確率論的思考 (著者: 田渕 直也 さん)

トレーダーとしてこの本はめちゃくちゃ刺さりました。
なので、線引いたところを抜粋してまとめる意味で書いています。
ちなみに、電子版(いつでも読める用)と本(線引いてがっつり向き合う用)で二つ買ってしまいました(笑)

トレーダーとして有益な知識がこの本を読むことで獲得できます。
めちゃおすすめです。
時間ない方はぜひ、下記抜粋から少しでも気づきを得ていただければと思います。

プロローグ

確率論的思考とは

「(今、自分が想定していることや期待していること以外に)どのようなことが起こりうるのか?」「自分の認識や見通しはもしかすると間違っているのではないか?」「もし間違っていたらどんな損失が発生するのか?」といったことを常に問いかけ、どのような事態がどのくらいの確率で起こるかをできるだけ客観的に見積もり、その起こりうるさまざまな事態で発生する利益と損害を比較考量して、意思決定を下すやり方である。

確率論的思考の適用範囲

非確率論的思考として本書で取り上げているのは、因果論、結果論、二元論、努力万能論などである。

長期的成功と短期的成功はまったく別のものである。それどころか、短期的成功は多くの場合、長期的成功を阻害する要因ともなる。しかし、ほとんどの企業は短期的成功を目指して悪戦苦闘しているようにも見える。短期的成功の積み重ねが長期的成功につながると信じているからだ。だが本当は、長期的成功は短期的成功の積み重ねではなく、それを達成するためには発想の転換が必要になる。

確率論と確率論的思考

勝てる確率は、通常とても重要である。しかし、このゲームのように損益が非対称になっている場合は、勝てる確率と期待値は必ずしも比例しない。勝てる確率は高いが期待値はマイナスというようなことも起こりうる。もちろん、優先されるべきは期待値であるが、期待値だけを考えればいいわけでもない。もしあなたの元手が24万円しかないなら、いかに期待値がプラスであってもこのゲームには参加しない方がいい。一回で24万円を失い、再チャレンジのチャンスも失われる可能性が1/6もあるからだ。

世界を支配する不確実性

世界は偶然に満ちている

50%ずつの確率で枝分かれしていく人生を考えよう。枝分かれが10回あったとすれば、今現在の状態は、わずか0・1%(50%の10乗)の確率で実現したものだといえる。

つまり、今の状態は、本来はそうなっていなかった確率の方がはるかに高かったのだ。

株価は予測できるのか?

実際に予測が当たる人はあまりにも少ないというのが現実である。
著名なエコノミストも、破格の給料をもらっている大物ファンドマネージャーも、実のところ、驚くほど予測は当たらない。彼らの知的レベルは平均よりもかなり高いだろうし、文字通りありとあらゆる情報が彼らの手元にあり、分析力も折り紙つきだ。それでも当たらない。

たとえば、予測(あるいは予言)が、「株価は上がる」という漠然としたものであれば、当たることはそれほど難しくない。
たいていの場合、いつかは、相場は上がる。
そして相場が上がったときに「私の言った通りになった」と言えばいいのである。もっとも、いつそうなるかを示さないのでは予測にも予言にもならないから、次は期間を限定してみよう。
「一ヶ月後には株価は上がる」というような予測である。
これは、誰が言うにしても、概ね50%以上の確率で正解となる。

ワールドカップで最強のチームが勝てない理由

仮に、どんな対戦相手でも70%の確率で勝てる優勝候補チームがあったとしよう。決勝トーナメントに進むのはどれも強豪だから、70%の確率というのはかなり高い数字である。

この強力なチームがワールドカップで優勝できるのは、わずかに24%の確率でしかない。70%の4乗だ。

しかし、この優勝候補以外のチームが優勝する確率なら76%(100%-|24%)もある。

見せかけの偶然と本物の偶然

偶然とはたまたまそうなることである。
しかしたまたまには二種類のたまたまがある。
まず一つは、たまたまに見えるたまたまである。
何年も会っていなかった知人に街中でたまたま出会う。
それも偶然には違いないが、2人の当日の予定や、乗る電車の運行状況、歩くスピードなど、すべての情報を知り、すべてを精密に計算できる人間がもしいたら、2人がいつどこでばったり遭遇するかをあらかじめ知ることができただろう。
そうした能力があれば、たまたまを装って会いたい人に会いたい場所で"ばったり"と出くわすことを計画することができるし、あるいは会いたくない人との"ばったり"を避けることもできる。

もう一つ、たまたまには、本当のたまたまがある。
すべての情報を知り、すべての計算ができたとしても予測もコントロールもできない事象のことだ。
この場合、確率は人によって違うあやふやなものではなく、客観的に存在している本質的なものということになる。
つまり客観確率だ。

田渕直也. 確率論的思考 金融市場のプロが教える最後に勝つための哲学 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.518). Kindle 版.

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