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立憲民主党岩手県連が寛容にも「裏切り者」シナ猛議員に“大人の対応”で謝罪し和解

 立憲民主党岩手県総支部連合会は、令和元年(西暦2019年、皇暦2679年)の岩手県知事選挙で事実上自民党及び公明党の推薦候補を利する言動を行うなどしていた階(シナ)猛衆議院議員に対し、昨年訴訟での控訴を行わないことを決めた上に、今月10日には階猛議員に対して「謝罪」をするという大人の対応を行い、和解をしました。

立憲岩手が階猛氏に謝罪 関係修復へ合意 政治資金巡り確執

 立憲民主党岩手県連は18日、政治資金問題で確執が続いていた同党所属の階猛衆院議員(岩手1区)と関係修復に向けて話し合うことで合意したと発表した。県連側は自公政権と戦う体制をつくるため、一連の経緯を踏まえて階氏に謝罪して受け入れられたという。
 政治資金問題を巡っては、階氏が旧国民民主党岩手県連の政治資金を不法に移したとして、立憲県連が2020年に損害賠償を求めて提訴し、盛岡地裁は22年10月に原告の訴えを棄却して確定。階氏が県連に謝罪を求めていた。
 県連によると、今月10日に横沢高徳代表と菅野博典幹事長が階氏と面会。県連は訴訟や21年の衆院選で対抗馬の擁立を図ったことなどについて「階氏や支持者が大変苦労したことを真摯(しんし)に受け止める」と謝った。階氏からは「今日がスタートですね」と言われたという。
 横沢代表は「今後どういう連携ができるかなど、建設的な話し合いをしたい」と述べた。【湯浅聖一】

毎日新聞 2023/2/19 09:38(最終更新 2/19 09:38)「立憲岩手が階猛氏に謝罪 関係修復へ合意 政治資金巡り確執」

 この問題についての経緯を説明します。
 シナ猛議員は、平成19年(西暦2007年、皇暦2667年)に当時民主党所属の衆議院議員であった達増拓也先生が岩手県知事選挙に出馬する際、その後継者として民主党公認で衆議院議員選挙に出馬し、当選しました。当時は小沢一郎先生や達増拓也先生と親しく、平成24年(西暦2012年、皇暦2672年)には小沢一郎先生に離党届を預けた上で政府の消費税増税法案に反対票を投じ造反しました。
 ところが、離党届を提出されると自分が小沢一郎先生に預けていたにも拘らず「勝手に提出された」として離党届を撤回。これを受けて、民主党は寛容にも党員資格停止2カ月の処分で済ませました。
 それ以降、シナ猛議員は小沢一郎先生や達増拓也先生を逆恨みします。
 シナ猛議員は民主党が民進党へ合流した時もそのまま合流に従い、平成29年(西暦2017年、皇暦2677年)に民進党が希望の党への事実上の合流を決めた時も希望の党から衆議院議員選挙に出馬しました。そして希望の党と民進党が正式に合流して旧国民民主党を結党した時もそれに反対はしませんでした。
 令和元年(西暦2019年、皇暦2679年)に旧国民民主党と自由党が合流する際、シナ猛議員は近藤和也先生らと共に合流反対の立場に立ちました。しかしながら、近藤和也先生ら多くの合流反対派は合流が決定するとそれ以上騒ぐことが貼りませんでした。
 にも拘らず、シナ猛議員は自由党との合流に反対して離党しました。その時、朝日新聞社の運営するオピニオンサイトで次のように述べました。

 国民民主党に自由党が合流した。私はこの合流に反対してきたが、党の決定と大きく食い違うことになり、離党を決意するに至った。
 私が合流に反対したのは、「希望の党」失敗の教訓がいかされていないという点にあった。理念を共有しないままの付け焼き刃的な離合集散は、もはや国民に受け入れられない。選挙前の打算による合併に、国民は積極的な意味を見出していない。むしろ完全にしらけている。いや、嫌悪感さえ抱いている。
 この同じ過ちを、短期間に繰り返してどうするのか? 
 結局のところ、国民民主党のスタンスが見えづらくなるだけで、国民の期待はより一層、離れてしまうのではないか? (略)
 私は、このような理念なき離合集散の繰り返しが、政治不信を引き起こしてきたのだと思う。そして、「希望の党」から「国民民主党」へのプロセスに支持が集まらず、野党への不信感を大きくした最大の要因ではないかと思う。
 もう同じことを繰り返してはならない。同じ失敗の反省がなければ、あきれ果てた国民は、自分たちに見向きもしてくれなくなる。
 そんな強い懸念を持ち、離党する決意を固めた。
 離党を決意するまでの間、玉木代表とは何度も話し合った。「自由党との合流に大義が見えない」という私に対し、玉木氏は「大きな固まりを作る第一歩だ」と繰り返した。
 しかし、「大きな固まり」からはむしろ遠ざかっているように思える。立憲民主党の枝野幸男代表は、安易な離合集散から距離をとっているからだ。国民が何にうんざりしているのか、よく理解しているように思う。そのような状況で、理念なき合流を行うと、立憲民主党との連帯の障害になってしまう。ますます国民民主党と立憲民主党との間に壁ができ、野党の連帯が難しくなる
 そんな危惧を払拭することが、どうしてもできなかった。

