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特別永住者と一般の外国人参政権は分けて考えるべき

 武蔵野市の住民投票条例が否決され、私もサポーターである国民民主党がそれを支持しました。

 このこと自体は、私も支持します。今回の住民投票条例は、一年未満しか住んでいない外国人にも投票権があると言うものであり、慎重な議論があってしかるべきであるからです。

 例えば、ビジネスの為に一年間ほど外国に滞在するけど、来年には別の処へ転勤することが決まっているような場合、その滞在先で参政権を行使するのが本当に正しいのか、どうか、は議論があってしかるべきでしょう。

 ただ、「外国人に参政権を絶対に認めてはならない!」というような主張にも、異論はあってしかるべきだと考えます。

 この問題については、下手に発言すると左翼認定されてしまうため、保守派の私は慎重に述べていたのですが、改めて調べると中学生の頃にこんなことを言っていたようです。

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 なお、外山斎先生は外国人地方参政権には反対派です。

 生意気な中学生であった私は色々言っていたようですが、炎上回避のために最近はあまり発言していなかったものの、今再び外国人参政権が話題になってきたので、一応の意見を述べさせていただきたいです。

 言うまでも無いことですが、国家の独立を守ることは大切です。

 ただ、国政の参政権と地方政治の参政権とを、同列に語ってよいのか、という問題があります。

 国政の選挙権は、選挙区等は住民票で決まるものの、絶対条件として日本の戸籍に属していることが挙げられています。

 従って、同じ日本人でも戸籍が無ければ国政の選挙権はありません。行政側のミス等により無戸籍者が少なからずいるそうですが、それだけでなく、皇族も戸籍がありませんので選挙権を有しません。

※勘違いしている方も一部にいますが、「皇族だから選挙権がない」と書いている法律は、存在しません。法理上は戸籍があることが選挙権の要件であり、その結果として戸籍の無い皇族には選挙権がないということです。

 これは「国民であることは戸籍で証明する」という思想が背景にあると思われますし、それ自体は私も正しいと考えます。

 しかしながら、地方自治体の「住民」は「戸籍」ではなく「住民票」で証明されます。そして、「住民票」は外国人にも付与されます。

 そのような状態で「戸籍」の有無だけで外国人を「住民」から一律に排除することは、法的には「可能」ですが「絶対的な正解」では無いということは、ご理解いただけると思います。

 私の個人の意見としては、在日韓国人の特別永住者(日本が朝鮮半島の領有権を放棄する以前から日本に住んでいた人とその子孫等)に限定して地方参政権を付与することは、問題は無いと考えます。但し、その際には、外国人の住民登録の在り方や在留制度の見直し等も含めた、総合的・多角的な見地からの議論が必要であること、言うまでもありません。

