における選択的夫婦別氏」案があります。

 井田氏の目的が「夫婦別氏の法律婚」だけであれば、婚姻制度選択制でも問題ないはずです。この点について、私はTwitter上で直接井田氏に問い合わせました。

 すると、井田氏から引用リプと言う形で返信が来ました。その内容は婚姻制度選択制を「ニーズ違い」とし、あくまでも「戸籍婚における選択的夫婦別氏」に拘る、というものでした。

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本当に世論は「井田案」に賛同しているのか?

 このやり取りはとても重要です。井田氏は「選択的夫婦別姓に約7割の人が賛成している!」と強調していますが、その7割が本当に「同一戸籍同氏」の原則否定にまで賛同している保証はないからです。

 そもそも井田氏の世論調査はネット世論調査ですので、母集団補正がどこまで正確化にも議論がありますし、また、この7割はあくまでも

「他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない

とした人の割合です。「構わない」と答えた人の中には「どうでもいい」「無関心」な人も含まれているはずで、そう言う人たちに「同一戸籍同氏の原則を否定した上でも、構いませんか?」と聞いても同じ答えが返ってくるとは限りません。

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(画像出典 20〜50代の7割が賛成!47都道府県「選択的夫婦別姓」全国意識調査の概要より日野が編集)

 他人が別姓でも同性でも関係ない、と思っている人は多いでしょうが、だからと言ってそれが「同一戸籍同氏の原則否定」への参道になると限らないのは、言うまでもありません。

 井田氏による世論調査なるものは、誘導尋問めいた手段であり「世論操作」と言っても過言ではありません。

内閣府世論調査にもレトリックが!

 井田氏のネット世論調査とは違い、一見信憑性が高いように見える内閣府の世論調査も、よく見るとレトリックが存在します。

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 この図をよく見ると判りますが、選択的夫婦別氏のための法改正に賛成しているのは、真ん中の回答だけです。普通ならば賛成派を端にするべきなのに、真ん中に置くのは見る人を錯覚させるためでしょうか?

 しかも、男女で賛成の割合に差はありません。男女ともに賛成派は過半数を超えていないのです。

 また、井田氏の調査同様、これはあくまでも「構わない」とした人の割合です。当然「同一戸籍同氏の原則を否定してでも賛成するか?」と言われたならば、この割合はもっと低くなるはずです。

年齢・性別を問わず8割以上が「氏は家族の名称」と回答!

 内閣府の世論調査の図には選択的夫婦別氏を導入するための同様のレトリックがありますので、以下では私が改めて図を作り直して提示します。

 内閣府の世論調査では氏について「(ア)他の人と区別して自分を表す名称の一部」「(イ)先祖から受け継がれてきた名称」「(ウ)夫婦を中心にした家族の名称」の3つのどれに該当するかを複数選択可で聞いています。

 なので、(イ)を選択した全員が「先祖から受け継がれてきた名称」派、(イ)は選択しなかったが(ウ)を選択した全員が「先祖から受け継がれてきたとは考えないが、家族の名称」派、そして(ア)のみを選択した人が「家族の名称ではなく、自分を表す名称の一部」派ということになります。

 その結果をグラフにすると、こうなります。

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 なんと、年齢・性別を問わず8割以上の人が「名字(氏)は家族の名称」と考えているのです。

 すると、選択的夫婦別氏で「構わない」と回答した人の中にも「名字は家族の名称」と考えている人がいる、ということです。

 こうした世論を考慮すると、「同一戸籍同氏の原則を否定」を国民が望んでいるとは言い難いことが判ります。

「同一戸籍同氏の原則」を維持した上での対案を否定する理由とは?

 そう考えると、井田氏の本音が本当に「夫婦別氏の法律婚の実現」だけであるならば、同一戸籍同氏の原則を維持した上でそれを実現する「婚姻制度選択制」の方が世論の反発も少なく、また、井田氏にも反対する理由は無いはずです。

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 にもかかわらず、井田氏はどうして対案を拒否するのでしょうか?

 理由は一つしかありません。井田氏の目的はあくまでも「同一戸籍同氏の原則を否定すること」そのものであるからです。

 つまり、井田氏は国民の8割以上が支持している「名字は家族の名称」という考えを否定することが目的なのです。

 「戸籍婚における選択的夫婦別氏」問題を考える際には、井田氏の本音がどこにあるのかはよく考えたうえで判断する必要があります。

 これまで左翼勢力は、家制度の完全なる解体のために戸籍制度自体を廃止しようとしてきましたが、それが難しいとなるや、戸籍制度そのものの換骨奪胎を目指している訳です。

 彼らの野望を実現させてはなりません。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。