階猛「なぜ私は、国民民主党を離党したのか」論座2019年06月14日
太字は引用者

 ここでシナ猛議員は「『希望の党』失敗の教訓がいかされていない」「『希望の党』から『国民民主党』へのプロセスに支持が集まらず、野党への不信感を大きくした」等と述べていますが、希望の党への合流も旧国民民主党の結成も、全てシナ猛議員自身が賛同してきたことです。
 自分たちの仲間の行為を他人事のように批判していますが、それらはすべてシナ猛議員自身が行っていた行為なのです。そうした自分の行為を棚に上げて、かつての仲間と訣別したと言っているのです。
 さらにシナ猛議員はこの記事で当時別政党である旧立憲民主党の黄川田徹氏を擁護していますが、彼はこの年の岩手県知事選挙で自民党推薦候補を応援し問題視されました。

<岩手知事選>顧問・黄川田氏が及川氏応援「聞いてないよ」立民関係者ぼうぜん

 岩手県知事選で自民党が擁立した新人及川敦氏(52)の第一声に、立憲民主党県連顧問の黄川田徹氏(65)が駆け付けた。「してやったり」とほくそ笑む及川氏陣営。現職達増拓也氏(55)を支援する立民県連は、重鎮の寝返りに「聞いてないよ」とのけ反った。
 「権力は持った時から腐敗する。3期、4期と続けば、どこまで腐敗するのか」。黄川田氏は7分30秒にわたって達増氏への批判をまくし立てた。
 陸前高田市出身の黄川田氏は旧衆院岩手3区で連続6回当選。民主党政権では復興副大臣を務めた。達増氏と共に小沢一郎衆院議員(岩手3区)の門下生だったが、2012年の民主党分裂で決別。達増氏とも溝ができていた。
 「首長向きじゃないよ」「達増県政の継続は求めていない」。報道陣に囲まれて黄川田氏の弁舌はさらにヒートアップ。立民が国会で小沢氏もいる国民民主党と統一会派を組む動きにも「昔のメンバー表のまま一緒になるのはいかがなものか」と不満をぶちまけた
 敵陣の一角を崩した及川氏の選対幹部は「間違いなくプラスになる。特に県南部での集票が期待できる」と笑みを浮かべた。
 これに対し、オール野党で結束するはずだった立民関係者はぼうぜん自失。「暴走だ。意図が全く分からない」と黄川田氏の利敵行為に頭を抱えた。
 黄川田氏がマイクを握っていたころ、立民県連の中村起子幹事長は約350メートル離れた達増氏の第一声会場にいた。「事前の相談もなかった。立民県連は達増候補の勝利に尽力する」とうなだれるばかりだった。

河北新報2019年08月23日金曜日
「<岩手知事選>顧問・黄川田氏が及川氏応援「聞いてないよ」立民関係者ぼうぜん」
太字は引用者

 ここで黄川田氏は立憲民主党(当時)の党員でありながら、党にも野党連携にも反対する暴挙に及んだ訳です。
 シナ猛議員もそんな黄川田氏と縁を切るどころか、岩手県知事選挙では中立を守ります。自分と近い人間が自民党を応援している状況での中立は、事実上の自民党支持です。自民党のスパイ扱いしても文句を言えません。
 しかも、シナ猛議員は小沢一郎先生との合流について「『大きな固まり』からはむしろ遠ざかっている」と述べましたが、逆に小沢一郎先生らの尽力により旧立憲民主党と旧国民民主党の合流が実現しました。
 シナ猛議員の予測は完璧に外れた訳ですが、シナ猛議員は悪びれもせずに何食わぬ顔で立憲民主党の結党に参加します。
 その上、何故かかつて自分が見捨てた玉木雄一郎先生が立憲民主党に合流しなかったことを攻撃しだすのです。立憲民主党の議員が共闘野党の代表を攻撃することは、野党共闘を危うくする行為でした。
 このような様々な問題行動にも拘らず、立憲民主党岩手県連は寛容にも、ただ旧国民民主党から持ち出した政治資金の返還を求めて裁判を行い、その他の点は一切不問としました。
 なお、過去には政治資金を持ち出して他党に移動した政治家に返金命令が下ったことがあります。

生活の前議員に地裁が返還命令 民主資金の移動巡り

昨年7月に民主党岩手県連の資金4500万円を「国民の生活が第一」(現「生活の党」)の口座に移したのは違法として県連が返還を求めた訴訟で、盛岡地裁は9日までに、生活の菊池長右エ門前衆院議員らに全額の返還を命じる判決を言い渡した。
貝原信之裁判長は、民主と生活は利害対立関係にあったとした上で「資金移動は生活の利益を図るために行われた。県連の議決を経ておらず、前議員らの行為は権限を乱用したもので違法だ」と述べた。
菊池氏は判決後、「自由党時代からの寄付金を守ろうと移したもので、残念な判決だ」とコメントした。〔共同〕

日本経済新聞2013年11月9日 11:54
「生活の前議員に地裁が返還命令 民主資金の移動巡り」

 しかしながら、自民党の影響下にある裁判所は自民党側の人間に有利な判決を下すことで知られていますが、その例にもれず盛岡地裁は岩手県連によるシナ猛議員への返金要求を却下しました。
 このような過去の判例と異なる判決は当然に控訴の対象となり得るものでありますが、岩手県連は寛容にも控訴を行わず、シナ猛議員との和解を模索しました。
 そしてこの度、極めて寛容なことに、シナ猛議員に対して「謝罪」まで行うという大人の対応を行い和解をされたのです。
 これまでシナ猛議員がしてきた行いは、決して許されるべきことでは、有りません。
 しかしながら、野党共闘の大義のために筋を大きく曲げに曲げてまで和解を決断された、立憲民主党岩手県連の皆様を、心から称賛します。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。