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嘘をつくのは良くあるまい――安倍政権下で「譲位」が“恙なく”行われたというデマ

 安倍政権を擁護するのは自由だが、そのために嘘をつくのは、良くない。

 某宗教団体の公式ホームページに「安倍首相、本当に本当にありがとうございました!」と題して、次のような文章が掲載されていた。

「天皇国日本」に生きる私たちにとって、何よりも重大な関心事であった、平成から令和への御代替わり、光格天皇以来の約二百年ぶりのご譲位が、安寧の内に、恙(つつが)なく、滞りなく執り行われたことも、安倍首相であったからこそだと心から心から感謝せずにはいられません。この度の御代替わりの時の首相が、安倍首相であったことは、歴史に燦然と刻まれるに違いありません。

 一体、この方はどこの異世界の住民なのか。

 安倍政権下で御御代替わりが「恙なく」行われた、とは、初耳である。それどころか、多くの心ある勤皇・尊皇の者は激しく憤っていたはずだ。

 「光格天皇以来の約二百年ぶりのご譲位」と言うが、安倍政権は美智子皇后陛下(当時)が「心が痛んだ」と公言された「退位」の二文字を、法律に明記した一方、「譲位」を法律に記すことがなかった。

 単なる法律上の文言だけでは、無い。

 これまで譲位の際には「譲国の儀」と言う儀式が行われていたが、これも無視。「退位の礼」等と言うとんだ無礼な儀式を行われた。

 だいたい皇后陛下の胸を痛ませておいて「恙なく」もあるものか。ツツガムシよりも質が悪い。

 挙句の果てには、譲位後の美智子陛下の称号は本来の「皇太后」ではなく「上皇后」なる珍妙なものとした。

 おまけに、陛下の前ではひらがなの原稿を読み間違えるという大失態である。

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 天界の岸信介先生は孫の失態を心から哀しんでおられるだろう。「恙なく」等とは、口が裂けても言えないはずだ。

 元号の事前公表を巡る問題についても、保守界隈で激しい議論があったはずで、とてもじゃないが「恙なく」という形容詞はどこにも当て嵌まる余地はなかった。

 安倍政権を支持するのは自由だが、デマを流してまで彼らを支持させようという宗教団体は、隠れた目的のために尊皇家を騙して朝敵路線へ動員しようとしていると見做さざるを得ない。

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