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「同性愛」ブティジェッジ氏の大統領選撤退が意味するものーー白人リベラルと有色マイノリティーとの埋められない落差

 やはりアメリカは「ソドミスト大統領」(註)の誕生を拒絶した。「同性愛者初の大統領候補」として注目を集めてきたブティジェッジ氏が、民主党大統領予備選挙から撤退した。

 マスコミはブティジェッジ氏を「穏健派」と報道した。しかし、彼を“穏健派”と報じることは、その情報源となった白人リベラル層の「ベクトルの基準」が可笑しかったからではないのか。ちょうど、日本のマスコミが「安倍首相は愛国者」「枝野代表は脱原発派」というデマを垂れ流しにしているように、だ。

 一体、彼は「何」に対して「穏健」だったのか、を考えると、ブティジェッジ氏が有色人種マイノリティーの支持を得られずに予備選撤退した理由が判るはずだ。

註:「ソドミスト」の表記について
これはキリスト教圏で使われる同性愛者への蔑称です。
これは反対派による認識を示したものであり、言うまでもなく
私がこの単語の使用を肯定・推奨するものではありません。

「有色人種=リベラル」という偏見

 そもそも、アメリカ民主党は有色人種を重要な支持母体の一つとしているが、そのことは彼らが「リベラル」であることは、意味しない。

 少し考えれば判る。日本人の殆どは有色人種であって、白人ではない。では、日本人はみんな「リベラル派」だろうか?

 無論、そんなバカなことはない。むしろ「保守派」の方が多いはずだ。私もその一人である。他の国だってそうだ。有色人種のリベラル派もいれば、有色人種の保守派だっている。

 が、その有色人種の人間がアメリカに移住するとあら不思議、忽ちみんなが「リベラル派」に変身して「保守派」などいなくなってしまう――そんなバカげた話を、一体、誰が信じるというのであろうか?しかし、そんな愚かな誤解を多くの白人リベラル層はしていたわけだ。

 有色人種の多くが民主党を支持しているのは、ケネディ大統領が「公民権運動」を支持した影響が大きい。だが、元々民主党は南北戦争の時に「奴隷制維持」を掲げていた人達である。民主党の“リベラル化”を推進したフランクリン・ルーズベルト大統領もナチスドイツ並みの人種差別主義者であった。

 そう、ルーズベルト大統領が「インド系やユーラシア系とアジア人種、欧州人とアジア人種を交配させるべき」「日本人が敗北した後は、他の人種との結婚をあらゆる手段を用いて奨励すべき」等というレイシストであり、そして彼が今でも白人リベラル層の間で評価が高いことでも判るように、同じ民主党と言っても伝統的な白人支持層と公民権運動以降の有色人種支持層の間には、大きな断絶があるのである。

ブティジェッジ氏は「過激」ではないのか

 そもそも、ブティジェッジ氏が「穏健派」というマスコミの報道は間違っている。

 彼はフェミニストであるとされるが、彼の思想は「女性の人権を尊重する思想」ではなく「女性の人権を名目に生命軽視・家庭解体を推進する思想」のではないのか。

 ブティジェッジ氏は堕胎を「女性の権利」と考える立場である。つまり、胎児を殺すのは自由であると考えている。念の為に確認するが、彼の主張は中絶を「必要悪」ではなく「権利」としているのである。

 これは民主党の中でも“過激”である。バラク・オバマ大統領もアメリカではかなり「左寄り」と批判されたが、それでも「中絶のない社会が理想」とは言っていた。

 そして、マリファナの自由化も主張している。大麻合法化を巡っては色々議論はあるが、アメリカでも大麻を禁止している州が多いことを考えると、やはり彼は決して「穏健」ではない。

 何よりも、ブティジェッジ氏は過去の白人警官による黒人射殺人権の責任が問われているうえに、大統領選挙に出馬表明後も麾下の白人警官が黒人を射殺している。

一体何に対して「穏健」なのか?

 それでは彼は一体、何に対して「穏健」なのか?それを考えると、どうしてブティジェッジ氏が有色人種マイノリティーの票を集めることに失敗したのか、が見えてくる。

 簡潔に言おう。彼は「白人エスタブリッシュメント層に対して穏健」であったのだ。それ以上でもそれ以下でもない。

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