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一夫一妻制が採用されたとっても単純な理由~どうして古代日本でも一夫一妻制が原則だったのか~

 人間、当たり前すぎるとその理由を忘れてしまうようです。そして、理由も知らずに「常識を打ち破れ!」と言わんばかりの主張をする中二病を発症し、成人しても治癒されていない人々が多すぎます。

 今回は「一夫一妻制」をテーマに考えてみます。要するに、

・なんで一夫多妻制や一妻多夫制だとダメなの?

・どうして不倫は良くないことなの?

といった問題について、「人権」の観点から回答を与えよう、というものです。

社会制度はまず「弱者」のためにある

 まず、大前提として。社会制度を始め、あらゆるルールは誰のためにあるでしょうか?

 その答え、一つでは、ありません。

 しかしながら、「ルールがあって得をする人は、誰?」と考えると、必ず共通点があります。

 それは、必ず弱者が得をしている人に含まれる、という点です。

 強い人はルールなんか無視した方が自由でよい、と思っているかもしれません。しかし、弱い人はルールが無視されると死活問題です。

 例えば、「人を殺してはいけない!」というルールがあるからこそ、弱い人も生命の危機を感じないで済むのです。そんなルールが無ければ、弱者は強い人に会うたびに生命の危険を感じなければなりません。

 これは、既得権益に関するルールでもそうです。

 一例を挙げると、貴族制度があって一番得をするのは無能な貴族(=弱者)です。有能な貴族(=強者)は、親の七光りなんか不要です。

 古代日本が律令制度を採用したとき、中国以上に「無能な貴族」を保護する規定が手厚くありました。それを「蔭位の制」と言います。これは貴族の子弟はどんなアホであっても一定の位の身分と仕事を与えられると言うものです。

 しかし、日本が中国に対抗して発展するためには、貴族だけ守っても仕方ありません。国民も守らないといけません。そこで「班田収授法」が施行され、国民全員に同じだけの土地を支給することにしたのです。

 何度も強調しますが、班田収授法は弱者保護の意味合いが強い法令です。

 6歳児でも女性でも奴隷でも、古代社会における弱者に対して農地を保障したのですが、そうしたルールが守られている間は格差も少なく、貧困に苦しむ国民も少なかったのです。そうしたルールが破られるようになった結果、弱者が苦しむようになったわけです。

奈良時代から日本は一夫一妻制だったという話

 さて、よく「一夫一妻制」とか「貞操観」とか言うと「それはキリスト教道徳であって、日本人は母系社会だったから性に対しておおらかだ!」とかいうアホがいます。アホという言い方が悪ければ、中二病患者です。

 古墳時代から家父長制が発達してきていますし、だいたい、母系社会だったら性におおらかになる、の意味が不明です。そういうことを言っている人にとって、女性はみんなビッチなのでしょうか?女性が強い社会では性が乱れるようになるって、頭の弱いおっさんの妄想です。

 そういう妄想癖のあるおっさんには申し訳ないのですが、日本は少なくとも法律上は、古代から一夫一妻制です。唯一の例外は、皇室だけです。

 もっとも、皇室についても「一夫一妻擬制」をしている節があるのですが、それについては後述します。

 いずれにせよ、奈良時代から日本が一夫一妻制を(建前にせよ)採用したのも、当然「弱者保護」の意味合いがあったからです。

 もしも当時の朝廷が日本を弱肉強食の社会にしたければ、そんなルールを撤廃すればよいのです。事実、弱肉強食が肯定されていた武士の時代(中世)では性暴力が半ば公認されていたのですから。

 律令国家がそうはしなかったのは、弱者保護の意味合いがあったからです。じゃあ「弱者」って、具体的に誰?という話になります。

まず「子供」を守ることからすべては始まる

 弱者とは何か。「大人」と「子供」であれば、明らかに子供が弱者です。だからこそ「子供に優しくしましょう」というルールが成り立つのです。

 というわけで「子供」を守ることからすべては始まります。

 一夫一妻制がよい理由は、他の制度と比べたら判りやすいです。

 一妻多夫制だとどうですか?子供の父親が誰か判らないと言う状態、子供にとって最悪ですね。

 だから、一妻多夫制の国は少ないのです。

 しかしながら、子供の父親が不明でも困らない社会では別です。チベットの方の山奥では一妻多夫制の国があります。そこではそもそも人口が少なすぎて「運命の一人」を探していたら子供を生めなくなるかもしれないという事情もあるのでしょう。

 じゃあ、一夫多妻制だとどうか。

 まず、人権感覚で言うと、一妻多夫制がダメならば当然、一夫多妻制もダメですね。でないと男女平等に反します。

 それと、子供にとっても父親が自分の母親を愛していない可能性があるから、当然、ダメですね。

 だからこそ、イスラム教では「平等に愛することが出来るならば」という条件で一夫多妻制を認めています。現実には複数の女性を平等に愛せるような男なんか、いないのですけどね。

不倫がいけないのは「配偶者」ではなく「子供」のため

 そう考えると、不倫がダメな理由も判ります。

 もしも本当に(配偶者以外の)他人に迷惑をかけないならば、不倫は自己責任ですればよい話です。

 しかし、現実には違います。

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