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令和の政治改革は「一票制」導入で!――「小選挙区比例代表連『立』制」を提案する

 「小選挙区比例代表並立制」が導入されてから、20年以上。当初は「保守二大政党制」導入を目的としてつくられた制度だが、現状、代表者が明確に「保守」を掲げている政党要件を満たした野党は、国民民主党と日本維新の会しか、存在しない。
 いずれも、最大野党ではないことが、保守二大政党制の現状を物語っている。「元祖保守」政党の自民党も左傾化が進んでいるのが現実だ。
 私個人としては、現行の小選挙区比例代表並立制は「中選挙区制」や「完全比例代表制」よりかは優れたシステムだとは思っている。しかし、残念ながら「一強多弱」と言われる政治情勢の下、自民党の腐敗は(一部の保守系議員の活躍には感謝しているものの)あまりにも深刻であり、現行よりより優れたシステムとして「小選挙区比例代表連立制」を提案したい。
 なお、似た名称の制度として現行の「小選挙区比例代表並立制」の他に「小選挙区比例代表併用制」や「小選挙区比例代表連用制」という制度がある。特に公明党が導入を検討している「小選挙区比例代表連用制」は名称が酷似しているが、内容的には正反対の制度である。

「並立制」でも「連用制」でもない「連立制」とは?

 まず、多くの読者の方にとっては釈迦に説法ではあるかも知れないが、現行の小選挙区比例代表並立制について簡単に説明させていただきたい。
 というのも、単に「小選挙区制」と「比例代表制」の両方を使っているから「並立制」、という訳では無いからだ。例えば、参議院は「都道府県選挙区制(事実上の中選挙区制)」と「比例代表制」の両方を使っているが、参議院の選挙システムを「○○選挙区比例代表並立制」とは、言わない。
 小選挙区比例代表並立制とは、「重複立候補可能」「2票制」「拘束名簿式」を主な特徴とする。
 まず、候補者には「選挙区で立候補」「比例代表で立候補」「選挙区と比例代表の両方で立候補」の、3つの選択肢がある。
 国民は選挙区と比例代表にそれぞれ別々に投票する。選挙区では候補者個人に、比例代表では政党に投票する。なお、比例代表については候補者個人の選挙運動も禁止されており、候補者側にとっても有権者側にとっても「政党主体」の選挙である。
 選挙区では1位になった候補者のみが当選する。これが「小選挙区制」だ。
 一方、比例代表では政党が得票に応じて議席を得る。そして、その政党が予め作成した名簿の順位に基づいて候補者が確定する。
 例えば、A党が比例代表で10議席獲得すると、A党の比例代表名簿に載っていた人間の内、上位10人が当選する。名簿は政党が作成するので、当選者が政党の「名簿」に「拘束」されるから「拘束名簿式」である。
 そして、小選挙区と比例代表とは完全に無関係ではない。小選挙区で落選しても、政党の比例代表の名簿に名前が載っていたら「比例復活」をすることが出来る。これが「並立」ということである。
 さらにこの国では選挙区の候補者が比例代表と重複立候補する場合、名簿の掲載順位を便宜上同一にし、同一順位内では「惜敗率」が高い候補者、つまり、小選挙区で当選者に対してより「惜しい」負け方をしていた候補者が優先的に当選できるようにする制度もある。
 例えば「小選挙区で当選者の99%の票を獲得していたが惜しくも1%差で負けた」という候補者が比例代表で復活当選しやすくなるというシステムであり、事前の情勢調査で予め「○○候補、優勢」となっているときに他の候補者が諦めて「無気力試合」をすることを防ぐシステムでもある。
 言い換えると、ある程度の固定票のある大政党の候補者は「仮に小選挙区で落選しても、比例代表で復活できるかも」という期待をしやすい訳だが、これについて「小選挙区と比例代表の二重取りは許せない」という人達が提案しているのが、小選挙区比例代表併用制と小選挙区比例代表連用制である。
 小選挙区比例代表併用制は、まず比例代表での各政党の当選者を決める。そして、小選挙区で当選した人の数をその比例代表の候補者の数から「天引き」する。
 例えば、A党が比例代表で100議席分の票を獲得したが、小選挙区では80議席獲得していた、とする。すると、小選挙区の80人分、比例代表の当選者数を引いて20人当選、とする。ドイツがこの制度であり、また韓国もこの制度の要素を取り入れている。
 なお、ドイツでは重複立候補が原則であるものの、韓国では重複立候補が認められていない。
 小選挙区比例代表連用制は併用制とほぼ同じであるが、比例代表の議席配分の計算方法を操作することにより小選挙区で多数議席を獲得した政党が比例代表で議席を獲得しにくくする、というものである。
 併用制や連用制は比例代表での議席配分が大政党に不利、つまり少数政党に有利な制度である。選挙区で議席を獲得していない方が比例代表で議席を獲得しやすい、ということは「小選挙区は自民、比例代表は公明」と言った選挙運動をしている党にとっては有利である。
 一方、これとは正反対なのが「連立制」である。多くの皆様にとっては初耳であろう。これは私が高校生の時に提案した制度であり、私なりに多くの方に伝えたつもりではあるが、知らない方の方が多いはずである。
 小選挙区比例代表連立制では「完全重複立候補」「1票制」「連動名簿式」を特徴とする。
 候補者は全員、小選挙区に立候補する。比例単独は認めない。有権者も小選挙区に「のみ」投票する。
 小選挙区で落選した候補者については、その惜敗率次第では比例復活が可能である。ただし、比例復活での当選者数は「その政党の公認候補が小選挙区で得た得票の合計」によって決める。
 また、比例代表の名簿の順位は「候補者が小選挙区で獲得した票の数」で決める。

中選挙区制や比例代表の問題点

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