 これについては、中学時代に呼んだ小沢一郎先生の論文の内容が、今でも通用すると考えます。小沢論文は今では削除されているので、その本文をここに引用します。

 永住外国人の地方参政権について、改めて皆様に私の考えを申し上げます。
 公の政治に参加する権利―参政権―が国家主権にかかわるものであり、また、国民の最も重要な基本的人権であることに間違いはなく、その論理は正当であり、異論をさしはさむ気はまったくありません。ただ、政治的側面から考えると、主として永住外国人の大半を占める在日韓国・北朝鮮の人々は、明治43年の日韓併合によって、その意に反して強制的に日本国民にされました。すなわち、日本が戦争によって敗れるまでは、大日本帝国の同じ臣民でありました。日本人としてオリンピックに参加し、日の丸を背負い金メダルを取っています。また、日本のために多くの朝鮮の方々が日本人として、兵役につき、戦い、死んでいきました。このような意味においては、英連邦における本国と植民地の関係よりもずっと強く深い関係だったと言えます。私達はこのような歴史的な経過の中で今日の問題があることを忘れてはなりません。
 法案に反対する人達の多くの方の主張は「そんなに参政権が欲しければ帰化をして日本国籍を取得すればいい」という考え方があります。私もそれが一番いい方法だと思っておりますし、また在日のほとんど多くの人々の本心であると思います。
 しかし、このことについては日本側・永住外国人側双方に大きな障害があります。日本側の問題点からいうと、国籍を取得する為の法律的要件が結構厳しいということと同時に、制度の運用が、(反対論の存在が念頭にあるせいなのかはわかりませんが)現実的に非常に帰化に消極的なやり方をしています。例えば、刑事事件とならない軽い交通違反(スピード違反・駐車違反等)を起こしただけで、余分に何年もかかっているのが現実です。これらの状況を日本の側として考えなければなりません。
 一方、永住外国人のほとんど多くの人は日本で生まれ育って、まったくの日本人そのものであり、その人達が日本人として生涯にわたって生きていきたいと願っていることは、紛れもない事実だと私は思います。ただ、過去の併合の歴史や、それに伴う差別や偏見に対して心にわだかまりがあるのも事実なのです。
 我々日本人は、両国両国民の数千年の深い繋がりと友好関係を考えなければなりません。また、近い将来日韓両国は、EUや北米大陸の例にあるように、自由貿易を柱とする共同体構想が現実のものになると思います。今こそ、日韓両国民がお互いにわだかまりを捨て、将来に向けて信頼関係を構築していくことが、両国と両国民の繁栄のために必要不可欠なことであると考えます。
 しかし両国が主権国家として存在する以上、地方参政権の問題は、政治論の側面からだけではなく、法的・制度的にも許容されるべきものでなければなりません。
 永住外国人に地方参政権を与えることについての国際社会の状況は、アメリカをはじめ未だ多くの国が、国籍の取得を要件としているのは事実であります。しかしながら、例えば日本の場合と状況が似ている英国では、かつて植民地支配した英連邦出身の永住権取得者に対して投票する選挙権だけでなく、立候補できる被選挙権まで与えています(地方選挙)。北欧の国々では一般的に永住権取得者には地方参政権を与えており、また、EU域内では、「お互いに永住権を取得した者には地方参政権を与えよう」という方向で制度の改正が行なわれつつあります。このようなことを考え合わせれば、地方参政権の付与が主権を侵害する、或いは主権国家としての日本の存在を脅かすものであるという主張は、必ずしも今日的な社会の中で、絶対的なものであるとは言えないと思います。したがって私は永住者に対する参政権の付与は、憲法上・制度上許容されるべき範囲のものであると考えます。
 以上のような政治的側面、制度的側面双方から考え合わせ、一定の要件のもとに地方参政権を与えるべきだと考えます。そして、そのことにより日本に対するわだかまりも解け、また、結果として帰化も促進され、永住外国人が本当によき日本国民として、共生への道が開かれることになるのではないでしょうか。

 ここで小沢一郎先生は「永住外国人」と書いてありますが、文章の趣旨からしてここにおける「一定の要件」の中には「韓国籍である特別永住者」であることが含まれていることは、明白です。

 その後の批判を受けての小沢一郎先生の文章には、こうあります。

反対意見に、「北朝鮮に支配されている北鮮系の総連の方に、地方参政権を与えるのはとんでもない」という意見がありましたが、我々自由党では国交のない国(北朝鮮等)の出身の方は参政権付与の対象にしないという考えです。

 従って、特別永住者の中でも限定された人たちに地方参政権を付与するという事であり、筋の通った見解であると言えます。また、そもそも朝鮮総連は在日朝鮮人への地方参政権付与を求めていませんし、在日朝鮮人(日本は北朝鮮を国家承認していないので、無国籍)は北朝鮮に反対であれば韓国の国籍を付与することも出来ますので、これは民族差別には該当しません。

 特別永住者の数は現在約30万人で、令和2年(西暦2020年、皇暦2680年)のデータでは技能実習生の数よりも少ない状態です。その中からさらに限定された人たちに参政権を付与するという事なので、一億人以上いる日本人が彼らに乗っ取られるという事は、ほぼあり得ません。

 そもそも、特別永住者以上に多い技能実習生を国内に招いている自民党政権の支持者には、特別永住者への地方参政権付与を批判する資格は無いでしょう。

 こういうことを言うと、私が保守派からリベラル派に転向したと誤解される方もいるかもしれませんが、そうではありません。

 特別永住者は『サンフランシスコ平和条約』発効時には日本国籍であり、日本国内に住んでいた人たちであるのに、GHQの占領政策の影響で一方的に、その血統だけを理由に国籍を剥奪された方々なのです。

 そのことの是非はともかく、当時の国籍剥奪の措置が明らかに民族差別的なものであったことは、否定できません。そして、自主独立を掲げる保守派の人間が、天皇陛下の赤子から国籍を剥奪したGHQの措置をいつまでも墨守することこそ、問題であると考えます。

 私の中学三年生の頃の副担任の先生は、皇學館大学卒のバリバリの保守派で、私に『教育勅語』を暗記するように指導するような方でしたが、外国人地方参政権には賛成でした。

 大学の同級生が在日韓国人であったエピソードに触れ、「外国人と言うだけで参政権を認めないのは、明らかに差別ですよ!」と言われていたのは、今でも覚えています。

 まだほんの十年前までは、この国の保守派は排外主義ではなく、外国人にも寛容な主張をしていましたし、それが本当の八紘為宇(世界が一つの家族になる)という事であるはずです。

 「すべての外国人に参政権を認めろ!」とか、その逆の「絶対に外国人には参政権を認めるな!」というような、極端な主張をするのではなく、冷静にこの問題を議論していける環境になれば良いと考えています。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。